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【ワイズリサーチ】ポンプ・コンプレッサ・
タップ・バルブ業界の現状と展望


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2014年1月16日

機械業界 ポンプ・コンプレッサー・コルク・バルブ

【ワイズリサーチ】ポンプ・コンプレッサ・
タップ・バルブ業界の現状と展望

記事番号:T00062563

一.運営現状

1.台湾国内における石油化学産業への投資規模は縮小し、海外市場の需要も低下したため、2013年第3四半期の当業界の生産額及び売上高の成長率は衰退傾向を示し、第4四半期にもこの状態が引き続くと予想されている。

 当業界のポンプとバルブは主に石油化学産業と水利環境工学に使われている。12年Q3以降、▽設備更新に関する台湾石油化学産業の需要減▽中国の投資減少▽中国の輸入代替政策——により、当業界の売上高成長率は数四半期に渡って衰退傾向を示していた。しかし、13年Q3に世界原油価格が高騰して、石油化学業者は生産能力の拡大を図って関連設備の調達を増やし、当業界の生産額は前年同期比1.18%増の121.69億台湾元、売上高は同0.68%増の128.34億台湾元に小幅ながら上昇した。景気回復によって当業界に対する米国の需要が顕著に上昇したほか、中国の都市建設と公共事業に関する推進は当業界への需要の回復を後押しし、第4四半期における当業界の生産額と売上高成長率は大幅に拡大するものと見られる。

2.製品別に見ると、バルブの売上高は2013年第3四半期に引き続き下降したが、コンプレッサーとポンプの売上高は第2四半期を引き続く伸びを示した。

 バルブは主に▽石油化学産業▽発電所▽長距離パイプライン▽造船産業▽原子力工学重機に関わる重機械——に使われており、バルブに対する台湾石油化学産業の需要は高まったが、海外需要は依然として冷え込んでいるため、13年Q3に「青銅/黄銅バルブの一般製品」と「金属バルブ」の売上高は、それぞれ前年同期比9.06%減の10.03億台湾元と3.85%減の63.55億台湾元に下落した。

 ポンプは▽水処理産業▽石油化学産業▽石油・ガス・電力産業——に使用されている。 ポンプに対する石油化学業界の需要が回復したほか、景気回復によって台湾製ポンプに対する米国の調達が増加し、「液体ポンプ」と「未分類その他のポンプ」の売上高成長率はQ2の伸びを引き続いており、そして「未分類その他のポンプ」は48.84%増の成長も見せた。

 「空気圧縮機」はすでに各産業に広く使われている。台湾製造業界は設備関連支出を抑えて、大型化や自動化などの設備調達を削減しているためコンプレッサーへの需要は低下しているが、米国と中国における需要は高騰し、「空気圧縮機」の売上高は前年比13.76%増の12.87億台湾元に成長して、「冷媒圧縮機」の売上高も前年に比べて3.88%増に上昇した(表1参照)。拡大し続ける中国と米国の調達規模の恩恵を受けると同時に、台湾石油化学業者も設備関連支出が増加しているため、第4四半期における当業界の各製品の売上高成長率は伸びるものとみられる。

3.内需回復及び中国調達増の恩恵を受け、2013年第3四半期当業界の輸出入成長率は成長傾向を示した。

 国内の石油化学業者は生産能力の拡大を図って関連設備を購入しているため、バルブやポンプなどの部品に対する輸入需要が増加し、13年Q3の当業界の輸入額は12年同期比3.52%増の143.25億台湾元を記録した。当業界輸入相手国上位五カ国及び、それぞれの輸入比率は▽中国26.31%▽日本20.47%▽米国15.21%▽ドイツ11.52%▽韓国4.12%——となっており、このうち日本を除く他の国からの輸入額は成長傾向を示している。Q4は世界原油価格の下落により石油化学業者の投資意欲が再び冷え込み、輸入額成長率は衰退傾向が現れる恐れがある。

 当業界の主要輸出相手国は米国、中国、日本である。日本円の切り上げによってQ3における当業界の対日本輸出は大幅に減少したが、拡大する中国の輸入需要の後押しを受け、当業界の対中国輸出は12年同期比30.23%増に大幅成長し、そして米国の景気回復の恩恵を受けて、対米国輸出も前年同期比5.93%増の170.22億台湾元に成長した(図2参照)。なお、米国と中国の需要が引き続き高まっているため、13年Q4における当業界の輸出額は成長が拡大する見通しである。



4.2013年1〜11月に瑞智精密と成霖の連結売上高は増加したが、大甲永和は下落した。また、2013年1〜9月に大甲永和と瑞智精密の当期純利益は衰退傾向を示したが、成霖は黒字転換を果たした。

 当業界の製品は多種多様であり、各メーカーが置かれている産業環境も異なっている。瑞智精密は工研院の協力を通じてコンプレッサーを含む製品の技術力が向上したほか、サプライチェーンも更に安定してきており、既に世界四位のコンプレッサーメーカーとなった。同社の主要顧客は中国の▽美的フループ▽ハイアール▽格力(グリー)▽TCLグループ——と日本のシャープであり、中国が主要市場となっている。

 需要増加により、13年1〜11月に瑞智精密のコンプレッサー販売量は同期比11.79%増の1108.6万台、連結売上高は同7.08%増の149.18億台湾元に成長した。並びに、成霖は垂直統合と世界ブランドの買収を通じて、独自の販路を確立したほか、米国住宅市場の向上による家具、バスルーム、ハードウェアの需要増加により、前年同期比3.21%増である171.94億台湾元の連結売上高を示した。一方、大甲永和は13年か半期の受注減少により、連結売上高は12年同期比10.81%減となる8.53億台湾元まで下落した(表2参照)。

 収益に関して、大甲永和は営業利益が落ち込んだだけではなく、営業外利益も赤字が拡大したため、13年1〜9月当期純利益は前年同期比72.91%減と大幅減を記録した。瑞智精密は、営業利益は上昇したものの、人件費及び研究開発費の増加と為替差損により、当期純利益は前年比8.60%減の7.90億台湾元に下落した。一方、成霖は連結売上高が増加したほか、対北米輸出製品の値上げおよび所得税の大幅減により、1〜9月の当期純利益は黒字転換を果たした。

二.業界動向
 政府による支援及び人民元の引き続く切り上げは、中国バルブ業者の競争力を強化し、海外企業買収の好機を形成しているが、台湾業者にとっては脅威である。

 中国政府の賞与政策と支援を通じて、上海、福建、浙江を含む地方政府はバルブ製造業の高度化を積極的に推進している。現段階における中国バルブ業界は、ローエンド製品の国産化をほぼ完成して、ミドル/ハイエンド製品にも輸入品の代替製品が現れており、これから代替製品が更に増えていく見通しである。13年は中国にとって、産業高度化の確立と戦略的新興産業の発展計画に関する重要な一年であり、そしてバルブ業界の変革期でもある。13年より引き続く人民元の切り上げと近年に積み上がったキャッシュフローは、海外企業買収の好機を形成している。海外企業の買収を通じて得た高度な技術、設備、人材は、中国バルブ業者の競争力を世界大手標準まで高めることを可能にし、台湾業者にとっては脅威となるであろう。

三.景気展望
1.米国の景気回復および中国のインフラ建設により、2014年の当業界への需要は大幅に増加して、当業界の売上高成長率の伸びが見込まれている。

 国際研究機関の予測によれば、14年に世界経済成長率は13年を上回るほか、米連邦準備理事会(FED)による量的緩和政策(QE)の終了は、米国の景気回復に繋がり、当業界の対米国輸出に有利に働く。また、中国政府は都市建設を推進しているほか、ポンプ場と発電所などのインフラ建設を充実させており、米国と中国の需要上昇により、14年は当業界の売上高成長率の伸びが見込まれている。ただ、台湾政府は石油化学製品の大型投資を拒み、高度化石油化学製品の開発しか許可しないようになっており、石油化学の大手企業は生産を海外工場に移転して、これから内需は減少するものとみられる。

2.産業の細分類別から見て、2014年に当業界全ての細分類産業は売上高が成長して、特にバルブの伸びが最も顕著である。

 14年に当業界の各細分類産業は売上高が成長して、特にバルブの伸びが最も顕著である。その原因は基準期間が短いほか、ポンプ場と発電所を含む中国のインフラ建設による対バルブ需要の上昇、および米国住宅市場の好調による対蛇口需要が上昇したためである。並びに、14年における世界自動車販売台数の成長は冷媒圧縮機の購入量の伸びと繋がり、当業界全体に対する需要増加により、ポンプの売上高も上昇すると見られている。

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