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風力発電業の動向および未来展望


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2016年1月7日

機械業界 電気・電池

風力発電業の動向および未来展望

記事番号:T00063605

一、運営概況

1.2015年風力発電の総発電量は増加するものの、前年同期比は縮減する見通し
 世界の風力発電設備総数について、米国国会は2014年12月6日、風力発電の税金減免措置が一年延長する法案を通過し、過去の案件にも適用されるため、補助措置の締切日は13年12月31日から14年12月31日に変更された。米国の風力発電業界は補助期間の延長を予測していたため、新設風力発電ファーム工事の完工が相次ぎ、世界風力エネルギー協会(World Wind Energy Association,WWEA)の統計資料によると、14年米国における風力発電の新規導入量は前年比1,226メガワット(MW)増の4,854MWとなった。一方、中国の国家エネルギー局が14年2月発表した《12次五カ年計画ー第4回風力発電計画許可のお知らせ》によると、新設設備の発電容量は2,760万キロワット(kW)で、第3回風力発電計画許可の2,797万kWとほぼ同じ結果となった。また電力輸送ネットワークのボトルネックおよび関連補完措置が改善された後、管轄機関はメーカーの風力発電ファーム新設申請を次々と許可したため、14年から増加した中国の風力発電設備の発電容量は23,350MWと、13年の16,000MWより大幅に成長した。主要国家の風力発電市場規模の好調の恩恵を受け、14年における風力発電の世界発電容量は52,844MWに増加し、同47.11%増の大幅成長となった。
 2015年以降、電力輸送ネットワーク技術上のボトルネックの解決により、風力発電設備が放置されている状況は改善されつつある。15年上半期において、中国の風力発電容量は10,101MWと増加し、世界風力発電の新規導入量の46.3%を占めている。米国は黒字を維持できる風力発電ファームの稼働が開始したことにより、世界風力発電の新規導入量の9.1%を占めている。ドイツの洋上風力発電設備に対する補助が16年に終わるため、メーカーは新設設備の建設を加速しており、15年上半期における世界風力発電の新規導入量は9.1%を占めている。  全体から見ると、一部の国のメーカーが補助措置の終了または買付価格が値下げされる前に風力発電設備の完成を加速させたことにより、15年における世界風力発電の新規導入量は14年より成長したものの、比較対象となる数値が高いため、前年同期比は縮減する見通しだ(表1参照)。



2.2015年台湾風力発電の新規導入量前年同期比は台風災害の影響を受け、1桁台に減少する見通し
 台湾における陸上風力発電ファームは既に飽和し、洋上風力発電の設置は計画段階であるため、台湾における風力発電の新規導入量は緩やかな成長となっている。この中でも、台湾電力(TPC)は桃園盧竹に全部8台、発電容量7.2MWの風力発電設備を新設し、2015年6月に発電業務の許可を取得した。これにより、経済部エネルギー局の資料によると、15年9月台湾電力の風力発電設備発電容量は前年同期比2.51%増の294.0MWとなった。民営風力発電メーカーである英華威(InfraVest)の苗栗通宵苑里における風力発電設備は完工が相次ぎ、稼働が開始しているため、14年民営風力発電量の累計導入量は350.4MWとなった。民営風力発電業者は15年1〜9月において風力発電設備を新設していなかったため、台湾風力発電の15年9月までの総発電容量は同1.5%増の644.4MWとなった(表2参照)。

 台湾風力発電容量は順調に成長しているものの、風力発電の効率は影響されやすい上、一部の設備は故障していることにより、2014年の風力発電量は前年同期比8.51%減の15億40万メガワット時(kWh)となった。15年に入ってから、台湾風力発電容量は14年より成長しつつあるほか、故障設備も修繕された後、再稼動し始めたため、15年1〜9月における台湾風力発電量は同15.09%増の101億9,000万kWhとなった。しかし、15年8月の台風13号(アジア名:ソウデロア)の影響により台湾電力が所有している風力発電設備の一部は激しい損害を受けたため、15年における台湾風力発電の総発電量の前年同期比は1桁台に縮減する見通しだ。

3.台湾電力の風力発電の電気買取価格値上げおよび2015年1〜9月における台湾風力発電総発電量前年同期比15.09%増のため、当産業生産額は前年同期比2桁の成長率となる見通し
 台湾における風力発電施設の建設を推進するため、台湾電力は各種風力発電の電気買取価格を値上げした。また、2014年から実施してきた割り増しの奨励機制を継続し、15年における離島地区の電力買取価格に公告価格の15%を加算するほか、発電量10キロワット(kW)以上の陸上風力発電設備の建設申請者は15年内に電気買取契約を締結した場合、設備が完工して送電ネットワークに連結してから18年12月31日までの間、電気買取価格は3.6%加算すると発表した。15年で「発電量10kW以上の陸上風力発電設備が送電ネットワークに連結した日から、5年ごとに、電気買取価格を計算する。最初の5年間は年間2,400kWh/kWで買取価格を計算するが、第2期からは第1期の平均年間発電量を基準として計算するほか、2,400kWh/kW〜2,200kWh/kWを範囲とする。洋上風力発電について、15年内に契約を締結した場合、送電ネットワークを経営する業者と「平均買取価格」および「段階式価格」のどちらを選択して電気買取契約を締結できる。」の規定を追加した。
 電力買取価格の値上げに加え、2015年1〜9月台湾における風力発電量は前年同期比15.09%増となったため、当産業の生産額は同12.42%増の29億8,100万台湾元となった。15年通年の台湾風力発電量は前年同期比成長する影響を受け、当産業生産額は前年同期比2桁近く成長する見通しだ。(詳見表3)。

4.台灣離岸風力發電を取得したメーカーは既に観測システムの設置を完了し、2016年に6つのモデル風力発電機を設置する予定  洋上風力発電設備補助を取得したメーカーのうち、福海風力発電は既に2015年7月23日で台湾国際造船より台湾初の洋上風力場の海上・気象観測設備の設置を完成させた。風力場の評価、風力発電設備の設計の根拠として、今後は同設備を通じて海上・気象観測を行い、2020年末までに風力場の建設を完成させる予定だ。海洋風力発電は「竹南洋上風力発電計画」を提出し、15年8月6日に苗栗竹南の沖で洋上気象観測設備の設置を完成させた。また、2台のモデル風力発電機は16年に設置を完成し、残りの28台は19年に完成させ、20年から稼働させる予定だ。台湾電力の洋上気象観測設備も15年11月に設置される見通しだ。

二、未来の展望
 2016年における世界風力発電業の国際市場について、中国の国家発展改革委員会は15年10月29日で中国における陸上風力発電の電力買取価格の値上げ草案を提出し、2016〜2020年の間に、毎年陸上風力発電の電気買取価格を下方修正する予定だ。また同草案が通過した場合、16年の風力発電の新規導入量は15年より減少する見通しだ。一方、ドイツは16年から洋上風力発電に対する補助を終止する予定だ。イギリスの洋上風力発電計画について、第2期計画は終了が近づいているに対し、第3期計画の開発評価はまだ通過できていない状態であり、このような要素により、16年における洋上風力発電市場にマイナスな影響をもたらし、更に比較対象となる数値が高いため、16年における風力発電新規導入量は前年同期比衰退する見通しだ。
 台湾市場について、台湾政府は洋上風力発電の関連分野に注力している。2015年5月28日経済部は2030年までに台湾の再生エネルギー発電容量を17,250MWにあげる目標を発表し、このうち、洋上風力発電の目標発電量を3,000MWから4,000MWに修正した。また、経済部エネルギー局が15年7月2日に発表した「洋上風力発電場申請の審査要点」では、36箇所の風力場をリストアップし、メーカーは第1段階の「洋上風力発電計画のモデル案」を完成した後、計画通り、第2段階の「洋上風力発電開発計画」を実施することができる。
 16年における風力発電買取価格の調整について、洋上風力発電の電気買取価格は前年比同水準を維持するものの、陸上風力発電の目標達成期限は2022年まで延長することとなった。その他の奨励措置(離島地区買取価格の割増し、発電量10kW以上の陸上風力発電買取価格の検討機制および段階式電気買取価格調整機制など)について、16年も引続き実施する予定だ。  全体から見ると、16年における世界発電容量の新規導入量は、メーカー投資意欲が低迷し、15年においてメーカーが工事を加速させたことにより、比較対象となる数値が高くなったため、衰退する見通しだ。幸い、台湾風力発電市場は政府およびメーカーが風力発電産業に対する投資(洋上風力発電第1期計画のモデル設備、台湾電力第5期発電計画は16年に始動する予定)を継続するため、16年における風力発電の新規導入量および累計発電量は前年同期比小幅成長すると予想されている。また、電気買取価格の値上げにより、当産業生産額は前年同期比成長する見通しだ。

 

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