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【ワイズリサーチ】事務機械製造業の振返りおよび未來展望


リサーチ マーケティング 台湾事情 作成日:2017年4月27日

機械業界 工作機械・産業機械

【ワイズリサーチ】事務機械製造業の振返りおよび未來展望

記事番号:T00070236

 2016年第1四半期台湾経済の鈍化は目立ち、海外市場による需要も弱いものの、16年第2四半期より経済不振は回復の兆しを示した。同時に16年の会社登録数は67万5,300社で、前年同期と比べて、2万2,000社増となったため、事務機械製造業に対する需要をけん引した。そのため、16年台湾事務機械製造業の生産額は前年同期比3.61%増の88億6,300万台湾元で、販売額は同5.13%増の90億7,700万台湾元となり、そろって成長傾向を示した(表1参照)。


 2017年の台湾経済は16年より大きな成長幅を示すと予測され、連帯的に企業および創業希望者の投資意欲をけん引した。そのため、17年1〜2月の会社登録数は更に成長し、新設会社登録数は前年同期比8.66%増となった。この恩恵を受けて、17年第1四半期台湾事務機械製造業の生産額、販売額は成長傾向を維持する予測だが、輸出は相対的に不振のため、生産額、販売額は小幅成長にとどまる見通しだ。

一、輸出入概況
 台湾市場の需要が強いため、台湾事務機械製造業の輸入額は大幅成長した。また、コンビニの新規店舗オープン、並びに第一銀行のATMハッキング事件が発生した後、多くの銀行業者はATMを更新したため、ATMの輸入需要をけん引した。その結果、2016年台湾当産業の輸入額は前年同期比43.04%増の286億3,800万台湾元と大幅成長した。

  輸出について、2016年に入ってから、中国経済の鈍化、人民元安などの影響で、中国は台湾事務機械製造業に対する調達規模を減少させたことに加え、15年年末に米国が利上げを実施したことにより、米国企業の投資意欲に影響を与え、間接的に台湾当産業に対する輸入に影響を及ぼした。一方、欧州連合(EU)、日本および韓国の台湾当産業に対する調達規模を拡大させたため、16年台湾当産業の輸出額は前年同期比4.24%減の295億9,000万台湾元となった(表2参照)。


  2017年について、1〜3月は中国による調達規模は大幅減少し、連帯的に台湾当産業の輸入額は前年同期比20.19%減の47億5,700万台湾元となった。また、輸出額について、世界経済は17年に入ってから回復の兆しを示したが、台湾元高が進行し、台湾当産業の輸出に影響を及ぼした。特にオーストラリアおよび東南アジア諸国連合(ASEAN)による需要が大幅減少したため、17年第1四半期台湾当産業の輸出額は同8.04%減の66億3,500万台湾元となった。



二、主要輸出入相手国

  台湾事務機械製造業はアジア圏を最大の輸入市場とし、特に中国(香港、マカオを除く)および日本は最も大きな主要輸入相手国で、主に機械部品を輸入している。2017年1〜3月、中国からの輸入額は前年同期比38.93%減と大幅減少したことに対し、日本からの輸入額は同9.96%増と小幅成長となった。また、第一銀行のATMハッキング事件の影響で、一部の銀行はドイツメーカーからATMを購入するようになったため、台湾当産業がドイツからの輸入額は同443.56%増と大幅成長した(表3参照)。

 主要輸出相手国について、2017年1〜3月台湾事務機械製造業の主要輸出相手国のうち、米国は台湾元高米ドル安の影響で台湾当産業に対する輸入規模を減少させた。そのため、台湾当産業の米国に対する輸出額は前年同期比0.31%減の14億5,000万台湾元となった。また、台湾元高の継続により、連帯的に台湾当産業の中国、日本およびオランダに対する輸出に影響を及ぼし、輸出額はそろって減少傾向だ。ただし、ドイツは台湾製のOA(オーフィス・オートメーション)機械に対する調達規模を拡大させたため、台湾当産業がドイツに対する輸出額は同20.35%増となった(表4参照)。


三、主要メーカー動向

  台湾事務機械製造業メーカーは主に中小企業であり、資本額がすくないため、上場・店頭公開メーカーは大体電子製品メーカーである。このうち、震旦行(オーロラ)は元々OA(オーフィス・オートメーション)機械の販売に従事していたが、その後事務機械市場に参入した。近年、オーロラは工業研究院と技術提携し、「オーロラ・オフィスクラウド」のサービスをリリースし、クラウドコンピューティングを通じて、月払いのレンタル方式で中小企業を対象に電子化システムのサービスを提供してきた。また、2013年は世界大手メーカーのStratasysと技術提携し、3Dプリント市場への参入を果たした。14年オーロラは通業技研(GIT)を投資し、台湾・中国で3Dプリント事業部門を設立し、売上高をけん引した。17年1〜3月の連結売上高は前年同期比4.37%増の35億700万台湾元となった。
 互盛(eosasc)は「顧客に最高のサービスを提供する」をスローガンとし、OA機械及びクラウドコンピューティングサービスを統合し、顧客の規模、特性及び需要に基づき、全面的な管理システムを提供し、楽しいオフィスを構築することを目標としている。これにより、連結売上高は成長傾向を維持し、2017年1〜3月の連結売上高は前年同期比7.68%増の8億6,800万台湾元となった(表5参照)。

四、未來展望

  2017年の台湾経済は16年より大きな成長幅を示すと予測されたことに加え、ここ数カ月間台湾の新設会社登録数も大幅成長しており、台湾事務機械製造業の内需市場に好材料をもたらした。また、17年の米国および中国経済はポジティブに捉えられており、連帯的に台湾当産業の輸出をけん引する見通しだ。ただし、台湾元高の継続により輸出受注に影響を及ぼす恐れがあるため、17年台湾当産業の販売額は小幅成長にとどまる予測だ。
 さらに、台湾当産業の主要メーカーは市場環境の変化に合わせて、異業種への参入や新型製品を開発・導入することにより、産業構造の転換に成功したため、2017年各上場・店頭公開メーカーの連結売上高は尚も成長傾向を維持できる予測だ。ただし、台湾元高を継続する場合、為替差損が発生する恐れがあるだろう。

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