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台湾産パイン、中国が輸入停止(トップニュース)/台湾


ニュース 農林水産 作成日:2021年3月2日_記事番号:T00094847

台湾産パイン、中国が輸入停止(トップニュース)/台湾

 中国の海関総署は26日、台湾産パイナップルについて、害虫のカイガラムシなどが昨年以来多く検出されていることを理由に、3月1日より中国への輸入を一時停止すると発表した。台湾産パイナップルは中国が輸出先の97%を占める上、2月下旬に収穫期に入ったところだ。蔡英文総統は、突然かつ一方的で、正常な貿易措置といえないと強く批判した。中国が経済制裁の手段として、パイナップル以外のフルーツに輸入停止の対象を拡大する懸念が広がっている。2日付蘋果日報などが報じた。

/date/2021/03/02/00pineapple_2.jpg蔡総統(左3)は28日、陳其邁・高雄市長(左2)らと同市のパイナップル農家を視察し、政府は必ず農家を守ると強調した(総統府リリースより)

 中国による台湾産農産物の輸入停止は初めて。中国国務院台湾事務弁公室(国台弁)の馬暁光報道官は、カイガラムシなどの有害生物は一度侵入すれば、中国の農業や生態系に脅威となるため、台湾産パイナップルの輸入停止を決定したと説明した。科学に基づいており、中国の法律法規に則っていると強調した。

 行政院農業委員会(農委会)の陳吉仲主任委員は、中国向けに昨年以降に輸出したパイナップル6,200件のうち、中国の通知によるとカイガラムシが検出されたのは13件で、合格率は99.97%に上ったと指摘した。国際基準に従い薫蒸(くんじょう)処理を施しており、リスクはないと反論した。

 農委会によると、パイナップルの年産量は平均42万トン。昨年の輸出量は4万5,621トンで、うち中国向けが97%を占めた。日本向けが2%、香港向けが1%だった。

/date/2021/03/02/fruit_2.jpg

日本輸出、2倍以上へ

 農委会は対策として、中国以外の国・地域への輸出を3万トン増やし、台湾域内での消費と加工品生産を2万トン増やすと表明した。価格安定を図るため、予算10億台湾元(約38億円)を投じる。

 パイナップル輸出業者によると、27日に日本からの受注が3割増加した。陳・農委会主任委員は、28日までに3,500トンの輸出が確定しており、通年で5,000トンへと、前年の2,160トンから倍増すると見込む。

 日本向けでは、鄭文燦・桃園市長が26日、自身のツイッターに日本語で、台湾産のパイナップルを試してほしいと投稿した。2日午後1時時点で3万2,000回リツイートされた。蔡総統もツイッターに日本語で、台湾の銘菓のパイナップルケーキについて投稿した。

 陳・農委会主任委員は、日本のほか、オーストラリア、ベトナム、シンガポール向け輸出を手掛ける多くの業者からも連絡があったと明かした。

企業・個人の購入支援4万トン

 農委会は2日、企業や個人の購入予約や加工用、輸出で合計4万1,687トンの申し出があったと発表した。

 農委会は26日午後1時半より企業や個人に対し購入を呼び掛けた。企業向け予約販売では27日、▽スマートフォン用カメラレンズ最大手、大立光電(ラーガン・プレシジョン)▽食品大手、義美食品(I-Meiフーズ)──など10社から1,600トン、ベーカリー業者の団体、中華民国糕餅商業同業公会全国連合会から加工品用に5,000トンと、計6,600トンの予約があった。

 続いてスーパーマーケット最大手、全聯福利中心(PXマート)が今年1万トン、政府系銀行の第一商業銀行(ファースト・コマーシャル・バンク)が50トン、台湾中小企業銀行(台湾企銀、TBB)が30トンの調達を表明した。陳・農委会主任委員は28日、100社以上から2万トン近い予約があったと説明。個人でも農委会のサイトから購入し、農家を支援できると呼び掛けていた。

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