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【ワイズリサーチ】2014年~15年——
台湾プラスチック・ゴム加工機械業界の
産業分析と将来の展望


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2015年4月16日

機械業界 工作機械・産業機械

【ワイズリサーチ】2014年~15年——
台湾プラスチック・ゴム加工機械業界の
産業分析と将来の展望

記事番号:T00062823

一.業界概況

 中国では経済成長が鈍化する中、輸出代替政策が実施されている。またアジアの通貨切り下げ競争は、台湾プラスチック・ゴム加工機械業界の輸出にとって脅威となっている。その一方で、米国の経済好転とベトナムの経済成長によって同業界に対する需要は拡大しており、さらに台湾経済も成長している。これにより2014年における同業界の生産額は前年比23.50%増の449.20億台湾元、売上高は同23.75%増の390.34億台湾元となった。

 15年も台湾経済は成長が続くと見られ、第1四半期の経済成長率は3%以上に達する見込みだ。これにより同業界の川下産業の投資が進み、15年1月における同業界の生産額と売上高はそれぞれ前年同期比59.44%増と同77.44%増となった。15年第1四半期全体の生産額と売上高も引き続き好調が続くと予想される。

二.販売状況

 2014年は台湾市場での需要が大きく増加したことから、「その他プラスチック・ゴム加工機械・部品」の売上高は前年比56.44%増の214.05億台湾元と成長した。一方で「プラスチック射出成形機」と「プラスチック・ゴム押出機」の売上高は、それぞれ同0.32%減の137.18億台湾元、同4.60%減の39.11億台湾元とそろって低迷した。

 15年1月も好調が続き、「その他プラスチック・ゴム加工機械・部品」の売上高は前年同期比227.31%増の27.90億台湾元に達した。また「プラスチック射出成形機」の売上高も低迷から抜け出した。ただし「プラスチック・ゴム押出機」は中国の需要不振に影響され、売上高は2.05億台湾元で同49.04%の大幅減となった。

 近年、同業界のメーカー各社はハイレベルの射出成形機を開発することで製品の平均販売価格の引き上げを図っている。しかし14年以降、米国の量的金融緩和政策の終了と日本円安を受けたアジア通貨の切り下げによって「プラスチック射出成形機」と「プラスチック・ゴム押出機」の平均価格は下落している。

 15年1月は台湾元安により「プラスチック射出成形機」と「プラスチック・ゴム押出機」の平均価格の落ち込みがさらに顕著になった。「プラスチック射出成形機」の平均価格は前年同期比6.54%減の152.33万台湾元、「プラスチック・ゴム押出機」は同40.19%減の169.21万台湾元であった。

三.輸出入状況

1.輸入状況
 台湾経済が顕著に成長していることから、台湾プラスチック・ゴム加工機械業界の川下産業でも投資規模が拡大しており、同業界の輸入需要は伸びている。また好調な台湾自動車・部品業界からの需要増加も追い風となり、2014年における同業界の輸入額は前年比10.05%増の82.03億台湾元となった。

15年に入ってからも台湾経済は成長を維持しており、多くの企業は投資に対して楽観的な姿勢を示している。このことから15年1月~2月における同業界の輸入額は、前年同期比22.44%増の9.20億台湾元に成長した。

 15年1~2月の主要輸入先相手国5カ国は、総輸出額に占める割合が高い順に▽中国、35.96%▽日本、27.41%▽フランス、9.80%▽ドイツ、7.63%▽米国、3.87%――であった。主要5カ国からの輸入額合計は総輸入額の84.67%を占めている。このうち対中国輸入額は前年同期比22.94%増の3.31億台湾元、対フランス輸入額は同102.17%増も成長した。また対日本輸入額と対ドイツ輸入額も同10%以上伸びている。一方で、対米国輸入額は米ドル高により同42.26%減の0.36億台湾元と縮小した。

2.輸出状況
 米国市場では経済成長が続き、台湾プラスチック・ゴム加工機械業界に対する調達が拡大している。一方で、ASEAN(東南アジア諸国連合)の経済が減速していることから同業界の対ASEAN輸出は小幅成長にとどまっている。また中国でも経済成長の鈍化と輸入代替政策により同業界に対する需要が減少している。このような背景から2014年における同業界の輸出額は前年比1.11%小幅増の376.04億台湾元となった。

 15年1月~2月は、米国とASEANからの需要が急増した一方、中国からの需要は顕著に減少した。これにより同業界の輸出額は前年同期比1.88%減の54.65億台湾元となった。

 15年1~2月の主要輸出先相手国5カ国は、総輸出額に占める割合が高い順に▽中国、14.03%▽インドネシア、10.82%▽ベトナム、6.83%▽米国、6.73%▽インド、6.34%――であった。主要5カ国への輸出額合計は総輸出額の44.75%を占めている。このうち対中国輸出額は7.67億台湾元で前年同期比47.27%大幅減となったが、対インドネシア輸出額は5.91億台湾元で同74.58%増と大幅成長した。対米国輸出額は、米国市場での製造業回帰、経済好転、米ドル高といった要因により同38.49%増となった。また対インド輸出額も同48%増と成長した。

四.未来の展望

 2015年も世界経済は成長を維持し、台湾プラスチック・ゴム加工機械業界の刺激材料となるだろう。しかし中国では経済成長が鈍化する中で輸入代替政策が実施されており、さらにこの影響がASEANの経済にも波及すると見られる。全体的に見れば、15年は同業界に対する米国、欧州、日本からの需要は伸びるものの、中国からの需要は弱まると予測される。

 台湾市場での販売に関しては、2015年はアップル社がiphone6sやアップルウォッチなどを発売する予定であることから、台湾のICT(情報通信技術)業界では設備交換が進み、同業界に対する需要増に繋がるだろう。また世界自動車販売市場の成長が持続し、自動車部品業界からの調達規模がさらに拡大する見込みであることから、15年における台湾市場での同業界の販売額は引き続き成長する見通しだ。

 海外市場での販売に関しては、中国が輸入代替政策を引き続き実施しているものの、米国からの需要は大きく成長するだろう。また欧州と日本が調達規模を拡大すると見られるため、15年における同業界の輸出額は小幅成長となると予測される。このような台湾市場と海外市場での需要増加により、15年の台湾プラスチック・ゴム加工機械業界の売上高は成長傾向が続き、製品別では「その他プラスチック・ゴム加工機械・部品」の伸び幅が最も大きくなる見込みだ。

 米ドル高は原材料コスト減少をもたらすものの、ユーロ、日本円、アジア通貨の切り下げにより各国の競争は激化するだろう。さらに台湾元安が同業界の販売価格に影響するため、15年の台湾プラスチック・ゴム加工機械各社の粗利益率は小幅ながら下落する恐れがある。

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