「阿扁(アビエン、陳水扁前総統の愛称)に別れを告げ、民進党は前進を続ける」――民進党の蔡英文主席は16日、陳前総統の巨額の不正送金疑惑の発覚を受けて、陳前総統の地元の官田郷で開いた募金食事会の席上でこう発言した。長期間民進党を率いてきたリーダーを一刀両断に切り捨て、かつ党での実績に乏しい蔡主席がこう叫ばざるを得ないことが、同党の苦境ぶりを強く印象づける。17日付中国時報が報じた。
陳前総統のスキャンダルで、来年末の県市長選に早くも暗雲が立ち込めたという観測も出ている。蔡主席は危機対応能力を試される初の局面を迎えた
(16日=中央社)
蔡主席はまた、8年来支持者は阿扁の権威に頼ってきたため、今回1人の失敗で党全体が敗北したかのような苦境に陥っている」と語り、「今後は1人のヒーローや一部の権力者に頼ることなく、全員で党をもり立てよう」と、危機に際しての団結を呼び掛けた。
民進党は2億台湾元(約7億円)の資金不足に陥っているとされるが、蔡主席は、陳前総統の事件発覚以来、募金活動が困難となっていることを認めている。同党が開く献金を目的とする食事会でも空席が多く目立ち、台中市や雲林県では事件を機に離党者も出ているという。支持者の多くは、陳前総統の離党では不十分との見方で、党が除名処分とするよう求めている。
8月30日、台湾独立建国聯盟などの独立派団体が、馬英九総統のいわゆる対中傾斜路線に抗議するイベントを計画しており、民進党もこれに参加する予定となっている。しかし、ある民進党支持者が「こんな状況の中、デモを行っても笑われるだけ」と語るなど、同党では参加意欲が落ち込んでおり、盛り上がりに欠ける状況となっているという。