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中国からの輸出受注、急ブレーキ


ニュース その他分野 作成日:2008年8月26日_記事番号:T00009810

中国からの輸出受注、急ブレーキ


 経済部が25日発表した輸出受注額統計によると、7月の中国からの受注額は80億米ドルで前月比で8%落ち込み、これまで2けた成長を維持してきた前年比成長率が2005年以来最低の1.73%まで急降下した。これまで台湾からの輸入に頼ってきた精密機器・電子部品などを中国が自力で生産できるようになってきたことが要因の一つに挙げられており、経済部は「『中国に投資すれば輸出が伸びる』という従来の産業構造に既に変化が起きている」と注意を促している。26日付工商時報が報じた。
   
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 7月は米国や日本からの受注を含む全体の輸出受注額は313億6,400万米ドル、年成長率は5.52%と新型肺炎SARSが流行した03年5月(4.32%)以来最低を記録した。6月に17.66%だった中国からの受注額の年成長率が、7月は急激に低下したことが大きな要因だ。

 これについて黄吉実経済部統計長は「中国はこれまで、電子部品などで30~40%を台湾からの輸入に頼ってきたが、これらを中国メーカーで『自給自足』できるようになってきた」という見方を示した。また、北京五輪を前に中国側の輸入許可に遅延がみられたことから、機械、工作機械などの品目が大きく減少したことも理由とみている。

景気冷え込みも影響

 7月の受注額全体を輸出品目別に見ると、主にIT(情報技術)・通信製品は68億1,000万米ドル、前年同月比で15.7%(9億3,000万米ドル)増と増加幅が最も大きい。これは低価格ノートパソコンの人気が大きな要因とみられる。ただ受注全体で見ると、世界的な景気冷え込みでIT・電子産業が不調に見舞われていることから、7月は米国からの受注が3.21%、日本からも1.69%と低い年成長率にとどまった。昨年8月には35%成長を記録した欧州からの受注も15%増に減退した。

7年ぶりのマイナスへ

 工商時報では、8月の年成長率は、基準となる昨年の受注額が87億4,000万米ドルと高い数値であることから、7年ぶりのマイナスとなる可能性が高いと指摘している。今後も世界経済の成長鈍化が台湾の輸出に影響を与えることが懸念されるが、黄統計長は「最近の台湾元の下落、国際原油価格や基幹物資相場の下落がインフレ圧力を低減し、輸出に有利となる可能性もある」と期待感を示した。また東南アジア諸国連合(ASEAN)向けの機械、電機機器などが今年4月から成長していることを挙げ、「今後の輸出成長の新たな契機となる」と語った。