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【ワイズリサーチ】汎用機械産業の現状と展望


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2015年6月4日

機械業界 工作機械・産業機械

【ワイズリサーチ】汎用機械産業の現状と展望

記事番号:T00062851

一.概況
(2014年Q4〜15年Q1)


 台湾汎用機械設備製造業の2014年第4四半期生産額は前年同期比11.79%増の802億3,600万台湾元、販売額は同11.90%増の817億3,700万台湾元となった(表1)。世界経済の成長、特に東南アジア諸国連合(ASEAN)市場の持続的成長や、米国における製造業の景気回復が販売額を押し上げた。ただ、行政院主計総処の統計によると、2015年第1四半期の台湾の経済成長率は3.46%(速報値)と3%以上の水準を維持したものの、固定資本形成の年成長率はマイナス1.12%となり、製造業における投資意欲の低迷がうかがえる。このため、世界経済の好調を背景に当産業では輸出が増加し、同期生産額、販売額ともプラス成長を維持したが、成長率は目に見えて縮小している。


二.カテゴリー別販売額
(2014年Q4)

 2014年第4四半期の台湾汎用機械設備製造業におけるサブカテゴリー別生産、販売額は「事務機械設備製造業」と「公害防止装置製造業」で販売額が前年同期比マイナス成長に陥った以外は成長を記録。うち「その他汎用機械設備製造業」の同期販売額は、製造業全体の設備投資拡大を受けて387億1,400台湾元となり、前年同期比10.01%の成長を見せた。

 「ポンプ・コンプレッサ・コック・バルブ製造業」では、米国の景気回復により製造業の設備投資が拡大したこと、および中国の製造コスト上昇を受けて一部の台湾メーカーが生産ラインをASEAN地域へ移設したことに伴い輸出受注額が増加。また台湾経済の回復を受けて国内の従来型産業における設備投資が増加したため、台湾ポンプ・コンプレッサ・コック・バルブ製造業の14年第4四半期販売額は142億3,500万台湾元と前年同期比11.25%増加した。

 一方、「機械式伝動装置製造業」は工作機械市場の景気回復に恩恵を受けて需要が上向いた他、ロボットの導入が増えたことで業界メーカーの多くがロボット用モジュール製品の受注を獲得。こういった状況を背景に当産業の14年第4四半期販売額は前年同期比19.09%の106億9,300万台湾元となった。

 「運搬機械設備製造業」の同期販売額は、建設プロジェクト、ショッピング施設やホテルのリフォーム、改築などが相次いだ影響で、105億4,900万台湾元と前年同期比29.31%の大幅成長を記録した。

 「事務機械設備製造業」の同期販売額は不動産市場でオフィス物件の取り引きが冷え込んだ影響で20億1,900万台湾元にとどまり、前年同期比20.85%の大幅な減少を記録した。また「公害防止装置製造業」も政府が環境保護対策向け予算を縮小したことから同12.69%のマイナス成長に陥った(表2)。


 2015年第1四半期のカテゴリー別販売額は、国内の製造業全体で設備投資が縮小した影響で国内需要が低迷したものの、海外市場では需要が顕著な増加を見せたため、全面的にプラス成長を見せた。うち「機械式伝動装置製造業」、「公害防止装置製造業」、「動力工具製造業」はいずれも10%を超える年成長率を記録した。

三.輸出状況
(2015年Q1)

 台湾汎用機械設備製造業の2015年第1四半期輸出額は、5大輸出相手国のうち、日本向けがマイナス成長となった以外はいずれもプラス成長を維持。特に韓国向けは前年同期比13.74%の大幅成長を記録した。一方、当産業にとって最大の輸出先である中国(香港含む)では経済成長の鈍化により機械設備の輸入需要が減退しているが、台湾からの調達は昨年第4四半期より回復を見せており、今年第1四半期も同国向け輸出額は148億400万台湾元と、同8.66%の増加を見せた。また、米国経済の持続的回復を背景とした同国製造業における需要増に伴い、米国向け輸出も同5.73%増。ドイツ向けは同1.64%増となった。ただ、日本向けは円安による打撃を受け、34億1,800台湾元と同9.23%の減少を記録した。

四.輸入状況
(2015年Q1)

 国内製造業における投資意欲の低迷が見られる中、汎用機械の輸入需要にも影響が出ており、台湾汎用機械設備製造業における今年第1四半期の輸入額は514億1,000万台湾元と前年同期比2.26%の減少を記録。5大輸入相手国のうち日本からの輸入は142億7,600万台湾元で同8.32%減、ドイツからは48億3,300万台湾元で16.88%減、タイからは23億5,000万台湾元で6.05%といずれもマイナス成長を記録。一方で中国からの輸入額は121億7,600万台湾元で同3.84%増、米国からも72億9,500万台湾元で14.99%増とプラス成長を維持した。

五.業界主要メーカーの業績

 台湾汎用機械業界における主要企業は2014年、需要の高まりを受けていずれも連結売上高でプラス成長を見せた。特にエレベーター生産を手掛ける永大機電工業は、中国の中小都市における需要の継続的成長、および同社の中国における知名度の高さが同市場での増収につながり、昨年の連結売上高は238億7,600万台湾元と前年比19.89%の大幅成長を記録した。また工作機械部品大手、上銀科技(ハイウィン・テクノロジーズ)の同年度連結売上高も機械業界の景気回復に伴い、同21.25%増の150.87億元を記録した。この他、コンプレッサー最大手の瑞智精密、浴室衛生設備の成霖企業(グローブ・ユニオン)もそれぞれ同10.04%、6.24%の成長を見せた。

 2015年に入っても当産業では景気好調を持続しており、多くの企業が増収を維持している。うち永大機電の1〜4月連結売上高は75億6,800万台湾元で前年同期比11.64%増を記録、ハイウィン、大甲永和機械工業(溶接式管継手など)、金雨企業(自動販売機など)の3社に至っては同20%以上の成長を見せた。ただ、瑞智精密とグローブ・ユニオンは中国市場の低迷を受け、それぞれ同15.62%減、5.52%減のマイナス成長となった。

 利益面では2014年、多くの企業が増収を記録した影響で純利益も成長傾向を示した。永大機電とハイウィンの同年の連結純利益はともに20億台湾元を超え、かつ前年比18.81%、18.53%の成長を記録した。また瑞智精密も同14.68%の増益となった。一方、グローブ・ユニオンは投資利益が前年の大幅成長から一転し、小幅な赤字に転落した影響で14年の連結純利益は1億5,700万台湾元にとどまり、前年比91.91%の減少となった。また金雨企業は赤字に陥った。

六.今後の見通し

 海外市場での需要が引き続き好調を維持していることから、台湾汎用機械設備製造業の各カテゴリーでは今年も販売額成長が見込まれ、特に「公害防止装置製造業」と「動力工具製造業」は成長幅が大きいと予想される。近年、PM2.5(微小粒子状物質)による大気汚染など国内の環境品質の悪化が叫ばれる中、政府の環境保護予算が減少する一方で環境保護法規は厳格化しており、かつ基準となる昨年度の数値が低かったことから「公害防止装置製造業」の今年の販売額は大幅に増加する見通しとなっている。また、「動力工具製造業」も米国市場の力強い成長に後押しされ、高成長が見込まれる。この他、「機械式伝動装置製造業」も機械市場規模の拡大、および関連部品需要の増加に伴い、今年の販売額は10%以上の増加が予測されている。

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