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【ワイズリサーチ】台湾専用機器業界の景気概況と未来展望
——2014年第4四半期~15年第1四半期


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2015年5月14日

機械業界 工作機械・産業機械

【ワイズリサーチ】台湾専用機器業界の景気概況と未来展望
——2014年第4四半期~15年第1四半期

記事番号:T00062839

一.市場概況

 2014年以来、台湾国内経済は顕著に回復しているが、数多くの業界の投資意欲が未だ低迷しているため、台湾専用機器業界に対する需要が弱まっている。ただ、同業界による一部の製品は輸入品の代替品になっており、成長を続けている世界経済も同業界の輸出を押し上げているため、同業界の生産額と売上高は伸びており、特に14年下半期における伸び幅は顕著である。

 14年第4四半期、台湾専用機器業界に対するASEAN諸国(東南アジア諸国)と中東地域からの調達が増加しているほか、台湾国内のエレクトロニクス業界が資本の支出を減らしていながらも、国内調達を増やしているため、同業界の生産額は前年同期比16.34%増の633.77億台湾元、売上高は同19.07%増の635.57億台湾元に成長した。なお、経済部主計処の予想によると、2015年第1四半期の国内経済成長率は3.50%増に達しており、海外市場からの需要も引き続き伸びているため、同業界の生産額と売上高は勢いある成長が維持されると予想されている。


 輸入に関して、14年以来、台湾元が切り下がっているため、輸入需要は減少し、台湾専用機器業界の輸入額は13年比23.31%大幅減の965.82億台湾元にしか達しなかった。しかし、15年以来、台湾エレクトロニクス業界の投資規模は小幅ながら上昇しており、国内固定資本形成も顕著に成長しているため、15年第1四半期の同業界の輸入額は成長を見せている。

 輸出に関して、機械業界に関する中国の輸入代替政策は台湾専用機器業界の対中国輸出を深く影響しているが、その衝撃はすでに弱まっており、米国における経済成長と製造業界の回帰およびASEAN諸国における経済発展は、同業界の輸出に好影響を与えているため、14年第4四半期の同業界の輸出額は、前年同期比4.70%増の516.83億台湾元に達した。なお、15年以来同業界に対する米国とASEAN諸国の需要が引き続き伸びているほか、中国からの需要も大幅に伸びているため、15年第1四半期における同業界の輸出は顕著な成長を示した。

二.各業界の販売状況

 14年第4四半期、台湾エレクトロニクス業界による国内調達は増加し、海外からの発注も勢いよく成長したため、「電子・半導体製造装置業界」の売上高は13年同期比26.58%大幅増の177.59億台湾元に押し上げられた、また、「プラスチック・ゴム加工機械業界」はASEAN諸国の需要増加の恩恵を受け、売上高は前年同期比96.80%大幅増の143.75億台湾元に届いた。また、「化学機械業界」は同5.78%増、「農業用・林業用機械業界」は同7.26%増の成長を示した。一方、売上が縮小した業界とその縮小幅は▽「未分類その他の専用機器業界」、2.32%減▽「繊維、アパレル、皮革製造機器業界」、5.70%減▽「木工機器業界」、1.82%減▽「食品、飲料、タバコ製造機器業界」、8.16%減▽「鉱業・建設機器業界」、17.98%減――である。
 15年以来、「電子・半導体製造装置業界」、「プラスチック・ゴム加工機械業界」、「化学機械業界」に対する需要は依然高まっており、第1四半期にそれらの売上高は顕著な成長が維持されると見られている。また、「繊維、アパレル、皮革製造機器業界」もASEAN諸国の需要増加により、売上高は衰退から抜け出した。しかし、「食品、飲料、タバコ製造機器業界」の売上高は下落する恐れがあり、「農業用・林業用機械業界」も干ばつが深刻化しているため、需要が弱まっている。



三.業界別の輸出入状況

1.輸入概況
 「電子・半導体製造装置業界」は台湾専用機器業界において輸入割合が最も大きい業界であり、その割合は80.01%に届いたが、パネル業界は資本の支出を減らしたほか、ウェハ業界の一部のメーカーも設備の輸入を遅らせたため、14年第4四半期における「電子・半導体製造装置業界」の輸入額は、前年同期比28.09%減の772.74億台湾元に衰退した。また、「化学機械業界」の輸入額は同45.94%減、「鉱業・建設機器業界」の輸入額は同4.50%減、「木工機器業界」の輸入額は同7.21%減に縮小した。一方、「未分類その他の専用機器業界」、「プラスチック・ゴム加工機械業界」、「食品、飲料、タバコ製造機器業界」などは、輸入額の伸び幅は大きな成長を見せ、「農業用・林業用機械業界」の輸入額も1.13%増の伸び幅を示した。



2.輸出状況
 14年第4四半期、「未分類その他の専用機器業界」と「プラスチック・ゴム加工機械業界」の輸出額は減少し、残りすべての業界の輸出額は成長を示した。その中でも、中国エレクトロニクス業界の発展による関連設備に対する輸入需要増に恵まれ、「電子・半導体製造装置業界」は、前年同期比25.20%増の110.58億台湾元である輸出額を見せた。なお、「農業用・林業用機械業界」、「食品、飲料、タバコ製造機器業界、「鉱業・建設機器業界」などの輸入額も前年同期比10%以上の伸びを示した。また、「木工機器業界」は米国におけるDIYに対する需要増により、輸出額は13年同期比7.35%増の50.16億台湾元に引き上げられたが、その伸び幅は既に縮小して始めている。

四.企業の運営

 14年、世界経済は成長を続け、台湾専用機器業界の輸出受注を引き上げており、大部分のメーカーの連結売上高も伸びた。しかし、為替差損により、収益は減少し、赤字も出たため、▽高林(SHIRUBA)▽恩徳科技(アンダーソン・インダストリアル)▽志聖工業(C SUN MFG)▽均豪精密工業(ガラント・プレシジョン・マシニング、略称GPM)――などのメーカーは連結当期純利益は衰退した。

 「木工機器業界」に関して、巨庭機械とショウ(ショウは金へんに昌)泰工業は景気回復の恩恵を受け、連結当期純利益は大幅に上昇し、ショウ泰工業は黒字転換を果たした。なお、米国の需要上昇により、14年における巨庭機械とショウ泰工業の連結売上高は、それぞれ前年比28.15%増の25.04億台湾元と同46.24%増の26.88億台湾元に成長した。また、他のメーカーとその連結売上高の成長率は▽恩徳科技、同3.28%増▽盟立自動化(Mirle)、同4.13%増▽志聖工業、同8.81%増▽均豪精密工業、同3.39%増――である。

 「電子・半導体製造装置業界」に関して、東捷科技(コントレル・テクノロジー)は台湾と中国のパネルメーカーによる需要により、14年の連結売上高が前年比20.35%増に伸びた。そして、半導体メーカーは製造プロセスを改善している恩恵を受け、電子ビーム検出装置の大手メーカーである漢民微測科技(ヘルメス・マイクロビジョン)の連結売上高は、13年比35.01%大幅増の72.01億台湾元に膨らんだ。

 「繊維、アパレル、皮革製造機器業界」に関して、家庭用ミシンの受注増加と中国市場の成長により、伸興工業の連結売上高は前年比12.44%増の62.46億台湾元に伸びた。一方、高林は中国アパレル工場の海外移転の影響を受け、連結売上高は13年比8%減の27.78億台湾元に衰退した。

15年第1四半期、台湾エレクトロニクス業界の資本の支出が保守的であるため、恩徳科技と志聖工業の連結売上高は衰退を示した。一方、均豪精密工業は日本マイクロニクスと技術協力を行い、中国と台湾における生産能力を拡大する計画もあり、連結売上高は14年同期比65.53%増の6.85億台湾元に成長した。なお、漢民微測科技も半導体業界による設備関連支出の増加により、連結売上高は前年同期比34.69%増に膨らんだ。しかし、高林はアパレルメーカーの景気低迷の影響を受け、連結売上高は14年同期より15.05%減に縮小し、その縮小幅は更に拡大する兆しが現れている。



五.未来展望

 15年、世界経済は引き続き成長すると見られ、特に米国の製造業の回帰および中国が提唱するアジアインフラ投資銀行(AIIB)は、台湾専用機器業界にとって新たな商機になり、同業界の輸出に有利に働いている。また、国内販売に関して、15年における台湾国内固定資本形成は前年比5.98%増に伸びるほか、国内半導体メーカーとパネルメーカーは資本の支出を拡大する可能性があるため、同業界の国内販売額も成長すると見られている。

 全体から見ると、米国、中国、ASEAN諸国の需要成長および台湾国内企業の投資意欲の回復により、15年における台湾専用機器業界の売上高は成長すると見込まれ、その伸び幅も10%増以上を維持すると見られている。しかし、アジア通貨の切り下げおよび米国による金利の上昇が起こす影響を留意するべきである。

国内外の需要上昇に恵まれ、15年における同業界の各細分業界の売上高は成長を示す可能性がある。その中でも、「電子・半導体製造装置業界」は半導体メーカーとパネルメーカーの資本の支出拡大により、売上高は前年比1割増の成長を示すと予想されている。また、「プラスチック・ゴム加工機械業界」はICT(情報通信技術)業界およびASEAN諸国におけるプラスチック業界の景気成長により、売上高が大幅に引き上げられるとみられている。なお、「化学機械業界」は米国と中国の調達増により、売上高も勢いある成長を示すと見込まれている。しかし、「農業用・林業用機械」は国内の干ばつによる休耕に影響され、売上高が顕著に下落すると見られている。

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