7月の新規求人倍率が0.8倍となり、同月としては2001年(0.73倍)以来で最低の数値を記録した。特に中・低レベルの技術者の雇用環境悪化が顕著で、専門家からは、中国など海外への生産拠点移転などによる産業構造の変化が主因で、インフレ進行による景気の悪化は一時的要因に過ぎないという指摘が出ている。2日付自由時報は、政府が産業の転換に力を入れなければ、失業問題はさらに深刻化する恐れがあると報じている。
行政院労工委員会職業訓練局の最新の統計によると、求職者と求人企業を結ぶ公的就業サービス機関に登録する新規求職者数は7月、9万8,929人だった。一方、企業の新規求人数は7万8,942件で、求職者1人当たり0.8件に過ぎない。
6月と比べると、求職者数は7,863人増えたが、求人数は1万7,313人減った。前年同月比では、求職者数が10.03%増加したのに対し、求人数は20.65%も減少している。
職種別でみると、一般事務や総務などは1つの就職口を求職者4~8人で争う計算で、最も競争が激しい。このほかの高度な専門技術を必要としない職種では、▽肉体労働▽運転手▽手作業の包装作業▽会計アシスタント──などで、求人数が求職者数を下回る状況になっている。
求人サイト、求職者数が過去最高に
大手求人情報サイトの104人力銀行によると、今年6~8月は求職者にとって過去10年で最も競争が激しかったようだ。同社のサイトで履歴書を「公開」する求職活動中の登録者数は、ピーク時には過去最高の47万人に達したという。
また、1111人力銀行でも7月に履歴書の公開数が前年同月比で28.87%増加した。一方、企業の求人数は20%増を見込んでいたが、期待外れに終わったという。
行政院主計処の統計による7月の失業率は、前月比0.11ポイント増、前年同月比0.03ポイント増の4.06%だった。
外国人労働者増加、就職難に拍車
こうした現状について、台湾大学経済学部の林尚愷教授は、海外投資先が中国に集中していることを問題視。欧米諸国に向けた新製品や新技術提供で、新規雇用機会を創出すべきだと持論を語った。
また、倒産、廃業などによる非自発的失業者らが組織する、中高齢就業促進聯盟の蕭忠漢理事長は、「職を失っている中高年は多いのに、単純労働に携わる外国人労働者を常時、無制限に受け入れていることは問題だ」と指摘した。
労工会、就業機会2500件を提供
労工委員会は、06年から着手した女性の就業率向上を図る「就業多媽媽」計画などのほか、今年下半期にさまざまな支援策を講じ、9月から社会的弱者2,500人に対し就業機会を提供するとしている。また、就職支援クラスを設置するなどして求職活動期間の短縮を図る方針だ。