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【ワイズリサーチ】省エネ市場の新トレンドーー超高効率モータ


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2014年5月8日

機械業界 電気・電池

【ワイズリサーチ】省エネ市場の新トレンドーー超高効率モータ

記事番号:T00062627

一. 超高効率モータ産業の台頭


 モータは工業用としても民生用としても広く使われているため、世界市場で着実に成長している。2012年の市場規模は453億米ドル、2007~2012年の年間平均成長率は2.7%に達している。

 国際電気標準会議(IEC)が定めるモータ効率の基準値で分けると、モータは効率の高さからIE3(超高効率)、IE2(高効率)、IE1(標準)に分けることができる。そしてIECによれば、超高効率モータの採用により、電力4〜5%が節約できるようになり、モータ駆動システム※ と併せて使える場合は20~30%の節電効果がある。(※モータサイズ、パイプライン、伝動装置、製造プロセスの最適化など。)

 ▽電気自動車▽ファクトリーオートメーション▽省エネ家電を含める革新的製品への需要、およびモータの効率(資料)台湾工業研究院2014.04基準に対する主要先進国の要求により、高性能・高効率モータのニーズは年々上昇し、これからはモータ産業の原動力になると思われている。


二. 台湾のモータ産業


 台湾モータ産業は廃棄船モータの修理から始まり、1956年にモータメーカーである東元電機(TECO)の成立、および人件費の削減を図る日本企業の海外移転に伴い発展してきた。台湾モータ産業の主力製品は▽ブラシ付DCモータ▽単相誘導モータ▽小型AC・DC変換器▽電磁開閉器など家電、おもちゃ、電子製品に使う製品であり、37以上ワットモータの生産量は636万台、生産額は163億台湾元で、小型モータの生産量は1億台、生産額は47億台湾元である(2011年)。

 台湾モータ業界のサプライチェーンを詳しく説明すると、川上産業は電磁鋼板、エナメル線、磁石、鋳鉄、アルミニウム地金 の提供者であり、川中産業は電磁鋼板の加工、エナメル線の加工、ローター/シェルの鋳造、駆動装置の製造、モータの組立業者であり、川下産業はモータの販売業者と利用者である(表1参照)。


三. 高効率モータの開発動向


現在、工業用モータは主に▽ブラシ付DCモータ▽誘導モータ▽永久磁石モータ※の三種類に分けられ、超高効率モータについて更に説明を行う。(※永久磁石同期モータ、ブラシレスDCモータ、リラクタンスモータ、ステッピングモータ、ヒステリシスモータを含む。)

▽誘導モータ
誘導モータの効率はほかのモータより劣るが、低価格で制御と設置が簡単などの利点があるため、現在最も使われているモータである。

▽永久磁石モータ
永久磁石モータは体積、速度、負荷において優位性があり、比較的コストが高いが、環境配慮およびIE3基準に満たす誘導モータとの価格差は大きくないため、永久磁石モータの一種類であるブラシレスDCモータは、今後IE3規制の採用国の誘導モータにとって代わり、主流になると予想されている。

▽ブラシレスDCモータ
現在、超高効率モータと言えばブラシレスDCモータであり、その利点は▽高効率▽低消費電力▽長寿命▽無雑音▽メンテナンスの必要がほとんどない▽ブラシ付DCモータよりトルク制御が正確的などであり、欠点は▽制御技術が成熟してない▽比較的高価格▽制御装置が必要などである。


四. 業界動向


 近年では、製造業の海外移転および中国市場の成長により、一部の台湾モータメーカーは中国、タイ、マレーシアなどに移転しているほか、台湾モータ製品の規制は米国より7~8年も遅れているため、モータ産業の競争力を強化するには、製造、設計、駆動制御技術を革新するほか、モータの試作・検証に関する研究開発を促進させる必要がある。

 現在、技術力がIE2に達した台湾メーカーは20数軒、IE3に達したメーカーは東元電機(TECO)と大同を含める3軒のみで、台湾政府は国内モータ業界の技術レベルを2015年までにIE2、2017年までにIE3まで強化するように、モータメーカーに補助金を与えている。

 経済部技術所の支援により、▽大同▽東元電機▽富田電機▽漢鐘精機▽正峰新能源▽瑞智精密▽春源鋼鐵工業▽億新精機が連携して、国内の研究機関とともに高効率馬達整合技術研発聯盟(超高効率モータ統合技術研究発展アライアンス)を成立し、川上の中国鋼鉄が高級電磁鋼板を開発し、川中と川下の会社が協力して、超高効率モータを開発している。

 台湾のモータ部品・周辺機器メーカーはモータ産業のニーズを満足できるほか、台湾はモータの原材料から製造技術を備えており、既に世界市場でかなりの知名度をあ げている。そのため、超高効率モータ時代 の到来は台湾メーカーにとって好機であり、開発の方向として、高級ケイ素鋼と銅ローターを含む高効率誘導モータのキーコンポーネント、少希土類元素が少ない耐熱型永久磁石モータとハイパワーの駆動装置 /電子部品を含む永久磁石モータの低コストキーコンポーネントはいい選択である。

 なお、圧縮機駆動用永久磁石ブラシレスモータの磁化と巻線に関して、台湾は国産の直流インバータ圧縮機を開発しており、今後はエアコン、電気自動車、家電製品の 周波数変換器などに使われ、産業の高度化に繋がると考えられる。

 

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