ニュース 公益 作成日:2021年3月11日_記事番号:T00095014
東日本大震災から10年を迎える中、環境保護団体が提案する住民投票の署名集めを契機に、原発を含むエネルギー問題が再燃している。台湾中油(中油、CPC)の液化天然ガス(LNG)受け入れ基地(観塘工業区、桃園市)建設計画に反対する住民投票の署名は10日までに、最低必要人数の2倍以上となる64万4,105人分が集まった。産業界は、水だけでなく電力までもが不足すると懸念を募らせ、政府に対し原発を再考してほしいと訴えた。11日付自由時報などが報じた。
蔡総統は10日、賛否いずれも環境保護の立場にあり、対立するのでなく、理性的に意見を交換し、解決策を見つけ出そうと呼び掛けた(10日=中央社)
台湾電力(台電、TPC)の大潭ガス火力発電所(桃園市観音区)向けにLNGを供給するためのCPCの第3LNG受け入れ基地建設計画に対し、環境保護団体は生物礁(藻礁)の生態系保護を訴え、住民投票を提案。住民投票の実施に向けた第2段階の署名は10日までに64万4,105人分が集まり、「安全圏」となる45万人分を大きく上回った。18日午前10時に中央選挙委員会(中選会)に提出する予定だ。住民投票の議題に決まれば、8月28日に投開票が行われる。
経済部は、2022年10月にも同基地からのガス供給を開始し、大潭ガス火力発電所の発電機3機を23年に相次いで稼働させる計画だったが、実現に暗雲が垂れ込めている。
中華民国工商協進会(CNAIC)の林伯豊理事長は10日、住民投票が成立し、第3LNG受け入れ基地の建設計画の取りやめとなれば、電力が不足すると懸念し、政府に対し原発を再考してほしいと表明した。
8月28日には、第3LNG基地建設計画のほか、第4原子力発電所(新北市貢寮区)の凍結解除と発電開始の是非を問う住民投票の実施が決まっている。
蔡英文総統は10日、第4原発の凍結解除はあり得ないと語気を強めた。11年3月11日の東日本大震災の津波の影響による東京電力の福島第1原子力発電所事故を引き合いに出し、蔡総統は、日本に大きな打撃を与えただけでなく、台湾に原発事故の恐ろしさを教えたと語り、民進党政権の25年の脱原発目標に変更はないと繰り返した。
原発より再生エネ、賛成66%
経済誌『今周刊』の世論調査によると、原発を再生可能エネルギーに置き換えることへの賛成は66%、反対は19.8%だった。第4原発の発電開始については賛成38.3%に対し、反対が44.8%で上回った。電力安定供給のための家庭要電力料金の値上げについては賛成49.1%、反対44.9%とほぼ変わらなかったが、産業用電力料金の値上げについては賛成が74.8%で、反対16.5%を圧倒した。
調査は、世新大学知識経済発展研究院民意調査研究中心が2~3日に行い、全22県市の18歳以上の1,068人から回答を得た。
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