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台湾の洋上風力発電開発計画概要



リサーチ 台湾事情 その他 作成日:2018年11月8日

機械業界 エネルギー

台湾の洋上風力発電開発計画概要


記事番号:T00080265

 2018年は台湾の「洋上風力発電元年」だ。台湾における洋上風力発電開発は「モデルファーム奨励」、「ポテンシャル海域開発」、「ブロッグ開発」という3つのフェーズに沿って進められており、どのフェーズも台湾のインフラと産業サプライチェーン構築にとって重要な基礎を築くものである。
 台湾では2012年2月に「陸海風力発電機設置計画」が制定され、風力発電開発はまず陸上から着手し、その次に洋上を手がけていくという方針が決定した。そして同年7月には「洋上風力モデルファーム奨励法」によって、洋上風力発電開発の第一歩が踏み出されることとなった。

一、洋上風力発電の基礎構築
◎「モデルファーム奨励」、「ポテンシャル海域開発」、「ブロッグ開発」の3つのフェーズに分かれた明確な計画
 洋上風力発電は台湾にとって重要なエネルギー供給源となるだけではなく、産業発展の要となるものだ。開発にあたっては、第1フェーズ「モデルファーム奨励(Demonstration Incentive Program、DIP)」、第2フェーズ「 ポテンシャル海域開発(Zone Application for Planning、ZAP)」、第3フェーズ「ブロッグ開発(Zonal Development、ZD)」に分かれた明確な計画が掲げられている。  まず「モデルファーム奨励」フェーズでは、2017年に設備容量8メガワット(MW)のモデル発電機2基が設置された。次に20年までに「モデルファーム奨励」フェーズと「ポテンシャル海域開発」フェーズの合計で、設備容量520MWの発電機を設置する。最後は中長期目標として、25年までに「ポテンシャル海域開発」フェーズと「ブロッグ開発」フェーズの合計で、総設備容量を5,500MWまで引き上げる計画だ。中長期目標は、産業と電力需要の変化に合わせて検討、調整していく。

◎3つのフェーズで目指す確実な成果
 このように政府は3つのフェーズに分かれた計画で、風力発電開発を推進している。第1フェーズ「モデルファーム奨励」は2012年7月3日に始動した。経済部によって「洋上風力モデルファーム奨励法」が発表され、台湾の風力発電開発における法規、技術、財務など各方面の実行可能性を確認し、20年までにモデルウィンドファーム開発を完成させることが定められた。その後、17年4月に苗栗県沖にモデル発電機2基が設置され、第1フェーズは完了した。
 次の第2フェーズ「ポテンシャル海域開発」では、洋上風力発電所建設エリアの事前計画を行っている。このフェーズの目標は、市場規模に基づいて洋上風力発電のインフラを構築していくことだ。  第2フェーズで行われた開発企業の選定には、選抜と入札の2つの方法が採用された。優良業者を選定して開発を行うことで、発電コストを国際的な水準に抑えるのと同時に、台湾に洋上風力発電産業のサプライチェーンを構築する。これにより、将来の電力買取費用を抑え、洋上風力発電を台湾経済の推進力とすることが狙いだ。

二、「選抜と入札」で優秀な開発企業を決定、台湾に洋上風力発電のサプライチェーンを構築
 第3フェーズ「ブロッグ開発」は、世界各国において洋上風力発電開発と現地の産業サプライチェーン構築がいかに行われてきたかを参考にして計画された。台湾西部海域のウィンドファーム建設エリアに、台湾および海外企業の投資を誘致して発電所を建設する。そして、「選抜と入札」で決定した開発企業によって産業サプライチェーンを構築し、台湾の電力供給システムの強化、風力発電機や基礎部分の組立用埠頭などのインフラ建設を行う。将来的には毎年の設備容量を分配し、着実な洋上発電開発を進めていく。
 簡潔に言うと、政府はまず3.5ギガワット(GW)の設備容量分の開発企業を選抜する。次に、洋上風力発電産業のサプライチェーンを台湾で構築することを考慮して、入札による市場競争で開発企業を決定する。2GWの設備容量分に対して最低価格を提示した業者を選び、将来的な電気料金の上昇を緩和する。
(1)3.5GW分を選抜:国際優良企業を誘致し、サプライチェーンを形成
 経済部が発表した「洋上風力発電計画地設備容量分配要点」によれば、2021年から25年の間に完成予定の発電所を手がける開発企業は、具体的な産業関連計画と参考資料、工業局の意見書を提出することに同意しなければならない。これにより、台湾における洋上風力発電の産業サプライチェーン形成を促進する。なお、洋上風力発電の電気料金については、開発企業と台湾電力(台電、TPC)の契約時の買取価格によって決定する。
(2)2GW分を入札:発電コストを抑え、産業競争力を高める
 3.5GW分の開発企業を選抜した後、2GW分の入札を行って電力買取価格の低い企業から順に選出する。平均落札価格は1キロワットアワー(kWh)当たり2.4889台湾元で、これまでより大幅に抑えられた。なぜ電力買取価格をここまで低くできたのだろうか?これは、これまで行われてきた風力発電開発と産業サプライチェーンの構築状況から、台湾の洋上風力発電は運営と設置に十分な環境が整っていると市場が判断したためだ。発電コストはおのずと国際的なレベルまで抑えられ、技術も絶え間なく進歩している。そのため、このような低い買取価格でも十分利益が出るのである。
 政府が目指す3つの目標は、この第3フェーズで達成される。この計画によって台湾は十分な再生可能エネルギーの供給が可能となるだけでなく、アジア・太平洋における洋上風力発電の中心として、経済発展がもたらされることとなるだろう。

三、明確な計画で、洋上風力発電の安定した開発を
 台湾の洋上風力発電計画は世界各国に習って「選抜で3.5GW、入札で2GW」の開発企業を決定することによって、再生可能エネルギー政策の推進と財政バランスを取ることを目指している。2018年の電力買取価格は1kWh当たり5.8498台湾元で、現在の洋上風力発電の高いコストを反映している。今後、開発企業は19年までに建設許可を取得し、台湾電力と契約を結んで期限内に商業発電を開始しなければならない。
 2018年6月22日に行われた入札で、25年の洋上風力発電電力の平均落札価格は1kWh当たり2.4889台湾元となった。台湾の洋上風力発電は、関連政策によってドイツやイギリスと同様の方法で開発が進められている。洋上風力発電機は大量に設置することができるため、毎年買取価格を見直すことによって電力価格を安くしていくことが可能だ。24~25年には、ドイツやイギリスなど洋上風力発電分野の先進国と同水準まで下がると予測される。

四、まとめ
 台湾の洋上風力発電開発は、開発企業の選抜と入札が行われた後、2018~25年の7年間でインフラ建設と産業サプライチェーン(発電機の部品生産、海底ケーブルおよび変電所の設置、海洋土木、オペレーション・メンテナンスを含む)の構築が進められている。今後、経験の蓄積、スケールメリットの構築、リスクの抑制を通じて、コストを下げていくことが可能となる。25年を迎えた時、台湾には理想的な洋上ウィンドファームが完成しているだろう。

 

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