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【ワイズリサーチ】政府による半導体製造設備産業強化策


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2013年12月19日

機械業界 電子・半導体

【ワイズリサーチ】政府による半導体製造設備産業強化策

記事番号:T00062551

 行政院経済建設委員会(経建会)によると、近年台湾政府は半導体製造における前工程製造装置の現地調達率引き上げを積極推進している。これにより装置を使用するメーカーのコスト抑制、装置メーカーの技術力向上を促し、産業チェーン全体の健全化を進め、競争力を高めたい考えだ。このため政府は産学の研究開発(R&D)リソースを結集し、同産業の技術的アップグレードを支援している。

 

半導体製造装置の世界最重要市場・台湾

 台湾は半導体産業が発達しており、IC設計、半導体製造、パッケージング・テスティング(封止・検査)のいずれの分野においても世界市場で重要な地位を占めている。特に台湾積体電路製造(TSMC)と聯華電子(UMC)はファウンドリー分野で長きにわたり業界をリードしており、市場シェアは両社合わせて50%を超える。SEMI(国際半導体製造装置材料協会)が2013年9月3日に発表したレポートによると、台湾における今年度の半導体製造装置支出は米国(約80億米ドル)、韓国(約70億米ドル)を上回る104億米ドルに上り、世界全体(363億米ドル)の28.7%を占める。このことから、台湾は世界で最も重要な半導体製造装置市場であると言える。


 

地場メーカー成長の可能性

 TSMCといった企業の設備投資のうち、約8割が半導体前工程製造装置に振り向けられるため、台湾における半導体前工程製造装置産業には大規模な需要が見込める。しかし、関連地場メーカーは発展の途上にあることから、市場の大きな部分を海外メーカーに奪われている状況だ。全体的に見ると、2012年の台湾における半導体前工程製造装置産業生産額は213億台湾元だが、装置の現地調達率は1割前後にとどまった。台湾の半導体製造装置メーカーの多くは、後工程のパッケージング・テスティング装置技術のみを有しており、半導体製造メーカーが必要とする重要設備の現地調達率を高めることができていない。前工程装置において競争力を備えたメーカーは漢民微測科技(エルメス・マイクロビジョン、HMI)など一部に限られ、台湾の装置メーカーが短期内に大幅な成長を遂げることは困難と考えられる。
 

発展に向けた潜在的優位性の活用

 半導体前工程装置産業は、半導体産業の発展と不可分の関係にあるため、産業チェーン全体の強化に向けて積極的に関連技術の育成を図る必要がある。ただ、現在業界をリードする海外メーカーはそれぞれの分野で強大な地位を築いているため、台湾の装置メーカーにとって参入障壁は非常に高いものとなる。しかし、台湾は半導体産業における世界最重要市場であるため、製造装置メーカーは顧客と密な関係を築いて共同開発を進めたり、アフターサービスを充実されることが可能となる。かつ台湾市場における需要は長期にわたり国内製造装置産業の生産額を上回っており、これは台湾市場に依然開拓の余地があることを意味する。またTSMCやUMCと製造装置メーカーが共同で次世代の製造プロセスを生み出し、市場で先手を打てるよう、台湾に豊富に存在する理工系分野の人材を有効活用すべきと考えられる。

 18インチウエハー工場の製造装置については、多くの装置メーカーが現段階で開発に注力しているとは言えず、市場のトレンドが明確になっていない。しかしファウンドリー業者による新世代工場建設への投資が始動すれば、改めて製造装置の見直し、評価、導入が進み、業界再編の波が起きることになる。参入障壁が高いとは言え、現在市場シェアの低い台湾メーカーはこの波をつかんでこそ将来的な商機獲得競争に加わることが可能となる。

 このほか、世界有数の競争力を備える台湾の精密機械産業は、ボールねじ、リニアガイド、ねじ研削盤といった重要部品を世界の半導体装置業界をリードするメーカーに供給している。2012年、台湾における半導体製造装置用部品および消耗材の現地調達率は既に38%に達しており、関連メーカー間の戦略提携を促進すれば大きな発展が期待できるため、政府は積極的にこれを促進している。

 経済部、国家科学委員会(国科会)、教育部は2012年、台湾の産業技術蓄積に向け「工業における基礎技術強化・発展プラン」を策定し、MOCVD(有機金属気相成長法)装置を含む10項目を先行して推進すべき工業基礎技術にリストアップした。また経済部は2000年以降、「半導体製造装置および部品躍進計画」を積極推進しており、国内のファウンドリー、精密機械、半導体製造装置メーカーの三者共同による技術開発を促し、装置の現地調達率向上を目指している。さらに同計画は推進拡大を予定しており、今後4年間で3億3,000万台湾元の経費を投入し、国内装置メーカーの開発力および経営規模のレベルアップを促したい考えだ。これによりファウンドリー業者もサプライチェーンにおけるリスクを軽減でき、価格交渉力を強化することが可能になると見込む。

 台湾半導体産業全体の競争力を強化するには、重要な科学技術を確保するとともに、各分野の企業が広い戦略的視野に立って密接な協力を保つほか、政府も継続して関連技術の発展を見守る必要がある。そうすることで国内産業は有効に潜在商機をつかみ、装置需要、現地調達率、世界シェアのいずれにおいてもレベルアップが可能となる。

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