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【ワイズリサーチ】汎用機械製造業界の現状と展望


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2015年4月30日

機械業界 工作機械・産業機械

【ワイズリサーチ】汎用機械製造業界の現状と展望

記事番号:T00062831

一、運営現況

1.2014年の汎用機械製造業界の生産額および売上高は、台湾市場の経済成長によって企業の投資増加と消費者の購買意欲の回復がもたらされたため小幅成長した。15年第一四半期もその傾向が維持される見込み。
 同業界は製品の種類が多く応用範囲も多岐にわたるため、売上業績が台湾のみならず世界市場の経済成長に左右される。2014年は、中国からの調達規模が縮小したことが同業界の輸出実績に響いた。しかし台湾市場の経済成長によって企業の投資額が増加、さらに消費者の購買意欲も回復したため需要が伸びた。これにより14年における同業界の生産額は1,390.17億台湾元で前年比4.16%増、売上高は1,418.27億台湾元で4.21%増となった。15年は本産業に対する内需は縮小傾向にあるものの、海外市場では需要が伸びているため、15年1月の生産額は前年同期比3.97%増、売上高は同1.79%増の小幅成長となっている。15年第一四半期もこの傾向が続く見込みだ。


2.製品別に見ると、2014年はいずれも売上高が成長したが15年1月は包装機械とウォーターサーバーが低迷した。
企業の投資増加と消費者の購買意欲の高まりを受けて、2014年同業界の各製品はいずれも売上高を伸ばした。このうち売上高の比重が最も多い「未分類その他の機械・部品」は中国からの部品調達が増加したため、14年の売上高は1,215.01億台湾元で前年比4.21%増となった。また「放電加工機」は、一部の企業が放電加工高速回路と大型機械の剛性構造上、多軸制御と設備の自動化を推進したことが輸出業績の追い風となり14年の売上高は33.47億台湾元で同6.06%増と成長した。このほか、各製品の前年比成長率は、
 ▽中央式空調システム、8.17%▽ウォーターサーバー、6.95%▽冷蔵庫・冷凍庫、6.60%▽工業用換気送風機、4.51%▽包装機械、0.23%――となった。最も成長率が低かった「包装機械」は台湾市場での内需は伸びたものの、海外市場の需要低迷が響いた。

15年1月の「包装機械」と「ウォーターサーバー」の売上高は、海外からの需要減によって低迷した。しかしそのほかの製品はいずれも成長傾向が続き「放電加工機」と「冷蔵庫、冷凍庫」の成長率が高かった。15年第一四半期もこの傾向が続く見込みだ。

3.台湾市場の経済成長、中国からの調達拡大によって2015年1月~2月の輸出入額はいずれも増加した。
 2014年における汎用機械製造業界の輸入額は、台湾市場の経済成長と需要拡大を受けて345.05億台湾元で前年比2.41%増となった。また15年1月~2月の輸入額は49.75億台湾元で同4.62%増であった。15年第一四半期も内需好調が持続し、成長傾向が続く見込みである。

 2015年1月~2月における同業界の主要輸入相手国上位5カ国は、輸入比率が高い順に▽日本、28.10%▽中国、20.97%▽米国、15.71%▽韓国、7.68%▽ドイツ、6.63%――であった。輸入額が成長したのは中国(前年同期比14.62%)、米国(同13.35%)、韓国(同96.01%)の3カ国で、日本とドイツからの輸入額はそれぞれ0.60%、54.51%と減少している。

 2014年の同業界の輸出額については、米国の経済成長が好影響を及ぼしているものの、中国の経済成長の鈍化、日本経済の低迷、さらに国際為替レートの激しい変動といった背景から412.73億台湾元で前年比2.31%減のマイナス成長となった。ただし15年は中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)各国からの需要が伸び、15年1月~2月の輸入額は62.75億台湾元で前年同期比11.34%成長した。15年第一四半期の輸出額も成長傾向が続く見込みだ。

 2015年1月~2月における同業界の主要輸入先は、輸出比率が高い順に▽中国、22.21%▽米国、13.16%▽日本、5.35%▽タイ、4.35%▽香港、4.30%――であった。このうち対日本輸出額は、日本円安と日本市場の内需および投資が縮小していることから前年同期比1.43%減少している。そのほかはいずれも伸びており、前年同期比の成長率は▽タイ、26.20%▽香港、13.92%▽中国、4.56%▽米国、0.12%――となった。



4.2014年、業界大手の金雨企業、コン霖冷凍機械(コンは二つの方に下に土)、慶鴻機電工業は連結売上高がいずれも成長。連結当期純利益はコン霖のみが前年比増となった。

 台湾汎用機械製造業界の製品は各業界で使用されており、取引先は主に中小企業で上場会社・店頭公開会社は少ない。2014年、同業界の主要各社の連結売上高はそろって成長した。金雨企業は自動販売機の販売が主要業務であるが、自動販売機市場は▽台湾市場が小規模であること▽コンビニ、飲食業界との競合▽日本の中古自動販売機の輸入――といったことから縮小を続けている。しかし14年は消費者の購買意欲が回復し、情報通信、省エネ機能、電子マネーシステムやマルチメディアなどを搭載した新型のスマート販売機の開発など製品の多様化が進んだ。これにより14年における金雨企業の連結売上高は1.81億台湾元で前年比65.34%と大幅成長した。しかし15年1月~2月は川下からの調達が減少し、連結売上高は0.14億台湾元で同39.81%減と落ち込んでいる。

 慶鴻機電工業の主要製品はワイヤ放電加工機と放電加工機で、主に台湾市場向けに販売している。また世界で二番目、台湾では初となるリニアモータ搭載のワイヤ放電加工機のメーカーで、リニアモータ開発の実績もある。2014年下半期から業績が低迷しはじめ、同年の連結売上高は前年比1.07%増にとどまった。15年1月~2月の連結売上高は小幅ながら成長し、2.45%増となった。

 コン霖冷凍機械の主要製品は中央式空調システムをサポートするチラーユニットで、台湾市場でシェア3割以上を占める。省エネとエコのトレンドにより、省エネかつ高効率である代替冷媒の開発が盛んなため、2014年の連結売上高は24.67億台湾元で前年比10.98%と好調であった。15年初め、同社は15年からR22旧型冷媒チラーを生産停止し、410A、134Aおよび407Cなどのエコ設計の冷媒チラー生産へ切り替えることにした。これが業績に影響し、15年1月~2月の連結売上高は前年同期比で2.78%減少した。さらにコン霖冷凍機械は東元電機(TECO)と提携して、台湾市場シェア5割以上を目指している。現在、遠心式チラーの多くは設置から15年が経過しており設備交換の時期にあたる。同社は東元とともにこの商機を狙い、1年で約5,000台の需要を見込んでいる。

二、展望

1.2015年も台湾および世界経済は成長が続き、台湾汎用機械製造業界の内需に好況をもたらすと予測される。米国、中国からの調達も増加して売上高の成長が期待できるが、成長幅は14年よりもゆるやかになる見込みだ。
 2015年2月に行政院主計處が発表した資料によれば、15年の台湾の経済成長率は14年を上回る3.78%となる見通しである。また民間固定資本額も前年比5.98%増で14年より2.62ポイント上回ると予測される。同時に消費者の購買意欲も向上すると見られ、ある研究機関は15年の台湾の経済成長率に対して楽観的な見方を示している。このような背景から台湾汎用機械製造業界も内需規模の拡大が期待できる。

 輸出については、国際研究機関はいずれも世界経済の好転により15年の主要各国の経済成長率は14年を上回ると見ている。とくに米国経済の好調が同業界の輸出業績に好影響を与えるだろう。また台湾企業がASEAN進出を推進しており、同地域からの受注も増加している。さらに台湾の内需も回復してきているため、15年の売上高は前年を上回る見通しだ。ただし、アジア通貨の為替レート変動による影響は注意すべきである。

2.製品別では、2015年は「包装機械」を除いていずれも売上高は成長すると予測される。
 2015年は台湾市場の需要増加を受けて、台湾汎用機械製造業界の売上高は成長する見通しだ。製品別には「放電加工機」が自動車産業と消費電子製品産業の好況を受けて、モジュールの成長が期待できる。また「未分類その他の機械・部品」も関連部品の調達規模の拡大により売上高増が見込めるだろう。また15年は国泰置地広場ビル、合作金庫本部ビル、華南銀行本部ビルといった新オフィスビルが使用開始され、その総面積は56,000坪に達する(14年は39,822坪)。さらに固定資本形成金額も成長するため、製造業の工場オフィスの需要が高まり、「中央式空調システム」と「ウォーターサーバー」の売上高に追い風となるだろう。一方で「包装機械」は海外市場からの調達減少の影響から15年の売上高は低迷する見通しだ。

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