ニュース 電子 作成日:2021年1月28日_記事番号:T00094436
車載用半導体の不足が深刻化し、日・米・ドイツが外交ルートを通じて台湾政府に増産を求めたことを受け、王美花経済部長は27日、ファウンドリー大手の台湾積体電路製造(TSMC)や聯華電子(UMC)などの幹部と会合を開き、協力への同意を取り付けた。業界関係者は、半導体業界はいまだかつてない深刻な供給不足で、多くの顧客が順番待ちをしている状況で、下半期に新たな生産能力が稼働しない限り、車載用半導体を優先供給する可能性は低いと指摘した。28日付経済日報などが報じた。
会合には、▽TSMCの方淑華副総経理▽TSMC傘下の世界先進積体電路(VIS)の劉啓光副総経理▽UMCの簡山傑総経理▽力晶積成電子製造(パワーチップ・セミコンダクター・マニュファクチャリング、PSMC)の黄崇仁(フランク・ホアン)董事長──が出席した。TSMCの大株主として国家発展委員会(国発会)の龔明鑫主任委員も出席した。
王経済部長は、ファウンドリー各社は既にフル稼働と表明しつつ、最終的には政府の要請に応じ、できる限り車載用半導体を支援することに同意したと説明した。対応策として▽生産ラインの稼働率を102~103%まで引き上げ、引き上げ分を車載用半導体の生産に充てる▽車載用半導体の受注に対する供給率(サポーティングレート)を引き上げる▽車載用半導体の供給を優先するため、他の顧客に対し受注を減らすか納期を延期するかできないか打診する──ことで同意した。
王経済部長は、会合では車載用半導体の増産が焦点で、優先的な割り当てや値上げについては検討しなかったと語った。また、昨年末より車載用半導体は不足しており、ファウンドリーは既にボトルネック解消や生産ラインの改善に着手していると述べた。
王経済部長は、米国、日本、欧州連合(EU)から外交ルートを通じた要請があったことを認めたほか、台湾の自動車メーカーから海外向けが優先され、域内向けの供給が減少しないか懸念の声があったと明かした。
車載用優遇に疑問の声
工商時報によると、ファウンドリー4社の車載用半導体の売上高構成比は10%未満。会合でファウンドリーは、大口顧客から1~2カ月以内の納品を求められても不可能な状況で、既に受けた注文をカットするわけにいかず、余剰に生み出した生産能力を車載用半導体に充てるのが最大限の誠意だと語ったという。
業界関係者は、第5世代移動通信(5G)など新技術が誕生する中、半導体の供給不足は車載用半導体に限った問題ではなく、来年も続く可能性があるとの見方を示した。
電子時報によると、ある半導体サプライヤーは、ファウンドリー大手4社がフル稼働なのは周知の事実で、どの顧客もおとなしく値上げを受け入れるか、順番待ちしている状況だと説明。もしファウンドリーが他の顧客の受注を削減したり、車載用半導体のためだけに増産したとなれば、他の顧客との関係に響くため、自動車メーカーが政治的圧力を使っても、効果は限定的と指摘した。
また、▽電源管理IC(PMIC、パワーマネジメントIC)▽マイクロコントローラー(MCU)▽相補性金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサー(CIS)──などの車載用半導体メーカーは、昨年初めに新型コロナウイルス感染が拡大した際にファウンドリーに対する発注を大幅に削減したのに、今になって政府を通じて優先供給を要望するのは、市場メカニズムに反すると批判した。
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