記事番号:T00062733
一.業界景気を楽観する企業の比率はやや低下
台湾経済研究院(台経院)の自動車およびその部品産業に関する景気トレンド調査の結果によると、2015年の業界景気に対しアンケートに回答した企業の54.55%が前年より「良くなる」、27.27%が「変わらない」、18.18%が「悪くなる」と回答した。来年の景気を楽観する企業が過半数を占めたものの、2014年の業界景気に対する見方は、68.18%が13年に比べ「良くなる」、22.73%が「変わらない」と答え、「悪くなる」は9.09%にとどまっており、来年の景気に対する見方はやや悲観的な見方が強まった形だ。
今年は台湾経済が回復し、株式市場が好調を維持する中、失業率も目に見えて改善、さらに買い替えが必要な車齢10年以上の自動車が市場に増えていることから自動車の購買意欲が上向いており、自動車部品の販売増にもつながっている。また、今年は台湾の自動車輸出台数も増加している。
一方、来年は買い替え需要が継続するとの見込みからある程度の好景気が期待できるものの、台湾市場は規模が大きくないため2年連続での大幅な販売増の達成は容易でないこと、さらに最近、国際的な研究機関が2014年および15年の世界全体および主要国の経済成長率を下方修正したことから、世界経済の動向に影響を受ける輸出業者など一部企業が慎重な景気予測に転じた。このほか、円安傾向がさらに強まると予想されることから、台湾における2015年の輸入自動車市場は引き続き活況が見込まれる。これは国内の自動車販売業者の業績にプラス効果をもたらす一方で、国産車メーカーには打撃となり、一部車種では生産停止および輸入車への切り替えも行われるとみられる。こういった中、各メーカーは2,000cc以下の小型車の開発を積極化すると予測される。
二.「平均販売価格は上昇、粗利益率は低下する」
2015年の完成車両および部品の平均価格についてアンケートに回答した企業の多くは「横ばい」または「上昇する」と予測した。これは自動車メーカーが積極的に新車開発やモデルチェンジを進めることにより購買意欲が喚起される、またコストが上昇することで製品の販売価格が押し上げられるといった見方が主な要因となった。
ただ製品価格の上昇幅はコスト上昇幅を下回ると予測される。特に、多くの台湾自動車部品メーカーでは、自動車メーカーに価格決定権を握られているため、値上げ幅が制限される一方で、原材料価格上昇の圧力にさらされるため、粗利益率が目に見えて低下すると懸念される。こういった中、アンケートで14年に比べ粗利益率が「上昇する」と答えた企業は全体の22.7%、「横ばい」は45.45%、「低下する」は31.82%と「上昇する」を大きく上回った。
三.海外投資は消極的、国内投資は活発
2015年海外投資については、アンケートに回答した企業のうち78.95%が「横ばい」、15.79%が「拡大する」と回答した。台湾の自動車・部品関連企業は中国を主な海外投資先とするが、同国の自動車市場は競争が熾烈で、さらに近年、生産能力の過剰な拡充が進んだことから供給過剰に陥っており、中国自動車産業全体で来年は投資が消極的となると予測されるため、台湾企業の海外投資見通しも横ばいが大半を占める結果となった。
一方、国内投資については、50%の企業が「横ばい」と答えたものの、「増やす」も40.91%に上り、「減らす」はわずか9.09%にとどまった。来年の台湾自動車市場は成長が鈍化するものの、依然好景気を維持し、さらに自動車メーカーが小型車の開発に積極的に取り組む見通しとなっていることを反映した形だ。
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