馬英九政権が掲げるIT(情報技術)推進化の「インテリジェント台湾」の一環として、桃園県政府は13日、桃園Uシティ(U=ユビキタス)計画に着手した。RFID(非接触無線自動識別技術)と無線ブロードバンドによって、生活関連のサービスを大幅に向上させていく。Uシティは全台25都市で展開される計画で、関連商機は150億台湾元(約540億円)が見込まれる。14日付経済日報が報じた。
13日開催の「2008桃園数位城市国際研討会」での朱立倫桃園県長(中央)。桃園Uシティ成功に期待を寄せる蕭万長副総統(右)は、「インテリジェント台湾」の来年の政府予算拡大に前向きな姿勢を示した(14日=中央社)
桃園Uシティ計画は、「愛台12大建設プロジェクト」に含まれる「桃園航空城」や「インテリジェント台湾」などとも連携して、交通、物流、航空、製造、観光、生活の各分野でユビキタスの実現を目指す都市づくりだ。今後3年で6億元を投資する。
WiMAX、県人口36万人をカバー
同県では、経済部工業局が進める「M(モバイル)台湾計画」の一環として、台湾鉄路(台鉄)桃園駅を中心とする37.5平方キロメートル(長さ25キロメートル、幅1.5キロメートル)の範囲のWiMAX(ワイマックス、次世代高速無線通信技術)サービスエリアが年内に完成する。同エリアの居住者40万人以上のうち、90%がWiMAXが利用可能となる。朱立倫桃園県長は、「年末にはインフラ環境がほぼ整う。今後は『U桃園』化を図りたい」と意欲を語った。
RFID身分証、乗車も受診も1枚で
桃園Uシティ計画では、マイクロソフトが、非接触で情報の読みとりや書き込みができるRFIDや、同社開発のウェブ技術、「シルバーライト(Silverlight)」などを提供、ヒューレット・パッカード(HP)が設備機器を主に手掛ける。
マイクロソフトによると、RFIDを身分証に導入することで、1枚のカードで、公共交通機関に搭乗したり、医療機関で本人データの閲覧・記録が可能になる。農業や漁業の生産・流通履歴を管理することもできる。同社は現在、中、南部の県市とも提携について協議中だ。
米市場調査機関、ABIリサーチによると、RFID関連の世界市場規模は、2007年時点の31億米ドルから、11年には7倍の220億米ドルに上る見通しだ。
なお、業界関係者によると、通信キャリアの中華電信や、台湾大哥大(タイワン・モバイル)、通信設備の友訊科技(D-リンク)、合勤科技(ザイセル・コミュニケーションズ)などがUシティ計画の恩恵を受けるとみられる。