ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム 会社概要 採用情報 お問い合わせ

コンサルティング リサーチ セミナー 在台日本人にPR 経済ニュース 労務顧問会員

【ワイズリサーチ】2016年第2四半期台湾医療 機器産業の振り返り及び未来展望


リサーチ 台湾事情 その他 作成日:2016年8月19日

機械業界 工作機械・産業機械

【ワイズリサーチ】2016年第2四半期台湾医療 機器産業の振り返り及び未来展望

記事番号:T00065915

一、第2四半期産業概況
 コンタクトレンズ、血糖値測定器及び歩行補助用具などの製品への需要は高く、輸出額は継続的に成長しているため、2016年第2四半期台湾医療機械産業の生産額は前期比2.1%増の246億4,000万台湾元となった。また、マッサージ用機械、経皮的末梢神経電気刺激ユニット(TENS)、整形外科用医療用具、ハイエンドカテーテルなどの製品の好調により、台湾当産業の生産額は前年比9.0%増となった。

  手術・治療用医療機器のうち、マッサージ用機械、その他手術機械・付属品が徐々に出荷し、連帯的に副次的な領域の生産額を押上げ、全体の生産額も前期比14.7%増となった。

 診断・測定用医療機器のうち、心電図は2015年末から16年初まで中国に大量出荷したが、16年第2四半期から例年通りの出荷量までに落ち着いたため、16年第2四半期の生産額は前期比34.2%減となった(表1参照)。



二、カテゴリー別概況
1.診断・測定用医療機器

 このカテゴリーは大きく「生体検査機器」及び「生体検測機器」に分けることができる。このうち:

 生体検査機器は血圧計、聴診器及び体温計などが含まれている。血圧計メーカーは健康管理サービスとして、心血管リスクを表示できる製品を開発したことにより、出荷量をけん引し、輸出額は前年比7.2%増となった。主要輸出先国は日本及び韓国だ。一方、体温計及び聴診器は製品が成熟期に入り、市場競争激化の影響で、輸出額は前年比減少の傾向だ。

  生体検測機器は心電図、脳波測定器、心拍変動測定器及びその他電気式診断機器を含む。このうち、心電図は主にドイツ、日本を主要輸出先としていたが、2015年末から16年初において中国への輸出額が大きく成長した。ただ、16年第2四半期では輸出額は例年通りまでに落ち着いたため、16年第2四半期の輸出額は前期比減少傾向となった。
2.手術・治療用医療機器
 2016年第2四半期手術・治療用医療機器の生産額は57億7,000万台湾元(前期比14.7%増、前年比11.6%増)となった。

  このうち、その他手術機器・付属品は製品種類が多く、製品への要求が高いため、製品価格が高い上、高付加価値を有する。故に台湾メーカーは積極的にハイエンド製品(低侵襲手術機器及び内視鏡)を開発し、輸出額は継続的に成長し、このカテゴリーにおいて最も高い割合を占めている。2016年第2四半期の輸出額は前年比28.9%増で、主要市場は米国、日本、ドイツ及び中国である。
 また、物理治療機器は台湾メーカーが長年間TENS及び物理治療用マッサージ機器の研究開発に注力し、製品の効果及び品質は海外市場の注目を集めている。そのため、輸出額はそれぞれ前年比43.0%増及び26.3%増となった。高齢化社会が進み、関連商品の販売額はさらに成長し、当カテゴリーの生産額をけん引する見通しだ。
3.補正・生体内移植器具
 補正・生体内移植器具は医療機器産業のうち、最も高い生産額を有するカテゴリーだ。主要輸出項目の▽コンタクトレンズ▽歩行補助用具▽生体内移植器具——が好調の影響で、2016年第2四半期の生産額は72億8,000万台湾元(前期比11.2%増、前年比4.3%増)となった。

  コンタクトレンズは台湾医療機器産業において、最も大きな割合を占めている。台湾メーカーは製造技術及び製品の歩留まり率はトップレベルであり、日本及び中国による需要拡大の恩恵を受けて、輸出額は前年比15.3%増となった。さらに、主要メーカーの精華光学(ST.SHINE)及び金可(GINKO)は生産ラインを拡張する計画があるため、輸出額は継続的に成長し、産業全体の生産額をけん引する予測だ。
 電気車いす、シニアカーなどの歩行補助用具について、台湾製品は技術及び品質が優れているため、イギリス、米国及びドイツなどの先進国では好評を受け、輸出額も前年比10.7%増となった。

  また、生体内移植器具のうち、人工関節は中国、米国市場の開発に成功したため、輸出額は前年比25.5%増となった。今後は高齢化社会が進むことにより、生体内移植器具、歩行補助用具への需要は継続的に成長し、当カテゴリーの生産額を押し上げる見通しだ。
4.体外診断医療機器
 体外診断医療機器は血糖値測定器及び尿糖試験紙を主要製品としている。主要製品が安定成長の恩恵を受けて、2016年第2四半期の生産額は43億5,000万台湾元(前期比1.2%増、前年比21.3%増)となった。

  血糖値測定用製品は体外診断医療機器の輸出額の7割を占め、当カテゴリーの主要項目となっている。台湾メーカーの技術は成熟しており、製品が世界市場における競争力が高く、輸出額は安定的に成長し、前年比11.0%増となった。今後について、新興國家の糖尿病患者数が増加し、慢性疾病への予防計画の実施により、血糖値管理関連製品への需要拡大に繋がる見通しで、今後の発展は期待されている。
5.その他医療機器
 その他医療機器の製品は主に医療機構が定期的に調達する消耗品に該当し、全体から見れば安定的に成長しているため、生産額はの52億4,000万台湾元(前期比0.7%増、前年比7.2%増)となった。

 カテーテルについて、近年台湾メーカーはハイエンド、高付加価値製品の開発、臨床応用の強化に注力したことにより、製品が世界市場における競争力を高め、同時に輸出額の向上に成功した。そのため、2016年第2四半期の輸出額は前年比64.1%増となった。

  台湾メーカーは高齢化社会の進行及び慢性疾病患者増加のトレンドに気づき、創傷用被覆材の技術向上に注力し、一部のメーカーはすでに自社ブランドで世界市場の参入を果たした。近年は積極的に東南アジア市場を開発し、輸出額も前年比57.8%増となった。

三、2016年第2四半期トピックス

アメリカ食品医薬品局 医療機器の付加製造に指導原則草案を公開


(1)説明:

  アメリカ食品医薬品局(FDA)は2016年5月、医療機器の付加製造に関する指導原則草案を公開し、内容への評価及び提案の受付を開始した。同草案は主に▽製品の設計・製造に注意すべきポイント▽製品のテスト・検証▽法律規定——などを規定したが、生体組織の関連製品は対象外となっている。すなわち、メーカーは製品の設計・製造プロセスを詳しく説明・記述し、可能なリスク及び対処方法を分析しなければならない。これにより、付加製造の医療機器の分類に影響を及ぼす虞がある。
(2)影響:

  付加製造を医療機器に応用することにより、患者の医療映像・データを利用してカスタム化した医療機器を製造することができた。従来の工法と比べ、付加製造技術は複合材料を使い、より曲面的、人間工学に符合する医療機器を製造できる。FDAが医療機器の付加製造指導原則草案を公開したことにより、付加製造による医療機器製造は注目を集めていることが分かった。同時に医療機器メーカーに参考できる基準を提供した。

  医療機器における付加製造の応用について、台湾は医学界と法人団体による研究を除き、工作機械大手メーカーの東台精機(TONGTAI)も国家研究院と提携して医療機器の付加製造技術を開発している。また、台湾食品医薬品局(TFDA)は3Dプリントの原材料、機械本体、ソフト、製品(完成品)の審査原則について、関連法律規定を制定する計画だ。


四、未来展望

  2016年第3四半期は医療機器産業従来の需要期であり、台湾医療機器産業の輸出額をけん引する見通しだ。16年第3四半期台湾当産業の生産額は273億7,000万台湾元に達する予測だ。

  2016通年について、コンタクトレンズは引続き台湾医療機器産業を支える柱で、産業全体の生産額をけん引する予想だ。また、新規市場の開拓が成功したため、過去の主要製品である血糖値測定器は成長回復の傾向だ。さらに世界の高齢化社会が進み、福祉用具、外科医療機器、物理治療用機器、カテーテルの輸出を押し上げた。そのため、16年台湾当産業は継続的に成長し、生産額は前年比8.5%増の1,023億台湾元となる見通しだ。

機械業界-工作機械・産業機械

2週間無料モニター募集中!

情報セキュリティ資格を取得しています

台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。