馬英九総統は、台湾経済がサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題でつまずいた米国の影響を被っているとして、「今後1年間、経済は振るわない」という見方を示した。馬総統が経済に関する悲観見通しを語ったのは就任後初めてで、選挙公約だった「馬上好(すぐに良くなる)」とは180度逆の見解だ。29日付工商時報が報じた。
馬英九総統。30日には野党勢力による馬政権糾弾のデモ行進が予定されている。「今後1年不振」の発言は「無責任な公約破り」という批判を呼びそうだ(中央社)
「経済成長率6%、1人当たりの国民所得3万米ドル、失業率3%以下」の「633公約」を掲げる馬政権が登場して100日が過ぎたが、この7月は、▽景気対策信号が5年ぶりに青信号(景気後退)▽中国からの輸出受注額年成長率が従来の2けた成長から1.73%に急降下▽2年半ぶりの貿易赤字計上──など悪い指標が相次いだ。
馬総統は先日、今年の経済成長率は4.8%になるという強気に見通しを語ったが、直後に発表された行政院主計処の予測では4.3%で、発言の根拠に疑問が持たれた。なお、外資の予測では、JPモルガン・チェースおよびリーマン・ブラザーズが3.9%、ゴールドマンサックスに至っては3.5%とさらに厳しい数値となっている。
馬総統は「政府の最重要課題は投資環境の改善であり、緩和、開放、解禁、自由化および税制簡略化を進める」という方針を語り、「企業の投資意欲引き上げと競争力向上を目指し、海外に進出している台湾企業の回帰投資を呼び込みたい」と抱負を示した。