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【ワイズリサーチ】台湾動力工具業界の現状と展望


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2013年8月23日

機械業界 動力工具

【ワイズリサーチ】台湾動力工具業界の現状と展望

記事番号:T00062477

一.運営現状
1.台湾国内の需要減少により、2012年に動力工具業界は生産額及び売上の減少傾向を示し、その傾向は2013年も続くと推測されている。

 米国の住宅市場は景気回復しており、住宅修理への支出も増えているため、本産業の輸出にとっては有利である。しかし、12年の台湾経済成長は僅かとなり、実質賃金も減少傾向が現れ、奢侈税及び実際売却価格登録により、住宅市場は影響を受け、新築購入及び住宅修繕する人が減少した。内政部の統計データによると、12年に所有権移転登記された建物(初回の所有権登記も含め)は、11年と比べ5.56%減の55.85万軒である。そのため、動力工具業界の国内市場が不況になり、12年の生産額と売上は年間減少率2.11%減と2.46%減の116.61億元と119.26億元になった。(表1参照)

 また、欧州の経済不振及び日本円の切下げは、本産業の輸出に影響を与えたため、13年Q1での台湾動力工具業界の生産額と売上は依然減少傾向を示している。
 

2.2012年に台湾動力工具業界の輸出入額は増加傾向を見せたが、その伸びは既に鈍化しており、2013年Q1での輸出入額は減少傾向になると推測されている。

 近年、経費削減を図り、台湾動力工具業界は中国に工場を置き、製品を再度台湾へ運び、販売するようになったため、本産業に関する輸入が増加した。しかし、奢侈税の実施により、12年に所有権移転登記された建物は11年より減少し、室内装飾事業も不況になっているため、動力工具業界の輸入額は年間成長率2.16%増の16.64億元となり、その成長幅は著しく下落した。また、人民元の切り上げにより、中国からの輸入需要が下落したため、13年での台湾動力工具業界の輸入額は下落すると予測されている。輸出に関して、台湾動力工具業界の主要輸出相手国であるアメリカの住宅市場の回復により、本業界かに対する需要が伸びた一方、欧州は債務危機により、台湾動力工具業界に対する需要が下落した。また、中国の輸入代替政策及び政府が住宅市場に対する抑制は、中国への輸出鈍化の原因になり、12年に台湾動力工具業界の輸出額は、年間成長率4.92%増の36.77億元となった(表2参照)。

 アメリカ税関のデータによると、13年1月に日本からアメリカの輸入は年間成長率27.97%増を達したが、台湾からの輸入は5.96%減となり、日本円の切り下げは台湾の輸出競争力に影響を与えていることが分かる。また、欧州が経済不振であるため、本業界への需要が下落し、それに加え、13年での中国経済成長が予想より思わしくなく、住宅市場の価格上昇を抑制手段として国五条政策を実施されているため、13年Q1での台湾動力工具業界の輸出額は減少傾向を示している。

3. 伸び続く輸出により、2012年に力山工業と力肯実業の連結営業収益は成長したが、13年1〜3月での連結営業収益に関して、力山工業は減少傾向を示しており、鑽全実業は低迷状況である。

 12年に台湾動力工具業界の売上は下落したが、輸出指向のメーカーはアメリカ住宅市場の回復により、連結営業収益は成長した。元々の小型手工具及びフィットネス機器などの業務以外に、力山工業は増加四輪駆動関連事業部門を設置し、知名度の高い北米自動車部品メーカーであるWARNとも連携協力して、正式に自動車部品業界へ参入した。そのため、12年に力山工業の連結営業収益は、年間成長率31.29%増の33.18億元となった。また、力肯実業の連結営業収益も30.55%増に成長した一方、自動車用空圧工具の需要減少により、鑽全実業の連結営業収益は11年比8.90%減の25.29億元となった。13年では、住宅市場の価格抑制手段である国五条政策の実施によって鈍化した中国の住宅市場及び日本円の急速な通貨切り下げが、台湾動力工具業界に影響を与えている。そのため、13年1〜3月の連結営業収益に関して、力山工業は年間減少率5.78%となり、鑽全実業は20.87%減である下落幅に拡大され、力肯実業だけが強い勢いの成長を示した。

 利益に関して、鑽全実業の連結営業収益は下落し、為替差損にもなり、純利益は11年比84.71%減となった。そして、力肯実業も為替差損によって純利益が赤字になった。力山工業だけは連結営業収益の増加及び為替差損の減少により、純利益が黒字になった(表3参照)。

二.業界動向
需要減少により、2012年での中国動力工具業界は、営業利益と総利益の伸びが鈍化し、中国市場に投資した台湾業者は赤字になった(表4参照)。

 欧州の債務危機により、12年の中国経済は減速し、住宅価格の上昇に伴い、中国政府は数多くの抑制対策をとっているため、住宅市場の低迷が家具業界にも悪影響を及ぼし、動力工具業界への需要も影響受けて低下した。そのため、12年の中国動力工具業界は、営業利益が年間成長率僅か1.74%増の819.21億元にしか達しておらず、総利益の年間成長率も9.35%増しかなく、成長の伸びは著しく鈍化した。中国の市場需要が低下している上に、業界競争も激しいため、12年の力山工業と力肯実業の中国市場は赤字となった。

三.景気展望
1.欧州の経済不振、中国の住宅市場への抑制及び日本円の切り下げが、台湾動力工具業界の輸出に影響を与えているため、2013年の生産額は減少傾向を示し続く恐れがある。

 13年では、欧州経済は依然経済不振であり、ヨーロッパ諸国が採用している緊縮政策も民間購買力に影響を与えているため、台湾動力工具業界に対する欧州の需要が下落している。また、中国の住宅市場への抑制及び輸入代替政策も、中国市場に進出する台湾動力工具業界に不利である。日本円の切り下げも台湾動力工具業界の国際競争力に影響を与えているため、13年の本産業の売上は、12年の減少傾向が続くと推測されている。

2.台湾動力工具業界全体の売上は減少する恐れがあるが、原材料価格の下落及び台湾元の切下げ傾向により、2013年ではメーカーの粗利益が上昇する可能性がある。しかし、中国においての投資は赤字が続く。

 海外市場の需要減少と円安により、13年も引き続き、台湾動力工具業者の営業収益に影響を与える。しかし、原材料価格の下落によって、経費節減圧力が緩和されており、通貨の切下げ競争によって、日本円、韓国ウォンに続いて、台湾元も切下げ傾向を示しているため、メーカーの粗利益は上昇する可能性がある。一方、中国に関しては、業界競争が激しいため、中国の投資は赤字が続くと思われる。

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