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【ワイズリサーチ】台湾専用機械製造業の動向と今後の展望


リサーチ マーケティング 台湾事情 作成日:2020年8月6日

機械業界 工作機械・産業機械

【ワイズリサーチ】台湾専用機械製造業の動向と今後の展望

記事番号:T00091458

一、産業概況
 2020年1月、米国と中国が貿易協商について初歩的な合意を達成したため、米中貿易摩擦は緩和するとみられ、世界製造業の投資意欲は回復し、設備投資支出が増加したことから、台湾専用機械製造業の受注は増加した。しかし、中国で発生した新型コロナウイルスの感染が各国に拡大し、世界各地で実施された都市・辺境封鎖措置が企業に打撃を与えたため、各研究機構は20年の世界および主要経済国の経済成長率予測を下方修正した。これを受けてメーカーの投資意欲が低下し、20年第2四半期以降の専用機械製造業の受注は世界的に減少した。また、新型コロナウイルスと米中の「ハイテク冷戦」の影響で、中国電子産業からの台湾製半導体設備の受注が減少したことから、20年1〜4月の台湾専用機械製造業の生産額は前年同期比6.35%減の698億8,700万台湾元、販売額は同4.63%減の704億3,700万台湾元となった。
 2020年3月から新型コロナウイルスの感染が欧米で拡大し、専用機械の需要は世界的に大幅減少した。加えて、台湾元高が台湾当産業の輸出にマイナスの影響をもたらしたことから、20年3〜5月の台湾当産業の輸出受注は減少し、減少幅も月ごとに拡大した。このため、20年第2四半期の台湾当産業の生産額と販売額は減少傾向が続き、減少幅も第1四半期より拡大すると予測される。

二、カテゴリー別概況
 米中ハイテク戦争が中国電子産業メーカーに大打撃を与えたことに加えて、中国政府が国内の半導体・パネル設備メーカーを支援し、設備の国産化を進めていることから、中国市場における台湾製生産設備に対する需要は大きく減少した。このため、2020年1〜4月の電子・半導体生産用機械製造業の販売額は300億6,600万台湾元で前年同期比6.32%減となった。 紡織・アパレルと皮革生産用機械は、新型コロナウイルスの影響で中国やベトナムなど紡織製品生産国からの受注が大幅減少したことから、2020年1〜4月の販売額は75億台湾元で前年同期比14.23%減となった。
 また、食品・飲料水とタバコ生産用機械製造業およびその他未分類専用機械製造業の2020年1〜4月の販売額はそれぞれ前年同期比13.75%減、同8.68%減となった。
 一方で、化学工業機械製造業は新型コロナウイルスの感染拡大が製薬機械の需要を引き上げたことから、2020年1〜4月の販売額は53億100万台湾元で、前年同期比18.53%増と大幅成長した。
 木工機械製造業は、中国メーカーが都市封鎖の影響で生産を中止したこと、米国のバイヤーが調達先を台湾当産業に切り替えたことに加え、中国家具業が生産を再開してから台湾当産業からの調達需要が増加し、台湾市場でも台湾家具メーカーが生産の重心を台湾に移転させたことから、需要が増加した。このため、2020年1〜4月の販売額は49億6,800万台湾元で、前年同期比6.12%増となった。なお、鉱業・建設用機械製造業は輸出総額に占める販売額割合は低いものの、海外市場からの受注が大幅増加したため、20年1〜4月の販売額は3億8,500万台湾元に達し、同14.51%増と大きく伸びた。

三、今後の展望
 新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大した影響で、2020年1〜5月の台湾機械産業の輸出受注は前年同期比9.82%減となり、減少幅は今後も拡大が続くとみられる。また、中国では感染状況が落ち着いているが、製造業の投資意欲は回復の兆しがない。さらに、米中貿易摩擦が長期化しており、世界の大手メーカーが中国の生産ラインをその他の地区に引き上げる動きが継続していて、中国市場における台湾専用機械製造業に対する需要は弱いままだ。また、20年に入ってから台湾元高が続いていることに加えて、米国と新興国家における新型コロナウイルスの感染拡大は収束の見通しが立たないことから、台湾当産業の輸出受注に対するマイナス要素となっている。
 台湾市場では、新型コロナウイルスの影響で台湾メーカーの投資意欲が低下している。しかし、台商(海外で事業展開する台湾系企業)のUターン投資が台湾当産業への追い風となっているため、2020年下半期の台湾当産業の台湾市場における販売額は小幅成長を維持できる見通しだ。
 台湾当産業は輸出産業であるため、▽中国の輸入減少▽米国における新型コロナウイルス感染収束の遅れ▽新南向の対象国家(東南アジア、南アジア、オセアニア諸国)における投資意欲の低迷継続──など、台湾当産業の輸出へのマイナス要素があることから、2020年下半期の台湾当産業の販売額は大幅減少が続くとみられる。ただし、第4四半期から減少幅は緩やかになる見込みだ。

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