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【ワイズリサーチ】TSMC、自動車メーカーに先進プロセスの
早期採用呼び掛け


リサーチ 経営 マーケティング 台湾事情 作成日:2023年8月10日

機械業界 電子・半導体

【ワイズリサーチ】TSMC、自動車メーカーに先進プロセスの
早期採用呼び掛け

記事番号:T00110446

 ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)のポール・ド・ボット欧州ゼネラルマネージャーは2023年6月、ドイツで開催された自動車エレクトロニクスの国際カンファレンス「オートモビル・エレクトロニク・コングレス(AEK)」で、5ナノメートル製造プロセスの量産を開始してからわずか2年後の22年に、車載用半導体のサプライヤーが5ナノを採用したと明らかにした。その上で、自動車産業向けに余剰の生産能力を確保することはないとして、自動車メーカー各社に早期の先進プロセス採用を呼び掛けた。

車載用半導体の生産割合、30年に15%へ
 統計によると、TSMCの23年第2四半期(4~6月)の売上高のうち、製品別で車載用半導体はわずか8%だった。半導体メーカーにとって車載用半導体は現時点では重要性が低いものの、今後需要が急増し、30年には半導体生産全体の15%を占めると予想されている。
 ただ、コンサルティング大手のマッキンゼー・アンド・カンパニーの予測によると、30年時点でも車載用半導体の需要全体のうち、90ナノ以前の成熟プロセスを採用した半導体が67%を占める見通しだ。



先進半導体の導入に3~5年必要
 欧米や日本、韓国の大手自動車メーカーが先進プロセス採用の半導体を導入する場合、通常は自動車の設計、テスト、半導体の検査などに3~5年かかる。一方、電気自動車(EV)世界最大手、テスラのようなメーカーの場合、短期間で設計を変更できる柔軟性があり、先進プロセスを採用する意欲も高い。
 自動車メーカーが5ナノや3ナノの先進プロセス採用の半導体を導入すれば、まずコストが上昇する。次に、信頼性のリスクが生じる。さらに、新たな半導体を導入する場合、▽半導体の設計、▽生産、▽パッケージング・テスティング(封止・検査)、▽ソフトエウア開発などに手間暇がかかる。設計の段階だけでも設計フローなど各種の認証を取得する必要がある上、サンプル生産から量産までの段階でも機能安全認証などの取得にさらに2年を要する場合もある。
 車載用半導体は故障率ゼロが求められており、消費者向け電子製品や産業向け半導体に比べると、かなり厳しい条件だ。車載用半導体の初期故障率(ELFR)試験では800個余りのチップを使用し、約半年かけてテストする。うまくいかなければ最初からやり直す必要があり、順調にいった場合でも認証取得に1年はかかる。 

7ナノ採用の車載用半導体が量産開始
 ただ、車載用半導体の大半は半導体企業が供給しており、半導体を自社で生産していない自動車メーカーには製造プロセスを決定できないという一面もある。例えば、20年時点でパソコン用のグラフィックスプロセッサー(GPU)やスマートフォンの中央演算処理装置(CPU)は7ナノが採用されていたが、20年時点で米エヌビディアが供給していた最高性能の自動運転用チップはTSMCの12ナノを採用していた。また、自動車メーカーによる半導体企業のサンプルICのテストが完了してからICが本格リリースされるまで一定の期間があり、自動車メーカーの新車開発時にICがリリースされていなければ、新たな製造プロセスを導入したくてもできない場合もある。
 こうした問題はあるものの、世界の大手自動車メーカーの一部はコロナ禍で成熟プロセス採用の車載用半導体が供給不足となったことを受け、新車やEVに先進プロセス採用の半導体を導入することを決定した。5ナノ採用の車載用半導体はまだ量産前の段階だが、7ナノ採用の車載用半導体は多くが量産を開始しており、今後も先進プロセス採用の車載用半導体の量産が増える見通しだ。

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