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Y’s給与調査5周年企画(下)2009年実績の日台比較


リサーチ 人事労務 作成日:2010年6月3日

日系企業給与動向

Y’s給与調査5周年企画(下)2009年実績の日台比較

記事番号:T00023150

日系の台湾企業と台湾資本の台湾企業の間で給与水準を比較してみましょう。行政院労工委員会が2009年度に発表した台湾企業の給与水準のデータと、ワイズで独自調査をした在台日系企業の給与データを利用します。

月額経常性給与とは毎月経常的に支給されているものであり、内訳は基本給+手当(職務手当、役職手当など)が一般的です。残業代や報奨金など毎月定額に支給されいないものは、経常性給与の中に含まれていません。

ぱっと見では台湾企業の方が安いが…

図1の通り日系企業の全体の月額経常性給与の4万5,316元に対し、台湾企業は低めの3万6,564元でした。職群別のデータを見ても台湾企業の場合は、監督職以外の職群では給与水準が低いです。

その理由として考えられるのは、台湾企業は従業員の経常性給与を故意に低く抑えているということです。これにより、従業員の労工保険や健康保険の企業負担額、退職金積立金を減らせます。ただし、台湾企業は経常性給与を少なめにする一方、報奨金などの非経常性給与の割合を高くしています。

図2は職群別で見た業態別の給与構成です。ご覧の通り、製造業、サービス・その他業態の全体的な平均非経常性給与は6,000元強です。なお、サービス・その他業の場合、経営・管理職(1万4,661元)から一般職(7,813元)まで、非経常性給与の割合が高いです。台湾企業の給与水準は一見低く見えますが、非経常性給与を足せばそうでもありません。

続いて、図1で気になる経営・管理職の日台給与水準の差について説明します。台湾の経営・管理職の給与水準が低いと思われるかもしれませが、実際にはそれ以上もらっていると考えられます。所得額の増加につれて課税額も増えるため、台湾の経営職は給与を低く申告することが珍しくありません。給与ではなく、取締役報酬や、配当でもらう人も多いです。

図1で2点目に注目していただきたいのは日系企業の監督職の給与が台湾企業のそれより低いことです。これは日系企業は監督職の割合が高く、給与を高く設定できないという現実的な問題が存在しているためです。このため、日系企業では監督職の離職率が高く、中堅層幹部の人材の定着が課題になっています。

ベアアップを実施する企業が大幅に増加

一方,ベースアップに関しては、台湾大手人材バンク104が調査しています。今年のベースアップ実施企業は昨年度の3.7%から19.6%へと大幅に増加しました(図3)。金融危機の不況から抜け出し、景気が好転したことが主な要因と考えられます。

また同調査によると、2010年度の台湾企業全体のベア率は3.38%です(図4)。業界別で見た場合、金融・保険業が5.7%のベースアップ率で1位でした。同業界はリーマンショックの影響で昨年は大きなダメージを受けましたが、今年は景気回復に伴い、給与水準も上昇しました。中台間の金融監督に関する覚書(MOU)が結ばれ、金融交流の促進を通じた業界活性化への期待が高まったことも背景にあると思われます。

日系企業の場合、弊社が3月24日~5月14日に85社を対象にアンケート調査を実施した結果、今年ベアを実施する企業の割合は前年比61%増加し、43.5%となりました。台湾企業と比較すると2倍以上の実施率となっています。09年は金融危機を受けて各業界で減給、無給休暇など人件費削減策が行われ、日系企業でもベアを実施した企業の割合は09年は27%と08年の45%から大きく低下しました。

ベースアップ率は、台湾の企業や公務員の場合、1人当たり国民所得や物価指数、経済成長率を考慮して決めるのが一般的です。日系企業ではそうした要素を重要視していないようで、今年のベア率は昨年度と同水準の3.1%でした。

同調査では、半数以上の企業がベースアップをしないと回答しました。その理由としては、「もともと実施していない」が33%、「本社指示により実施しない」が31%、「人件費削減のため」が16%、「赤字のため」が11%でした。

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陳 逸如

陳 逸如

ワイズコンサルティング社副社長兼ワイズリサーチ社総経理

 2006年入社、グループ副社長の傍ら豊富な專門知識を有しマーケティング及び人事労務のコンサルティング、各種研修・セミナーの分野で幅広く活躍している。クライアントの信頼も厚く高い評価を受けている。また市場調査やデータ分析にも精通し、客観的な視点からビジネス戦略の立案を行っている。(言語)日本語◎・中国語◎

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