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【ワイズリサーチ】台湾の2023年上半期輸出状況と今後の展望


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2023年10月5日

機械業界 製造業全般

【ワイズリサーチ】台湾の2023年上半期輸出状況と今後の展望

記事番号:T00111537

 台湾の2023年6月の輸出総額は323億2000万米ドルで、前年同月比23.4%減少し、10カ月連続の前年割れとなった。インフレ、利上げによる世界経済の低迷でサプライチェーン(供給網)の在庫調整が続いた。
 上半期(1~6月)の輸出総額は前年同期比18%減少した。輸出先別では、欧州連合(EU)以外は大半がマイナス成長となり、▽中国と香港、26.01%減、▽韓国、20.51%減、▽米国、14.93%減だった。





タイ・インド向けは過去最高に
 上半期の東南アジアなど新南向政策の対象国18カ国向け輸出額は414億米ドルで、前年同期比17.1%減少した。うち、バングラデシュ向けは約60%減少した。鉱産品の輸出が大幅に減少した。▽カンボジア、▽ベトナム、▽フィリピン向けは▽紡績品、▽プラスチック・ゴム製品、▽化学品、▽電子部品の需要減でマイナス成長となり、▽オーストラリア、▽マレーシア、▽シンガポール、▽インドネシア向けは▽鉱産品、▽卑金属(ベースメタル)、▽電子部品の需要減で影響を受けた。
 一方、上半期のタイ向け輸出額は前年同期比16%増の44億米ドル、インド向けは12.4%増の30億米ドルで、いずれも過去最高を更新した。タイ向けは情報通信技術(ICT)・オーディオ製品、電子部品の需要が伸びた。インド向けは電子部品サプライチェーンの変化で輸出が伸びた。


米中対立でICT半製品の輸出減
 上半期の輸出額増加率上位5製品は順に▽コンピューター・部品、▽スイッチ・ルーター、▽美容品・化粧品、▽ボート、▽携帯電話。輸出額減少率上位5製品は▽半導体、▽石化製品、▽機械、▽電子部品、▽自動車パーツ・修理用部品。
 主力の▽ICT製品、▽機械、▽電機製品の上半期の輸出額は前年同期比14%減少した。米中対立の影響で特にICT製品の半製品の中国向け輸出が大きく減少した。以前は中国に半製品を輸出し、中国で完成品に組み立てて米国に輸出することが多かった。
 ICT製品のうち、▽人工知能(AI)サーバー、▽スイッチ、▽ルーターは輸出増が続いた。第5世代移動通信(5G)、AIoT(人工知能+モノのインターネット)サービスの普及に伴い、クラウド向けなどの需要が伸びた。ノートパソコンは需要低迷で輸出額がマイナス成長となった。太陽電池・モジュールは世界的な温室効果ガスの実質排出ゼロ(ネットゼロ)の流れにより需要が増加し、輸出額の減少幅が縮小した。
 ICT製品以外では、美容品・化粧品、ボートなどの輸出は増加したものの、その他の▽自転車、▽機械、▽医療機器、▽航空宇宙部品など大半の製品は需要鈍化、在庫調整の影響によりマイナス成長となった。自転車は特にミドル~ローエンド製品の流通在庫水準が高く、輸出受注が減少した。機械は企業が設備投資に慎重になったこと、台湾元の対米ドル下落率が他のアジア通貨より小さいことが原因で需要が減少した。医療機器は在庫水準の高さから需要が減少した。

Q4にもプラス成長回復へ
 下半期(7~12月)は▽高性能計算(HPC)、▽データセンター、▽車載用電子製品、▽AI、▽デジタルトランスフォーメーション(DX)向けの需要拡大が期待できるほか、例年の需要期のため輸出総額が拡大し、第4四半期(10~12月)にもプラス成長を回復する見込みだ。24年通年も前年を上回ると予想される。ただ、今後も▽世界的なインフレ、▽主要各国の利上げ、▽ウクライナ戦争、▽米中対立などの影響を注視する必要がある。

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