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【ワイズリサーチ】自動車部品および車体製造業の業界現状


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2013年9月5日

機械業界 自動車・二輪車

【ワイズリサーチ】自動車部品および車体製造業の業界現状

記事番号:T00062482

 台湾における自動車販売台数の減少と中国での受注落ち込みにより、2013年1〜3月期の自動車部品及び車体製造業界の生産額と売上高は減少した。

 13年第一四半期の台湾の経済成長率は、前年通年の1.32%から横ばいのわずか1.67%であった。台湾の経済不振は続いており、従業員への昇給額やボーナス支給額が減少したことから第一四半期の自動車販売台数は落ち込んだ。専門家によれば、13年第一四半期の台湾産自動車の車両番号標の発行数は前年同期比9.15%減の6.39万台で、需要が低迷していることが分かる。さらに日本円の大幅切り下げによって日本メーカーからの受注が減少したことに加えて、尖閣諸島問題による日中関係の悪化を受けて中国市場での日本車販売台数が激減したことから、中国市場の日系自動車メーカーに製品を提供している台湾の自動車部品及び車体製造業界は打撃を受けることとなった。13年第一四半期の同業界の生産額と売上高は、それぞれ同4.56%減、4.83%減の437.46億元と453.48億元だった。13年4〜5月期の台湾産自動車の車両番号標の発行数は同3.99%減であり、さらに4月は中国と日本への輸出台数も激減したため、13年第二四半期も生産額と売上高の減少は続くとみられる(表1参照)。


 2013年第一四半期、自動車部品及び車体製造業の売上高はバス車体及び電装部品を除て減少した。

 台湾の新車販売台数の減少及び海外市場の需要縮小により、13年第一四半期における自動車部品及び車体製造業の売上高は落ち込んだ。売上高の大半を占めている「その他自動車部品」の売上高は232.40億元で、前年同期比4.84%減となった。また「自動車エンジン及び部品」、「自動車車輪」、「自動車サスペンション・トランスミッションシステム及び部品」、「自動車用ステアリングシステム及び部品」、「自動車ブレーキシステム及び部品」も新車販売台数の低迷のあおりを受け、ともに売上高は前年同期比減となった。なかでも「自動車用ステアリングシステム及び部品」の売上高は同28.81%減と大幅に下落した。また「トラック及びその他車体(コンテナ含む)」は、小型トラック及び大型トラックの生産額がそれぞれ同32.74%減、57.53%減と下落、売上高は同20.44%減の4.25億元となった。一方で「バス車体」は同19.15%増となり成長をみせている。財政部統計処が公表したデータによると、自動車の衝突事故の増加によって電装部品の需要が増加、第一四半期の自動車修理総額は同19.54%増となっている。さらに自動車電装部品の輸出も伸びたため、「自動車用ランプ」および「その他自動車部品」の売上高は、それぞれ同3.02%増、3.10%増の71.66億元と40.03億元となった。台湾内の自動車販売台数の低迷と海外市場からの受注減から、「自動車用ランプ」及び「他の自動車部品」以外の各製品は第二四半期も厳しい状況が続く見通しだ(表2参照)。


 台湾の新車販売台数の減少により2013年第一四半期の輸入額が減少。さらに中国と日本からの受注減で輸出額も前年同期比1.56%下落した。

 13年第一四半期に台湾での自動車販売台数が減少したことによって、関連部品の輸入額は前年同期比16.24%減の129.11億元にとどまった。その下落幅は前年第四半期からさらに大きくなっている。とくに最大輸入相手国である日本からの輸入額が同33.02%減の57.22億元で、輸入額全体に占める割合も44.32%まで落ちた。輸出額については、米国の自動車市場の景気上昇と国民購買力の回復によって、とくにアフターマーケット(AM)市場での需要が伸びた一方、日中関係の悪化によって中国で日本車の販売が激減したため、中国の日系自動車メーカーからの需要が落ち込んだ。また日本円の大幅切り下げにより、日系自動車メーカーからの受注も減少したため、13年第一四半期の輸出総額は同1.56%減の351.05億元となった(表3参照)。


 2013年第一四半期、輸出相手国トップ5か国への輸出はアメリカとイギリス以外は減少した。

 これからは主要輸出相手国について分析する。アメリカは台湾の自動車部品および車体製造業界にとって最大の輸出相手国であり、その経済回復によって自動車販売台数が伸びており、AM市場も台湾メーカーへの受注を加速させている。13年第一四半期の対アメリカ輸出額は144.08億元、ただし前年同期比の成長率は比較対象となる前年同期の輸出額も比較的好調だったため2.44%増にとどまった。また対イギリス輸出は同29.78%増と大幅成長した。一方、中国市場では尖閣諸島問題で日本車販売台数が激減したことにより、日系自動車メーカーを主要取引相手としている台湾メーカーは打撃を受けている。さらに急激な日本円切り下げによって日本自動車メーカーからの受注も減少、13年第一四半期の対中国(香港含め)及び対日本輸出額は、それぞれ同17.25%減、9.08%減の25.03億元と19.01億元となった。またドイツへの輸出は同0.05%減と小幅に下落した(表4参照)。


 台湾内での需要減及び中国からの受注減により、2013年1〜5月期は多くのメーカーの売上高が減少した。

 台湾自動車市場の低迷及び中国と日本からの受注減により、13年1〜5月期は自動車部品及び車体製造業の多くの上場会社と非上場企業の連結売上高が減少した。とくに江申工業はトラックと車体の需要が減少した影響で、売上高は前年同期比29.23%減と同業界各社の中で最も下落した。瑞利企業、大億交通工業、源恆工業などは連結売上高が前年同期比で一割以上も下落した一方、東陽事業と帝宝工業はアメリカのAM市場の活性化とそれに伴う流通業者の在庫補填需要の恩恵を受けて、連結売上高はそれぞれ同15.03%増(79.51億元)と3.67%増(54.57億元)と成長した。また、堤維西(TYC)は13年には台湾企業として22社目に「中国馳名商標」を獲得する見通しで、中国市場での好調から13年1〜5月期の同社の連結売上高は同9.48%増の66.59億元となった。

 これからは利益について分析する。自動車部品及び車体製造業界の連結売上高は減少傾向だが、海外事業の財務諸表は人民元の切り上げによって為替差損益があるため多くのメーカーの総合損益は増加している。なかでも東陽と江申は倍以上の成長をみせており、瑞利、堤維西、耿鼎は黒字転換している(表5参照)。

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