ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム 会社概要 採用情報 お問い合わせ

コンサルティング リサーチ セミナー 在台日本人にPR 経済ニュース 労務顧問会員

【ワイズリサーチ】台湾専用機械業界の産業分析
——2014年~2015年


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2015年1月15日

機械業界 工作機械・産業機械

【ワイズリサーチ】台湾専用機械業界の産業分析
——2014年~2015年

記事番号:T00062774

一.2014年の振り返り

 2014年は中国の経済成長の鈍化と輸入代替政策、そして続く円安が台湾の専用機械業界に脅威を与えた。また、台湾における機械及び設備業界の民間固定資本形成も勢いが衰退した。一方、EU(欧州連合)圏では各国経済が回復を見せ始め、米国も安定した経済成長を維持した。またASEAN(東南アジア諸国連合)各国の目覚ましい経済発展は、同業界の受注増加に結びついた。このように14年は世界的な景気好転の恩恵を受けて、全世界の製造業界で設備投資が増加したことが、台湾の専用機械業界の輸出に追い風となった。

 台湾の機械及び設備業界の民間固定資本形成は、主にエレクトロニクス業界によるものであり、そのうち半導体業界とパネル業界の設備投資規模が最も大きい。しかしパネル業界は過去数四半期にわたって赤字が続いているし、半導体業界は14年上半期に設備投資額の規模が縮小された。14年第3四半期、民間固定資本形成の前年同期比成長率は上昇したものの、従来型製造業界の投資意欲は低迷した。

 経済部統計処が公表した資料によると、エレクトロニクス業界の設備調達が顕著に減少したため、台湾市場での専用機械の需要は弱まった。14年第1四半期~第3四半期における台湾専用機械業界の台湾市場における販売額は、わずか524.27億台湾元であった。ただし同業界は輸出中心であるため、世界的な景気好転の好影響を受けて海外からの受注が増加した。このための14年第1四半期~第3四半期の輸出額は1,042.89億台湾元で、前年同期比10.85%増と成長した。

 全体的に見て、台湾専用機械業界に対する台湾市場における需要は低迷しているが、海外からの需要は高まっていると言える。14年第1四半期~第3四半期、同業界の生産額は前年同期比6.14%増の1,585.73億台湾元、販売額は同6.60%増の1,567.71億台湾元で、12年から続いた衰退から抜け出した。なお、台湾の民間固定資本形成は14年第3四半期から増えており、また海外からの受注も引き続き増加しているため、14年第4四半期も同業界の生産額と販売額の成長は維持される見通しだ。

二.業績状況

1.販売状況
 2014年第1四半期~第3四半期、台湾専用機械業界の販売額は前年同期より伸び、そのうち「化学機械業界」が最も成長を見せた。これは比較対象となる13年の販売額が低迷したことに加えて、高雄市で発生したガス爆発事故を受けて石油化学業界からの設備更新需要が増加したためだ。これにより14年第3四半期、「化学機械業界」の販売額は前年同期比77.77%の大幅増、14年第1四半期~第3四半期の売上高も同37.14%増の173.07億台湾元となった。

 また「電子及び半導体製造設備業界」は、台湾エレクトロニクス業界の設備投資の減少に影響を受けて台湾市場における販売額が減少したが、米国、中国、日本からの需要は増加したため、全体の販売額は前年同期比3.43%増の430.61億台湾元となった。なお、「農業・林業機械業界」、「鉱業・建設機械業界」、「木工機械業界」なども一割以上の成長を見せた。

2.輸入状況
 2014年第1四半期~第3四半期の台湾専用機械業界の主要輸入相手国とその割合は、▽日本、33.31%▽米国25.95%▽オランダ、10.23%▽シンガポール、8.83%▽中国、6.57%――であった。この上位5位の輸入相手国からの合計輸入額が、同業界の総輸入額の84.89%を占めている。台湾のエレクトロニクス業界が設備投資を削減したため、対オランダ輸入額は前年同期比52.63%大幅減の321.70億台湾元に落ち込んだ。一方、従来型製造業界は景気が回復して設備の輸入需要が増加したため、対中国輸入額が同18.12%増の206.72億台湾元となった。

 輸入需要が大きいエレクトロニクス業界が設備投資を削減したため、14年第1四半期~第3四半期の台湾専用機械業界の輸入額は3,144.35億台湾元で前年同期比6.07%減少した。また、14年10月~11月における「電子及び半導体製造設備業界」の輸入額も同2割以上も減少し、14年第4四半期全体も同業界の輸入額は低迷が続くと予想される。

3.輸出状況
 2014年第1四半期~第3四半期、台湾専用機械業界の主要輸出相手国とその割合は、▽中国、36.80%▽米国、9.96%▽ベトナム、7.19%▽日本、5.61%▽インドネシア、4.79%――であった。これら上位5位の輸出相手国への合計輸出額が、同業界の総輸出額の64.35%を占めている。業界各社が積極的に新興国市場への進出を図っているため、輸出先国は輸入先国より分散している。14年中ばにベトナムで反中デモが発生したが、ベトナム政府は台湾企業に対しての補償を承諾したため、同業界の対ベトナム輸出額は前年同期比39.28%増の100.32台湾元に成長した。また、対米国輸出額は同22.47%増、対日本輸出額は同15.12%増となった。

 14年は欧米市場の経済成長の恩恵を受けて、海外からの受注が顕著に増加した。14年第1四半期~第3四半期、同業界の輸出額は12年以来の低迷から抜け出したが、中国の経済成長の鈍化と輸入代替政策に影響され、輸出額は前年同期比15.07%増の1,395.46億台湾元にとどまった。しかし、14年第4四半期は世界経済は引き続き成長を維持したため、同業界の輸出額はさらに伸びると予想される。

三.産業別の輸出入状況

1.輸入状況
 各産業別の輸入状況を見てみよう。14年第1四半期~第3四半期、「電子及び半導体製造装置業界」の輸入額は前年同期比6.66%減の2,542.44億台湾元、「化学機械業界」は同16.87%減の108.42億台湾元と共に減少した。さらに「プラスチック・ゴム加工機械業界」は同5.17%減、「その他専用機械業界」は同7.79%減となった。

 一方、台湾の経済回復の好影響を受けて、川下の製造業界の設備投資が増加した。このため「食品・飲料・タバコ製造機械」の輸入額は前年同期比22.88%増、「鉱業・建設機械業界」は同15.86%増、「木工機械業界」は同12.51%増となった。


2.輸出状況
 欧米の経済回復により、現地製造業界の設備投資が増加した。またASEAN地域の経済成長も、台湾専用機械業界の各産業の輸出に好影響を及ぼした。14年第1四半期~第3四半期、同業界の各産業の輸出額は成長を見せた。「食品・飲料・タバコ製造機械」、「木工機械業界」、「化学機械業界」は一割以上も伸び、「木工機械業界」は前年同期比16.37%増の147.91億台湾元となった。

 輸出割合が比較的大きい産業と成長率は、成長率が高い順に▽「そのほかの専用機械、5.09%増▽「繊維・アパレル・皮革製造機械」、4.16%▽「プラスチック・ゴム加工機械、2.70%増▽「電子及び半導体製造装置業界」、0.35%増――であった。



四.今後の展望

 台湾の専用機械業界は世界経済に大きく影響を受ける産業である。欧州の失業率はまだ10%を上回っており、日本は消費税増税によって経済成長の予測が難しい状況にある。主要研究機関によれば、2015年も全世界と主要経済国の経済は引き続き成長を維持し、それを受けて台湾専用機械業界の投資意欲も高まる見通しだ。為替レートの変動が同業界の競争力に与える影響には注意が必要だが、世界経済の好況を受けて台湾専用機械業界も好景気を維持していくと予想される。

機械業界-工作機械・産業機械

2週間無料モニター募集中!

情報セキュリティ資格を取得しています

台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。