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日米共同声明に「台湾」、日中国交正常化前以来(トップニュース)/台湾


ニュース 政治 作成日:2021年4月19日_記事番号:T00095626

日米共同声明に「台湾」、日中国交正常化前以来(トップニュース)/台湾

 菅義偉首相とバイデン米大統領は米国時間16日午後、日米首脳会談を行い、「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調する」と明記した日米共同声明を発表した。日米共同声明で「台湾」を記したのは、1972年の日中国交正常化前の69年以来のことだ。台湾の総統府は、インド太平洋地域の平和と安定に寄与すると歓迎の意を示した。「一つの中国」の原則を掲げる中国政府は、内政干渉だと強く反発した。18日付自由時報などが報じた。

/date/2021/04/19/00japan_2.jpg謝・駐日代表は、平和とは勢力均衡を指し、米国が同盟強化で力を増す中、中国は報復できないと述べた(18日=中央社)

 総統府の張惇涵・報道官は、台湾海峡の平和と安定は両岸(中台)だけでなく、インド太平洋地域、世界の焦点になったと指摘。北京当局が地域の一員としての責任を果たし、台湾海峡や地域の安全や福祉にプラスの貢献をするよう期待を示した。

 外交部は、台湾が中国の防衛ライン「第一列島線」(九州―沖縄―台湾―フィリピン)の中央に位置し、地域の安定と繁栄の鍵となると説明。近隣の国・地域も、陸、海、空の安全に対する圧力や侵略の脅威をわが身として捉えていると強調した。今後も理念の近い国家が、台湾海峡の安全や平和が地域の繁栄や安定にとって重要だと認識してもらえるよう促していきたいと表明した。

中国、「断固反対」

 駐日中国大使館は日本に対し、政治的信頼を損ねるもので、双方の関係を深める努力を邪魔するものだと、強い不満と断固たる反対を表明した。

 17日には、中国軍機「殲16(J16)」が台湾の南西の防空識別圏(ADIZ)に侵入した。台湾の空軍は、無線で警告を発し、地上の防空ミサイルシステムによる監視を行ったところ、すぐに引き返したという。

 フェイスブック(FB)ページ「台湾西南空域」の統計によると、4月に中国軍機が防空識別圏に侵入した日は累計15日で、今年に入ってからは累計90日に上った。

日米台で合同演習を=駐日代表

 日米の首脳会談で台湾について言及したのは、69年当時の佐藤栄作首相とニクソン大統領が発表した共同声明以来のことだ。72年の日中国交正常化以降、日本は台湾「中華民国」と国交を断絶している。

 今回の日米共同声明について台北駐日経済文化代表処の謝長廷・代表は18日のインタビューで、大きな成果だと評価し、日米台で早急に合同演習を実施すべきだと提言した。

 中山大学の中国・アジア太平洋地域研究所の郭育仁・教授は、日本にとって、日中国交正常化以来タブーとなっている「一つの中国」の原則に挑戦するに等しいと分析した。今後、日台間で地域の安全に関する対話が増える一方、日中関係の悪化は避けられないと予測した。

 また郭教授は、東シナ海、台湾海峡、南海諸島で中国軍による挑発的な行為が増えることが予想され、米台の緊密な軍事協力が必要となり、米国防総省の高官が訪台する可能性が高まると分析した。