【ワイズリサーチ】台湾鉄鋼産業の2018年第4四半期および通年の振り返りと今後の展望


リサーチ マーケティング 台湾事情 作成日:2019年3月21日

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【ワイズリサーチ】台湾鉄鋼産業の2018年第4四半期および通年の振り返りと今後の展望

記事番号:T00082622

一、2018年第4四半期の概況
1.産業概況
  2018年第4四半期、台湾鉄鋼産業の生産額は3,330億台湾元で前期比1.6%増となった。輸出額は1,384億台湾元で同4.1%減となり、熱間圧延鋼、冷間圧延ステンレス、亜鉛メッキ、冷間圧延鋼などのコイル製品が主に輸出された。主要輸出相手国は輸出額が多い順に▽中国▽ベトナム▽日本▽マレーシア▽米国――で、5カ国への輸出額合計が全体の43%を占めた。輸入額は885億台湾元で同4.6%増となり、主要輸入相手国は輸入額が多い順に▽日本▽ロシア▽中国▽米国――だった。4カ国からの輸入額合計が全体の55%を占め、鉄スクラップ、冷間圧延ステンレス、合金鉄など鉄鋼あるいは非合金鉄の半製品が主に輸入された。なお、台湾市場での需要規模は2,831億台湾元で同5.6%増加した。

2.メーカー動向

◎中鋼が成功大学と技術開発で提携

 中国鋼鉄(中鋼)と成功大学は2018年10月11日、同大学国際会議庁で「中鋼産学大聯盟」の第1期成果発表と第2期のキックオフ会議を開催した。中鋼の翁朝棟董事長は同連盟の目標について「成功大学での技術開発の成果と鉄鋼産業の応用技術を統合し、完全なソリューションを構築して現場で活用すること」と述べている。第1期計画で上がった多くの成果は、台湾鉄鋼産業が今後必要となる重要材料や加工技術を十分に把握し、高付加価値の産業クラスターを構築することにつながるだろう。翌12日には▽高強度鋼材▽海洋用鋼およびファン▽低二酸化炭素排出製錬▽グリーン製鉄プロセス▽熱プレス▽3Dロール成形▽モーター/電磁鋼――の7つのテーマに分けて成果物が展示された。第2期計画でも重要技術が開発され、台湾当産業の電動自動車(EV)・二輪車サプライチェーンへの参入を後押しし、台湾に新たな産業を創造することが期待される。

◎世紀鋼構結構がデンマークCIPと洋上風力発電機基礎の製造で提携
 世紀鋼構結構(CIAS)は、ウィンドファーム開発業者のコペンハーゲン・インフラ基金(CIP)と洋上風力発電機水中基礎の製造で提携を結んだ。契約金額は165億台湾元で、台湾洋上風力発電開発計画における単体の契約としては最高額となった。CIPは彰芳および西島洋上ウィンドファームの開発を手がけている。設備容量は合計600メガワット(MW)で60基以上の発電機基礎が必要となるが、世紀鋼構結構がすべての製造を行う。同社の頼文祥董事長は、「台北港に面積16ヘクタールの発電機基礎の新工場と、そのほかに製品保管用として16ヘクタールの倉庫エリアを作る予定だ」と述べている。新工場は2019年末までにテスト生産を開始し、投資額は合計50億台湾元に達する見込みだ。将来的にサプライチェーンが形成されれば、300から500種の雇用機会を創出することができるという。CIPの侯奕愷・台湾エリアプロジェクトCEOによれば同社の開発案件は21年、23年および24年に電力供給を開始する予定で、台湾製品を最も多く使った計画になるという。侯CEOは「今回の提携は、洋上風力発電産業への台湾メーカー参入を推進する政府の取り組みが実を結んだことを証明している」と語っている。なお、CIPは19年に中鋼と設備容量300MWのウィンドファームに設置される水中基礎の製造で契約を結ぶ予定だ。

◎金属中心がオーステナイト系ステンレスの表面処理技術を開発
 ステンレスは日常生活でよく使われている金属で、その種類と成分は多く、各分野で適した特性を持つステンレスが使用されている。オーステナイト系ステンレスはよく知られる304や316など3系列のステンレスで、耐食性は一般製品に使われるステンレスの中で最も高い。しかし硬度が低く傷がつきやすいため、応用には限界がある。
 金属工業研究発展中心(金属中心)は3年にわたる研究を経て、オーステナイト系ステンレスの表面にガス活性化処理を施し、さらにガス軟窒と浸炭あるいは浸炭窒処理を組み合わせて、表面硬度をHV200からHV1,200まで高めることに成功した。硬度が改善されただけでなく、本来の耐食性も維持しており、工程はすべてガス処理で行われる。すでに海外大手メーカーと提携済みで、今後は生産委託や製造プロセスの移転などを行い、無機ガス用ポンプのローター、筐体、端板の防食処理、SUS316ステンレスを使用した腕時計のケースやベルトの傷防止処理、精密ギアの表面硬化処理などに応用していく。台湾ステンレス製品は、世界市場で先進国家の最先端技術による高価格製品、そして品質の悪い大量生産の低価格商品との競争に直面している。金属中心が開発した同技術は台湾製品の価値を高め、世界トップクラスの品質を保証するものだ。これにより台湾ステンレスメーカーがレッドオーシャンから抜け出し、新たなブルーオーシャンを見つけることが期待される。

 二、2018年第4四半期のニュース
1.ブラジルが台湾、韓国、中国の鋼板に反ダンピング関税
 ブラジル開発商工省(MDIC)は2018年10月20日、台湾、韓国および中国製の鋼板と無方向性電磁鋼板(NGO)に対して反ダンピング関税を課すことを発表した。対象となるのはHSコード7225.19.00と7226.19.00の品目で、台湾の中鋼、中国の宝武鋼鉄、首鋼集団、上海SKネットワークス、韓国のポスコの製品に1トン当たり90米ドル、その他の台湾および韓国企業の製品に同132.50米ドルが課税されることとなった。なお、メキシコもブラジルの課税措置に続く動きを見せている。

2.韓国の特殊棒鋼の台湾輸出が増加
 2018年1~11月、韓国の特殊棒鋼の対台湾輸出が大幅に伸びて総輸出量の15.2%を占め、前年同期比5.2%増加した。韓国鋼鉄協会によると、18年1~11月の特殊棒鋼の最大輸出先は台湾で、タイがそれに続いた。対台湾輸出量は9万2,668トンで総輸出量の15.2%を占め、対タイ輸出量は7万7,502トンで前年同期比30.4%増加した。輸出相手国第3位であるベルギーへの輸出量は6万9,130トンで全体の11.3%だった。このほか、インドネシアへの輸出量は741トンで前年同期比18.5%増、日本へは4万4,162トンで同3.9%減となった。また、対米国輸出量は輸入割当制のため3万1,481トンで前年同期比40.5%減少している。韓国メーカーによれば、国内の生産能力は強化されているが内需が低迷しており、各社が輸出量の引き上げを図っているという。しかし、対米国輸出に関しては輸入割当制と自動車関連製品に対する関税の影響があるため、メーカー各社は対策を検討中だ。

三、2018年の産業回顧

 米中貿易戦争と地政学的リスクの影響を受けて、経済協力開発機構(OECD)は2018年11月、世界の経済成長率予測を9月の予測値より0.2%低い3.5%に修正した。この予測から、世界の経済成長の勢いはまだ大きく弱まっていないことが分かる。米国では経済が力強く成長して民間消費も伸びており、連邦準備制度理事会(FRB)は利上げ政策を続けている。ユーロ圏の経済も安定しており、英国の欧州連合(EU)離脱などの問題はあるが、中期的には成長を維持するとみられる。中国では米中貿易戦争の影響があるものの、内需強化、量的緩和(QE)、為替レートの安定化によってその衝撃を緩和させている。また、先に行われた行われた20カ国・地域(G20)首脳会議前に中国は態度を軟化させており、米中両国が本格的な衝突を回避することが期待される。

四、未来の展望

 台湾は中国と比べて米国の通商法301条の影響が少ないだけでなく、米中貿易戦争の勃発後、米国が調達先を中国から台湾へ切り替えたため、恩恵を受けている部分もある。輸出と工業生産の成長も続いており、台湾企業による台湾投資、生産拠点の台湾移転も増加している。このほか、台湾ではインフラ建設や公共工事が進んでおり、これが内需をけん引して経済は安定している。外需成長が課題を抱える中、主要鉄鋼生産国はこの局面を乗り切るためにインフラ建設を拡大している。中国は鉄道建設に8,000億人民元の支出目標を掲げた。インドでは300億米ドルを投じたスマートシティ建設計画が進んでいる。世界鉄鋼協会は2018年10月16日、19年の鉄鋼需要の成長予測を4月の予測値から3.4%に上方修正し、16億8,100万トンに達するとの見方を示した。鉄鋼メーカーは業績の成長が期待できる。
 台湾経済は民間と政府の投資が推進力となりつつあり、2019年のインフラ建設には2,358億台湾元が投じられる計画だ。ほかにも台湾積体電路製造(TSMC)の南部科学工業園区(南科)工場、中華郵政の物流ビル、淡江大橋、洋上風力発電などの建設が進められる予定で、いずれも大量の鉄鋼製品を必要とする。19年も主要製品の鋼板と工事用ファスナーの需要が高まり、鋼管や建材などの川下製品の需要も伸びるだろう。ただし台湾では輸入車の値下げにより、台湾製自動車のシェアが月ごとに落ちている。自動車モーターの輸出も中国メーカーとの価格競争に直面しており、台湾の自動車関連産業は苦境に立たされている。
 中鋼は2018年11月、海外メーカーにさきがけて19年第1四半期の鉄鋼価格を発表した。市場の需供状況を踏まえ、台湾およびアジア市場の売買が安定するように慎重に検討して決定された。中鋼の各種原料コストは高騰したままだが、川下産業の意欲と競争力を維持し、顧客の在庫分の値下がりによる損失を抑えることを重視したという。さらに同社は、特別措置として新暦正月と春節(旧正月)連休前後にも出荷を行った。中鋼は経験豊富な業界大手として慎重に検討した結果、柔軟性がありバランスのとれた鉄鋼価格を決定し、鋼板、棒線、亜鉛めっきコイルのほか、その他鉄鋼製品の価格も引き下げている。

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