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【ワイズリサーチ】台湾発電、送電、配電機械設備業界の分析


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2014年5月15日

機械業界 電力設備

【ワイズリサーチ】台湾発電、送電、配電機械設備業界の分析

記事番号:T00062632

一.台湾の電力システム

 台湾の電力システムは大規模集中型エネルギーシステムであり、大型発電機と負荷集中型システムをその特徴とする。また、発電所は利用者から離れて位置しているため、電力供給には送電・変電システムを用いて、電圧を高めて送電する必要があり、大量のエネルギーが消耗される。

 また、大規模の送電網が集まる発電所は、軍事攻撃を招き得るため、国家安全保障問題に関わり、したがって分散型電源の導入と送電網の効率向上という方向性で、台湾発電、送電、配電機械設備産業は発展していかなくてはいけない。現在、台湾大規模発電所は主に都市から離れており、送電力を高め、かつ電力の損失を抑えるには、電圧を上げて送電し、そして利用者のニーズに応じて電圧を下げる必要がある。

二.産業の現状

 台湾電力による電力価格の上方修正を受けて、メーカーは効率の良い新型電動機に更新したほか、住宅と工場建設による配電機械設備に対する需要増と太陽光発電の普及により、2013年に台湾発電、送電、配電機械設備業界の生産額は12年比7.28%増の565.48億台湾元、売上高は同5.04%増の665.87億台湾元に伸びた。



 また、台湾政府による「高効率馬達示範推広補助計画(高効率モータ模範推進補助計画)」は、台湾発電、送電、配電機械設備業界に対する需要を押し上げると予想され、2014年第1四半期に当業界の生産額と売上高は13年より小幅ながら成長すると見られている。

三.市場動向

 発電、送電、配電機械設備業界は内需指向の産業であるが、台湾の市場は比較的小規模であるため、規模の経済効果がなく、国内メーカーは製品を全力で開発することができない。また、台湾におけるキーコンポーネントの開発もこのような規模の経済的要素が欠けているため、国産品のキーコンポーネントの発展は他国より遅れている。

 2014年、台湾企業の投資意欲は回復しており、第1四半期に当業界の輸入額は13年同期より伸びると期待されている。一方、自動化制御装置および電動機に対する世界市場の調達意欲増により、14年第1四半期における当業界の輸出額も13年同期より上昇する見通しである。

四.メーカーの運営概況

 台湾電力は投資が冷え込んでおり、台湾発電、送電、配電機械設備業界の2013年連結売上高と連結税引前当期純利益は、増益も減益も現れた(表3参照)。



▽東元電機(TECO)
 モータ売上好況の恩恵を受け、東元の13年連結売上高は12年比16.19%増に成長し、そして13年連結税引前当期純利益も22.56%も増加して、当業界では比較的良い業績を挙げた。

▽亜力電機
 電気製品の売上不振に影響され、亜力電機の13年連結売上高は12年より9.58%減と振るわず、営業外費用の増加により、13年連結税引前当期純利益も12年比50.57%減と落ち込んだ。なお、14年第1四半期には台湾電力との落札金額の減少により、連結売上高は13年同期比34.16%減となった。

▽華城電機
 変圧器を含む電力設備の出荷額の減少により、華城電機の13年連結売上高は12年比1.59%小幅減に縮小したが、営業コストの削減策が功を奏し、連結営業利益は12年比69.55%増、連結税引前当期純利益は同51.33%増に成長した。

▽大同
 重電機器の出荷増により、大同の13年収益は12年比6.44%増となったが、営業コストが高かったほか、営業外費用も拡大されたため、同社の13年連結税引前当期純利益は49.44億台湾元を記録した。ただ、その損失は12年の152.69億元に比べては大幅に改善された。

五.将来の展望

 2010年、台湾政府は「能源国家型科技計画之智慧電網與先進読表主軸專案計画(エネルギー国科学技術計画のスマート送電網および先進検針主軸プログラム)」を推進し始め、そして13年7月に台湾智慧電網産業協会(台湾スマート送電網産業協会)と中国電機工程学会によって開催された交流会で、両方は既に「配電自動化(ADAS;先進運転支援システム)変電所ネットワーク設備の監視」および「自動需要応答(ADR)とスマート家庭電力管理(HEMS;家庭内のエネルギー監理システム)の通信規格」に関する協力覚書に調印した。

 2014年に台湾電力は赤字の窮地に陥ると予測されているため、一部のメーカーは既に海外市場の開拓およびニッチ製品の研究開発に取り組み始め、13年下半期に、華城電機、士林電機、中興電工は相次いで日本と合弁工場の提携および変圧器と工作機械の共同製造を行うと発表した。なお、スマート送電網は従来の送電網と比べて、自動修復および利用者との双方向性などの利点があり、メーカーの開発目標となっている。

 全体的に見て、政府部門からの受注は少ないが、14年の電力価格は13年を上回るほか、スマート送電網の建設と高効率モータの模範推進補助計画は、台湾発電、送電、配電機械設備業界に対する調達を押し上げるため、当業界の14年生産額と売上高は13年より小幅に成長すると見られている。

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