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【ワイズリサーチ】従来型産業:2013年概況と課題


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2014年3月13日

機械業界 製造業全般

【ワイズリサーチ】従来型産業:2013年概況と課題

記事番号:T00062595

2013年概況

 台湾の製造業は▽情報・電子工業▽金属・機械工業▽化学工業▽民生工業(食品・紡織・アパレル・木竹製品・非鉄金属・家具・その他)――を4大産業としており、経済部はこのうち、情報・電子工業を除く3つを「従来型産業」と定義している。また、台湾の従来型産業においては金属・機械工業と化学工業が主力となっている。

 台湾製造業の2013年第1〜第3四半期売上高は計18兆9,203億台湾元で前年同期比0.6%のマイナスとなった。このうち従来型産業は9兆2,433億台湾元と製造業全体の48.85%を占め、化学工業は同3.0%の増収となった一方、金属・機械工業は同5.2%の減収を記録した(表1参照)。

 なお2013年に企業を対象に行われたアンケート調査によると、「現在直面する最大の課題」について金属・機械工業の53.7%、および化学工業の56.4%が「台湾市場における需要減退」と答えた。一方、民生工業では66.5%が「原材料コストの上昇」と回答した。

分野別分析

 従来型産業の2013年第1〜第3四半期売上高を分野別に見ると、金属・機械工業は、鉄鋼業(生産能力過剰)、基本金属業(国際相場の低迷)、機械設備業(円安と顧客メーカーの投資意欲減退)のいずれも経済環境が悪化し、同期はマイナス成長となった。(表2参照)


 一方、化学工業は、石油・石炭製品業(国際価格の上昇)、化学材料業(需要の増加と価格上昇)で景気が上向き、ともに前年同期比増収を記録した。

 民生工業は、アパレル業が台湾消費者の購買意欲減退、中国および欧米での需要低下に打撃を受けたものの、一部メーカーが機能性衣類の販売を積極化したことでプラス成長を達成した。

従来型産業の課題

1.製造業のサービス化
 従来型産業では最近「製造業のサービス化」が積極的に推進されており、経済部の調査(表3参照)によると、化学工業の48.8%、民生工業の55.1%の企業が製品の製造以外のサービスを提供していることが明らかとなった。金属・機械工業においては、「産業用機械設備のメンテナンスサービス」および「製品納入後の技術サポート・メンテナンスサービス」などの二次的売上高が比較的多かった。

 アンケート調査の結果、従来型産業において企業が今後強化したいサービスの上位3位は▽製品についての技術支援サービス、回答率26.5%▽顧客の需要に応じた統合・一貫型サービス、25.1%▽生産の進捗に関する情報提供、20.3%――となった。

2.海外生産比率と台湾投資比率
 経済部の2013年統計によると、製造業における4大産業の中で海外での生産額比率が最も高いのは情報・電子産業の65.6%で、これに民生工業の50.0%が続く。また新規投資計画のうち、台湾での投資比率が高いのは化学工業(15.3%)と民生工業(10.8%)となっている。さらに分野別に見ると、台湾投資比率の上位5位は▽薬品製造業(28.9%)▽化学材料製造業(20.8%)▽ゴム製品業(18.5%)▽化学製品製造業(17.9%)▽食品製造業(16.2%)――。また、2014年に台湾での投資を計画している企業は製造業全体の6.8%に当たる201社で、前年より若干比率を下げた。このうち化学工業では全体の10.2%、金属・機械工業では同6.5%、民生工業では同5.5%が台湾投資を計画している。


まとめ

 これまで台湾の従来型産業は、卓越した技術力で世界の分業体制の中で重要な役割を担ってきた。近年、台湾の内需不振や生産の海外移転、原料コスト上昇、経済環境の悪化といった要因に苦しんではいるものの、それでも同産業の生命力は失われていない。ただ、新時代の幕開けに備え、従来型産業は▽海外向け販売の比重拡大▽さらなる「製造業のサービス化」推進▽技術トレンドの把握▽先進技術の開発――といった方策により台湾企業の強みを増大させ、構造転換を加速させることで台湾の再工業化を推し進める必要がある。

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