ワイズコンサルティング・グループ

記事番号：T00062659

一．業界概況

　台湾ゴム・プラスチック加工機械業界は輸出指向の産業であり、主力市場は中国と東南アジア諸国連合（ASEAN）である。機械設備に関する中国の代替政策は当業界の中国進出に衝撃を与えているほか、2013年から起きている▽ASEANの経済減速▽ASEAN・中国ＦＴＡの締結▽日本の通貨急落——は台湾ゴム・プラスチック加工機械業界に悪影響を及ぼしている。

　なお、米国のシェールオイルは従来の石油化学産業に衝撃を与え、台湾ゴム・プラスチック加工機械業界に対する需要にも影響を及ぼしているため、14年第１四半期の当業界の生産額は前年同期比9.42％減の81.65億台湾元、売上高は前年同期比18.39％減の66.95億台湾元に縮小した（表１参照）。

　しかし、14年第１四半期の台湾経済成長率は予想を超えており、14年第２四半期の国内総固定資本形成も成長傾向を示しているほか、当業界に対するASEANの需要が上昇し、日本からの調達も顕著に増加しているため、14年Q２には台湾ゴム・プラスチック加工機械業界の生産額、売上高、輸出額は回復すると予想されている。

二．製品別売上

▽プラスチック射出成形機
　台湾プラスチック射出成形機メーカーは省エネと環境配慮を図り、既に全電動射出成形機とサーボモータ射出成形機を開発し、コンピュータ、エレクトロニクス、通信、光学、医療機器産業などに提供している。そして、エレクトロニクス産業による資本的支出の増加により、14年Ｑ１にプラスチック射出成形機の売上高は、前年同期比6.97％増の32.21億台湾元に上昇し、この伸び幅は14年Ｑ２に更に拡大する可能性もある。

▽ゴム・プラスチック押出機
　中国とASEANの需要不振により、台湾ゴム・プラスチック押出機の14年Ｑ１売上高は13年同期比8.13％減の8.63億台湾元に下落したが、14年Ｑ２には中国需要の回復および13年同期売上高の低下により、その売上高は衰退から脱出すると予想されている。

▽未分類その他のゴム・プラスチック
加工機械・部品
　中国の代替政策の影響を顕著に受けているため、14年第１四半期の台湾未分類その他のゴム・プラスチック加工機械・部品の売上高は、13年第３四半期から後退が引続き、前年同期比38.61％大幅減の26.11億台湾元に落ち込んだほか、そのマイナス幅は更に広がる恐れがある（表２参照）。

三．企業動向

　台湾ゴム・プラスチック加工機械業界の最大手企業は富強キン（金のしたに金がふたつ）集団（ＦＣＳグループ）であり、同社は近年、積極的に海外市場を開拓し、11年には中国で射出成形機企業に好感度の上位五位に入ったほか、販売規模の拡大を図り、これから５年間で１〜２所の海外工場および３〜５所の自社経営拠点を設置しようとしている。そのため、14年以降台湾ゴム・プラスチック加工機械業界の景気は後退し、富強キンの国内販売額も小幅に縮んだが、１〜５月の海外市場増益により、同社の連結売上高は前年同期比1.75％小幅増の10.74億台湾元に成長した。

　しかし、14年第１四半期を見ると、経営・マーケティング費用の上昇により、富強キンの連結売上高は小幅に後退し、赤字を示したほか、その連結当期純利益も前年同期比58.03％大幅減の0.04億台湾元に下落した（表３参照）。

四．将来展望

▽市場動向
　14年世界経済成長率は13年を上回ると予想されているほか、欧米経済も好転しているが、▽中国の経済減速▽中国の代替政策▽日本円の弱含み——は台湾ゴム・プラスチック加工機械業界に不利に働いているため、14年下半期に当業界の売上高は衰退が続き、中国とASEANへの輸出額も更に減少すると見込まれている。しかし、14年下半期の対欧米輸出額は13年下半期より伸びると見られている。

▽製品の需給動向
　台湾メーカーは積極的にゴム・プラスチック射出成形機を開発しているため、その技術力は向上し、顧客からの好感度も得ているため、14年下半期にゴム・プラスチック射出成形機の売上高は引続き成長すると考えられる。また、中国の需要回復は台湾ゴム・プラスチック押出機の売上高を押し上げるが、未分類その他の台湾ゴム・プラスチック加工機械・部品は、中国企業との競争と中国政府の代替政策により、14年下半期の売上高は顕著に落ち込む恐れがある。