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【ワイズリサーチ】工作機械の高価値化が
金属の製造プロセスを進化させる


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2013年8月8日

機械業界 電機機械

【ワイズリサーチ】工作機械の高価値化が
金属の製造プロセスを進化させる

記事番号:T00062462

 台湾業界は2013年に、2012年の世界的不景気から離脱すると期待されたが、行政院主計処が公表した2013年Q1の経済成長率は、予想された3.26%ではなく、業者を失望させる1.54%であった。経済の先行指標である工作機械業界にとって、輸出の勢いが足りないことを一番懸念している。ターンキーの解決策や技術力を提供できるメーカーは、安定した利益を得るためにも、更なるリスク回避、または付加価値サービスの提供をする必要がある。(表2を参照)

 財政部が統計した税関輸出入データを細かく分析すると、2013年Q1の輸出成長率は期待値の4.71%に満たず、僅か2.4%増の17.4億米ドルであることが分かる。

 台湾機器組合(TAMI)が公表した機器製品の輸出は、昨年同期比7.9%減の43億1440万米ドルであり、台湾元で計算すると9.1%減の1265億元になり、2013年の機器製品の輸出に関しては不確定要素が多いことが分かる。台湾機器組合の秘書長である王正青は、台湾工作機械業界は困難に直面しており、更に、急速な円安で為替レートの変動幅は15%に下がり、国際受注に影響が出ていると説明した。

 自動車、航空、国防、機械、モジュール、電子機器、発電機などの部品を除いても、工作機械は他の機器設備の部品を生産する機械としても使用できる。また、半導体やパネルなどの新興ハイテク産業の一部の製造プロセスや、部品、消耗品の加工において、工作機械は必須なものであり、上流業者と下流業者は密接な関係を持っている。

 工作機械発展基金会(TMTF)が公表した今年1月の金属切削工作機械(Metal Cutting MT)の輸出は昨年同期比17.9%減のマイナス成長であるが、金属成形工具(Metal Forming MT)は12.8%の成長を見せた。同じ工作機械業界の中でも、異なる領域の状況とニッチにより、収益の違いが現れる。近年、金属加工の二大産業は異なった技術及び発展傾向を見せている。
 金属切削工作機械の大手メーカーである東台精機集団(Tongtai Group)の取締役会会長である厳瑞雄は台北国際工作機械展示会(TIMTOS)で開催された記者会見で、工作機械も、金属加工の一種であり、顧客の各自の需要により、不必要な材料を削減していると発言した。

 従来のターニングとミーリングを除き、約40年前から米国の推進により、デジタル制御のCNC時代に入った。その発展に伴って開発されたマシニングセンタ(Machine Center)もフライス盤の部類に所属している。マシニングセンタは、元々数多くの工作機械の加工を通じないと完成できない製品を一台で完成できるように、多様な替刃セットを一つの機械に備えた工作機械である。

 この20年間で、異なる機種を一つにする5軸、旋盤とフライス盤機能がある複合加工機も現れた。機器組合の理事長である徐秀滄は 今年のTIMTOSに、2013年は複合加工機の時代になり、業界の競争パターンが静かに変化していくと指摘した。

 複合加工機は、一回セットすれば、全部の加工手続きを完成させる工作機械であり、他の機械は要らず、ワークピースの移動による基準も変わられないため、ワークピースの精度も工作の効率も大幅に向上させた。以前、加工できなかったプロセスも可能となり、台湾メーカーは多くのワークピースを一つのワークピースに替える加工プロセスを設計できるようになった。

 しかし、複合工作機も一般工作機械もそれぞれの市場があり、中小量の生産者にとって、複合工作機が良い一方、大量生産者にとって、各種類の一般工作機械を備えた方が良いと厳瑞雄も指摘した。異なるワークピースを加工する場合では、カスタマイズの治具、刃具とあわせて使用する。スタンダードな機械だけ買って、自分で処理する顧客もいる。一方、量産をする自動車業界は、ターンキーという解決策が必要となり、工作機械メーカーに全機システムと治具、刃具、加工プロセスの設計を任せている。因に、東台精機は自身をトータルソリューションの提供者と定義している。

 工作機械の同業他社と同様にスタンダード機種しか売らない場合、通路を把握すれば、設計を外部委託にすることができるようになる。加えて中部の広大なる産業クラスタの支援により、一定程度のスペースがある工場をレンタルすれば、出荷できるようになり、台湾工作機械メーカー間の競争は激しくなる。

 顧客のニーズを満たすために、東台精機は約4〜5年前からターンキーというサービスモデルを始めた。東台精機は営業の際、あまりカタログを提供せず、顧客には機種を見せ、実際のニーズを聞き、十分な情報を得てからトータルソリューションを提供している。また、機器の寿命は10〜20年あるため、メンテナンスを提供するサービスは、企業を維持する方法でもある。
 また、カスタマイズにおいて、工作機械の交付期限と部品の購買は比較的重荷となるため、東台精機はスタンダード機種の市場を放棄せずに、更なる改善により、低コストで、カスタマイズのニーズを満たしたい、と厳瑞雄は述べた。

 東台精機は1980年代には、既に台湾最大の専用機械工場であり、「専用機械の東台」という異名も持っている。最近はリスクの分担、収益の増加を図り、栄田精機、譁泰精機、亞太菁英などの子会社を次々と合併買収し、資源、技術を共有し、日本と韓国の大手企業と競争するために、顧客がワンストップショッピングできるようにしている。台湾工作機械業界において、大型会社になるより、強力な会社になることが重要だ、と厳瑞雄は強調した。

 電子、ハイテク産業などの場合、世界トップ3企業にならないと覚えてもらえないといわれているため、小型メーカーを侵食し、買収することで利益を拡大している。工作機械の産額は高くなく、欧米と日本などの大国とも競争する必要がある。世界上位百位のメーカーを例に上げると、独特なニッチ市場で利益をもたらせば、競争力が50位でも5位に負けないともいわれており、大事なのは長期事業として運営することだと厳瑞雄は指摘した。1997年のアジア通貨危機の時、40%の収益も失った東台精機は、単一の集団になり、顧客を各業界、地域に分散した方が、運営が安定になることが分かり、合併をはじめた。現在、東台精機は既に自動車から、航空、エネルギーなどの業界に部品、製造及びトータルソリューションを提供できる企業になった。
 今年のTIMTOSに、東台精機の展示テーマ
は「easy to make money」である。それは、コストダウンにも限界があるため、コストパフォーマンスより、機械の性能と価値を向上した方が良いと強調しているテーマである。

 工作機械も資本の一種であり、顧客は稼ぐ効率を上げるために工作機械を買っていると厳瑞雄は考えている。そこで、「3E4A」というコンセプトをいち早く考案した。顧客に良い性能を実感させるだけでなく、easy to se tup(簡単操作)、easy to keep productivity(簡単生産力維持)、easy to maintain(簡単メンテナンス)なども必要であり、加工、操作支援、知能化、自動化などの機能も加え、超音波加工、初物件の急速出力、3D干渉衝突防止、自動化メカニカルアームなどの4A技術も提供するというのが、「3E4A」である。

金属成形加工業界、レーザーとオール電化を加速

 業界全体が低迷していた2012年に、板金機器のFMSが逆に成長した理由は、中国の人件費が急激に上がったことにより、業者が早めに自動化機械を購入するようになったことである。今の動向から見ると、単一機器の成長は以前のように盛んでなくなっており、オール生産ラインの輸出だけ成長していると、機器組合の金属成形専委会の林溪文会長はTIMTOSの開催期間に指摘をした。

 そして、過去五年間は景気循環が速く、大量購買による生産過剰になっており、加工による利潤は殆どなくなっている。しかし、中国との競争に臨み、知能化技術の強化及び顧客の技術力向上のために、台湾の設備メーカーは、台湾の発展にもっとも適切で安い製品を提供する責任がある。そして、台湾の加工競争力を上げるため、新たな知能化指向の見積価格計算法を作るべきである、と林渓文は指摘している。また、現在の成形設備には二つの傾向があるという。

1.オール電技術
 エコに対する意識が広まっている今、オール電システムがスタンピングなどの成形機械に使われている。台湾メーカーはサーボモーやコントローラなど重要部品の開発に着眼点を置いたことで、開発力が強化され、コストも低くなった。

2.レーザー設備
 今後、板金、パイプなどの加工領域は、レーザー化という方向で発展をしていく。近年、ファイバーレーザーが特に盛んで、コストは従来の炭酸ガスレーザーより20%減、4mm以下のステンレス鋼の処理速度は3倍速になり、買い替えの需要を引き上げた。

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