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【ワイズリサーチ】中国新興産業の台頭が生む台湾企業の商機


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2015年1月22日

機械業界 工作機械・産業機械

【ワイズリサーチ】中国新興産業の台頭が生む台湾企業の商機

記事番号:T00062778

一.中国における新興産業の台頭

 中国の内需市場が拡大し続ける中、新興産業に対する需要も高まっており、太陽エネルギー、LED(発光ダイオード)、ディスプレイといった産業の発展と投資が加速している。今後は半導体産業に対する投資もさらに増加すると見られ、中国は世界の設備メーカーが競争を繰り広げる主要地区となるだろう。

 中国政府は、▽半導体▽太陽エネルギー▽パネル▽数値制御——といった新興産業に対する投資を強化し、将来全てを国内生産することを目指している。これに対して台湾メーカーは技術協力を行っているため、中国ハイテク産業の発展において重要な役割を担っている。特に中国の半導体産業とパネル産業における高度な技術は、台湾の協力によるものだ。さらに中国は「IOE(IBM、オラクル、EMCの製品を使用しない)政策」を推進しているため、中国企業の台湾設備メーカーに対する信頼度は今後さらに高まるだろう。

情報技術イノベーション財団(ITIF)によれば、米国製品に対する消費者の不信感から、米国ハイテク業界は今後3年間で350億米ドルの海外受注を失う恐れがあるという。このことが中国政府のハイテク産業に対する投資をさらに加速させるだろう。台湾設備メーカーはすでに優れた技術を有している。さらに地理的な優位性と製品の認知度をうまく活用すれば、中国における市場シェアを拡大できる可能性があるだろう。
以下、中国における▽半導体産業▽パネル産業▽太陽エネルギー産業▽数値制御産業——の現状と台湾メーカーの動きについて述べる。

二.半導体産業

1.現状
 2013年、中国半導体業界の生産額は2,500億人民元、年平均成長率は10%を上回った。15年の生産額は3,500億人民元を超え、20年には前年比成長率が20%以上に達し、世界先進国との差は徐々に縮小されると予測されている。

 中国政府は国内企業の競争力を強化させるために補助を拡大しており、14年に半導体業界に対する投資額を1,200億人民元と決定した。中国半導体業界において、中芯国際集成電路製造(SMIC)が最も注目されている中国最大の半導体メーカーである。同社の年販売額はSKハイニックスの137億人民元、インテルの125億人民元に次ぐ106億人民元である。

2.台湾企業の動き
 台湾半導体業界は発展を遂げて多くの実績を有しており、ファウンドリーの台湾積体電路(TSMC)は世界をリードする企業に成長している。また、台湾半導体業界の資本支出規模は全世界の資本支出の28%を占めている。

 半導体のフロントエンドプロセスの設備メーカーでは、漢民微測科技(エルメス・マイクロビジョン、HMI)が大手である。同社が開発した電子ビーム欠陥検査装置は85%の市場シェアを占め、世界の主要半導体メーカーは全て同社の顧客である。

 一方、半導体のバックエンドプロセスの設備メーカーを代表するのは、IC(集積回路)検査・封止関連設備が主要製品である帆宣系統科技(マーケテック・インターナショナル)だ。TSMC、聯華電子(UMC)の2社は同社の主要顧客である。同社は早くから中国市場に進出しており、中国3大半導体メーカーである華潤微電子、中芯国際、華虹半導体の拠点に近い無錫市に工場を設置した。このほか、IC試験設備メーカーである致茂電子(クロマATE)など各社も中国展開を積極的に行っている。

三.パネル産業

1.現状
 中国は、第十一次五カ年計画(2006年~10年)において、パネル産業を優先発展産業と定めた。続く第十二次五カ年計画(11~15年)では、15年までにパネル自給率を80%以上に引き上げることを目標としている。近年、中国パネル業界の技術力は海外からの人材招致を通じて急成長中だ。さらに中国は関税政策によって国内のパネル産業を保護しているため、中国産パネル製品はすでに世界市場シェア13%を占めており、パネル自給率は3割に達している。

 13年における中国パネル設備業界の市場規模は前年比104%増の52億米ドルで、14年には66億米ドルまで伸びる見込みだ。中国は、次世代液晶パネル工場の設置も積極的に行っているほか、アクティブマトリックス式有機EL(AMOLED)パネルへの投資も進めている。天馬微電子、京東方科技(BOEテクノロジー)、維信諾科技などがAMOLED生産ラインへの投資を行っているため、関連設備に対するニーズが高まっている。

2.台湾メーカーの動き
 均豪精密工業(GPM)は台湾最大のパネル及び自動化装置メーカーであり、友達光電(AUO)、群創光電(イノルックス・ディスプレイ)は同社の顧客である。同社の主要製品は、パネル製造設備、IC封止設備、太陽エネルギー自動化設備である。深セン市にパネル工場を所有しており、同社製品は華星光電と京東方科技に採用されている。今後も中国における収益は増加していくだろう。

 また、東捷科技(コントレル・テクノロジー)、志聖工業(CSUN)、千附実業など各社も、パネル検査設備、パネル製造自動化設備、紫外線露光機といった均豪精密工業と類似した製品を生産しているため、今後中国市場で業績が伸びる可能性がある。例えば、熱処理設備が主力製品である志聖工業の主要顧客は、▽京東方科技グループ▽華星光電▽天馬微電子——などである。2010年、同社のフラットパネル生産設備部門全体の販売額に占める中国市場での販売額は15〜20%前後であったが、11年には40%、12年には60〜65%と成長を続けている。

四.太陽エネルギー産業

1.現状
 中国政府は第十二次五カ年計画において、太陽エネルギー産業を優先発展産業に選んでいる。現在、中国ではすでに100都市以上に太陽エネルギー産業の基地があり、年間生産額は3,000億人民元を超えている。また、2013年から太陽エネルギー産業に関する投資はさらに強化され、分散型送電網に対する補助期間は20年となっている。現在、中国の太陽エネルギー年間需要量は10GW(ギガワット)で世界最大の市場となっており、市場規模は15年には35GWまで成長する見込みだ。

2.台湾メーカーの動き
 太陽エネルギー製造設備メーカーでもある均豪精密工業は、▽太陽電池用拡散炉▽高温焼成炉▽レーザーマーキング装置▽電池試験装置——などを生産している。中国の四大太陽エネルギー企業である無錫尚徳と天河光能の生産拠点は蘇州に近く、蘇州に工場を持つ均豪精密工業には有利である。

 東捷科技と志聖工業も均豪精密工業と同じく多角化戦略を行っており、両社は太陽エネルギー製造設備で中国に進出している。また、真空チャンバーのOEM(相手先ブランド名製造)大手メーカーである北儒精密(BZPC)は、真空チャンバー加工技術や太陽電池製造プロセスに関する技術といった一貫化生産技術を持つ企業である。同社は最近、中国大手光電メーカーから注目を集めており、「高透過率可視光大型ARガラス」に1.08億人民元の投資を計画している。

五.数値制御産業

1.現状
 中国政府は第十次五カ年計画(2001年~05年)において、数値制御産業を優先発展産業とした。続く第十一次五カ年計画では、さらに大型、高速、高精密の数値制御装置とシステムの開発に着手し、大連光洋科技、北京航天数控、瀋陽高精数控、華中数控、廣州数控の5社を支援するようになった。第十二次五カ年計画では、ハイクラス数値制御システムの市場シェアが10%から50%まで成長した。

2.台湾メーカーの動き
 台湾の自動化設備メーカー大手である盟立自動化(MIRLE)は、▽数値制御システム▽ロボット▽自動化設備——の生産を行っており、上海に生産拠点を置いている。また、広運機械工程(ケンメック・メカニカル・エンジニアリング)も、自動化システムおよび工業用ロボットの中国投資を行っている。

 上銀科技(ハイウィン・テクノロジー)は、伝動制御・システム分野において世界トップ3に入る企業であり、また中国市場最大の伝動システムサプライヤーでもある。同社の主力製品は、▽ボールねじ▽リニアガイド▽工業用ロボット——といった精密伝動部品で、すでに多くの半導体、スマートオートメーション、輸送、工作機械といったハイテク産業で広く使われている。同社は蘇州市に研究開発センターを設置しており、中国市場を重視していることが分かる。

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