リサーチ 作成日:2012年7月4日
日系企業給与動向記事番号:T00038039
第3回は在台日系企業と台湾企業の給与水準を比較する。
日系、経常性給与が多め
日台の給与水準を役職別にみると、全体的に日系企業の月額経常性給与の水準が高いことが分かる(図1)。これは台湾企業が月額経常性給与を低く抑えて、コストダウンを図っていることが一因にある。月額経常性給与は時間外労働の割り増し賃金などの算定基準となるため、低く抑えれば企業の費用の負担を減らせるからだ。
一方で、台湾企業は非経常性給与(賞与や報奨金)を多く支給する傾向がある。こうして給与総額のバランスを取っているようだ。例えば図1を見ると、特に経営職で日台の給与水準の差が顕著だ。しかし、ボーナスや自社株現物支給(分紅)等を合わせた実際の台湾企業の給与水準はもっと高いだろう。
非経常性給与は経常性給与と比べ、会社で支給額をコントロールしやすい。そのため非経常性給与の割合が高いほど、経営状況が悪くなった場合に人件費を抑えることができるなど、経営リスクに強いというメリットがある。台湾企業が業績が良いとボーナスを多く支給し、業績が悪くなると大幅に支給額を減らすのもこうした考え方が根底にある。
一方、日系企業は経常性給与を多く支給し、また業績にかかわらず安定した賞与を支給する傾向がある。このような企業で働く従業員は安定収入を得られるため、安心して働くことができるというメリットがある。
一概にどちらがいいとは言えないが、給与の支給方法からも日台の違いがうかがえる。
台湾企業、技術職を優遇
日台の給与水準を比較する上で、専門職に注目したい。台湾企業の水準が唯一上回っているのが専門職だからだ。
本調査における職種別の分析でも、技術職(研究開発・商品企画)の給与水準は日系企業よりも高かった。台湾企業に技術者を優遇する傾向があることが分かる。特に製造業は、どの業種でも専門職ならば台湾企業の水準の方が高い。電気電子などハイテク産業はとりわけ顕著で、給与水準の差は1万元近い。
次回は日系企業の福利厚生について紹介する。
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