ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム 会社概要 採用情報 お問い合わせ

コンサルティング リサーチ セミナー 在台日本人にPR 経済ニュース 労務顧問会員

【ワイズリサーチ】台湾医療器具産業——2017年Q1概況およびトピック


リサーチ マーケティング 台湾事情 作成日:2017年5月25日

機械業界 製造業全般

【ワイズリサーチ】台湾医療器具産業——2017年Q1概況およびトピック

記事番号:T00070740

 2017年第1四半期は営業日数が少ないため、医療器具産業にとっては非需要期だ。加えて台湾元高が輸出に影響を及ぼしたため、台湾医療器具産業の17年第1四半期生産額は前年同期比0.5%減の240億1,000万台湾元となった(表1参照)。

一、カテゴリー別概況

1.診断・測定用医療器具

  2017年第1四半期診断・測定用医療器具の生産額は前年同期比40.0%減の18億3,000万台湾元となった。このうち、心電図は16年第1四半期に出荷のピークに達したことに対し、17年第1四半期は従来通りの水準に戻ったため、診断・測定用医療器具の生産額に大きな影響を及ぼした。


 血圧計は生理検査用医療器具の主要製品で、大手メーカーである百略医学(マイクロライフ)がリリースした心房細動警告機能付きの血圧計は市場で好評を得て、出荷量は成長し続けている。また、メインターゲットである欧州市場のほか、米国市場の開拓に注力し、処方せん医薬品以外の医療用医薬品の資格取得を目標として、一般販売ルートで流通することで販売額の成長を狙う。
 一方、体温計は価格競争が激化した影響で、輸出量は前年同期相当であるが、輸出単価の下落により、輸出額は減少傾向となった。



2.手術・治療用医療器具

 手術・治療用医療器具のうち、その他手術用機器・付属品は製品種類が多く、製品毎に差別化しているため、生産額は最も大きな比率を占めている。また、低侵襲手術のブームにより各国が低侵襲手術用医療器具に対する需要が大幅成長したことに着目し、台湾メーカーは次々と低侵襲手術用医療器具の研究開発・生産に投入した。外国大手メーカーの受託生産を受注するほか、ハイエンド手術用医療器具の研究開発を開始し、輸出額も前年同期比19.5%増と大幅成長した。

3.補正・生体内移植器具
 補正・生体内移植器具は医療器具産業の中で最も大きな輸出額を占め、2017年第1四半期の輸出額は前年同期比5.2%増の68億8,000万台湾元となった。


 コンタクトレンズは台湾医療器具産業の中で最も大きな輸出額を占めるカテゴリーである。日本および中国市場の需要が好調のため、輸出額は前年同期比20.4%増となった。また、主要メーカーである精華光学(St.SHINE)および金可(Ginko)は積極的に生産ラインの拡大を推進し、同時に販売業者と提携し、海外市場の開拓に注力することにより、今後の輸出額は更に成長する予測だ。


 福祉用具のうち、電気車椅子・部品は主に欧州を主要市場とする。主要メーカーである必翔実業(Pihsiang)は欧州市場の販売ルートを変更したことにより、販売額が落ち込んだため、生産額は前年同期比4.4%増の小幅成長にとどまった。

4.体外診断医療器具

  2017年第1四半期体外診断医療器具の生産額は前年同期比0.5%減の42億8,000万台湾元となった。このうち、血糖値測定器は最も大きな比率を占めている。台湾メーカーは高度な技術を持ち、外国メーカーによるOEM(相手先ブランドによる生産)、ODM(相手先ブランドによる設計・製造)を受注している。また、自社ブランドで欧州、中国市場を開拓したほか、新興市場であるイタリア、トルコの市場開拓に注力している。
 市場の価格競争による影響を受け、2017年第1四半期血糖値測定器の米国に対する輸出価格は前年同期比10〜20%減となった。また、主要メーカーである泰博科技(TaiDoc)が17年第1四半期の売上高は為替変動の影響を受けたが、16年度の血糖値測定器の出荷は好調だったため、血糖値測定試験紙の輸出を引上げる見通しだ。



5.その他医療器具

 その他医療器具の製品は主に医療用消耗品であるため、非需要期による影響は小さい。2017年第1四半期の生産額は前年同期比3.2%増で、安定な成長を示している。このうち、台湾医療用カテーテル大手の太平洋医材(PAHSCO)は日本、欧米からのOEM受注を受けるほか、中国市場の開拓に注力している。また、邦特生技(BIOTEQ)はローエンド製品の生産ラインをフィリピン工場に移転させ、台湾工場はハイエンド製品の生産に集中するほか、新興市場の開拓に注力しているため、医療用カテーテルの輸出額は今後も安定な成長を維持できる見通しだ。

  一方、台湾メーカーは創傷用被覆材の技術向上に注力し、親水性被覆材、コラーゲンおよび抗菌被覆材などのハイエンド商品を開発したため、創傷用被覆材の輸出額は前年同期比9.1%増と成長し、今後の成長が期待されている。



二、2017年医療器具産業トッピク
アメリカ食品医薬品局の新しい管理草案は公表、米国の第2級医療器具の一部に対し、流通認証の規制から外した。
1.説明:

 アメリカ食品医薬品局は176項の第2級医療器具に対する流通認証規制を免除する予定で、関連製品は聴診器、体脂肪計、体外診断用医療器具・試験薬、手術用照明器などを含む。

2.影響分析:

  米国のトランプ大統領就任後、米国製造業が国内回帰を主導するほか、医療保険制度の改正および国立衛生研究所の経費を削減する動きを見せたため、医療器具市場に悪い影響をもたらす可能性がある。ただし、医療器具の流通認証の緩和、医療器具税の減免などの政策は医療器具産業および関連メーカーのチャンスとなるだろう。

 台湾医療器具産業は輸出産業であり、特に米国は主要市場の一つであるため、各メーカーは関連法律規定の動向に注意し、規定に基づき製品を調整できれば、製品の流通手続きの効率化が図れる。

機械業界-製造業全般

2週間無料モニター募集中!

情報セキュリティ資格を取得しています

台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。