リサーチ 作成日:2012年7月3日
日系企業給与動向記事番号:T00038015
第2回は役職別と職種別に、日系企業の給与水準について紹介する。
監督職は賃金低下傾向に
まず、役職別の給与水準について見てみよう。役職区分だが、本調査においては経営職(トップマネジャー)、管理職(ミドルマネジャー)、監督職(ロアーマネジャー)、専門職、一般職の5つに分けている。
図1のグラフは役職別の月額経常性給与の水準を表したものだ。役職が高くなるごとに、給与水準が高くなるのは当然だが、日系企業で特徴的なのは監督職で給与水準が低くなっていることだ。グラフを見ると、上限が低く抑えられていることは明らかだ。これより、経営職や管理職と比較して、監督職では給与が大幅に増加する見込みが少ないことが分かる。日系企業で高所得を目指すならば、管理職、経営職にならなければ難しい。なお、監督職の給与水準が低くなっているのは、日系企業では台湾企業と比較して監督職の割合が高いことが一因にある。人数が多いため、給与の底上げができないのだ。
一方、経営職、管理職になると、給与の水準は、個人でばらつきが見られるようになる。経営職は特に製造業でその傾向が強く見られた。一方、貿易卸売業では、経営職の月額経常性給与の平均は10万台湾元から15万元の幅に収まっている企業が多い。また、管理職については、業態より業界により給与水準が左右される傾向にある。電子電気業界が比較的高い傾向にあり、化学、機械業界が続く。
営業職の賃金は高め
次に、職種別の給与動向を見てみよう。職種別に給与水準を見ると、営業職が他の職種と比較して高いことが分かる(図2)。一般営業では月額経常性給与の平均は5万1,837元、技術営業では4万8,980元となっている。
年収で見ると、営業職の給与水準は他の職種と比べて高水準であることがより顕著になる。他の職種の年収平均が、事務職(営業事務・購買)、技術職(研究・開発・商品企画)で60万〜70万元程度に対して、営業職の年収平均は約75万元から80万元程度になっている。年収における差が顕著なのは、営業職には個人へのインセンティブや業績報奨金などの非経常性給与を別途に支給している企業もあるからだ。
さらに、職種別の分析では、技術職(工場・現場作業者)の賃金が、月額経常請求の平均で3万元台と低く抑えられている傾向が見られる。ワーカー等の賃金を低くしているためだが、一方で最高額は12万4,758元と比較的高くなっている。これには現場責任者などが該当すると思われる。また、工場・現場作業者は、年収においても他の職種とくらべて水準は低く、平均で約45万元と大きな差が見られる。
なお、図2において、事務職(一般/人事・会計・総務・秘書等)の給与水準が高くなっているのが、気になるところだ。一般的に事務職(一般)では給与水準が低いイメージがある。しかし、今回のサンプルにおいて、事務職(一般)は他の職種に比べて役職付きの割合が高く、これによって同職種全体の水準が引き上げられた。
次回は在台日系企業と台湾企業の給与比較について紹介する。
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