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住民投票4件は不成立、米台関係の亀裂回避(トップニュース)/台湾


ニュース 政治 作成日:2021年12月20日_記事番号:T00100147

住民投票4件は不成立、米台関係の亀裂回避(トップニュース)/台湾

 18日に投開票された住民投票4件はいずれも「不同意(反対)」が「同意(賛成)」を上回り、不成立となった。うち成長促進剤(通称・痩肉精)「ラクトパミン」が残留した豚肉の輸入全面禁止については、仮に賛成多数で成立していれば、米台関係の悪化を招き、台湾の環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)加盟の障壁になると懸念されていた。蔡英文・政権の外交、経済、エネルギー政策が信任された形だ。20日付聯合報などが報じた。

/date/2021/12/20/00tsai_2.jpg蔡・総統(中)にとって2期目就任後、初めての成績表に当たる住民投票は、世論調査では直前までラクトパミン問題で不利と伝えられたが、及第点を勝ち取った(総統府リリースより)

 住民投票の成立要件は、有権者数1,982万5,468人のうち、4分の1(495万6,367人)以上が同意票を投じ、不同意票を上回ることだった。4件いずれも、同意票は有権者数の4分の1に届かず、不同意票をやや下回った。

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 中央選挙委員会(中選会)の統計によると、「ラクトパミンが残留した豚肉の輸入の全面禁止」について、同意は393万6,554票、不同意は413万1,203票だった。

 エネルギー関連2件は、▽「第4原子力発電所(新北市貢寮区)の凍結解除と発電開始」、同意380万4,755票、不同意426万2,451票、▽「台湾中油(中油、CPC)の第3液化天然ガス(LNG)受け入れ基地の建設予定地の移転」、同意390万1,171票、不同意416万3,464票──だった。

 「住民投票案が公告されて半年以内に、台湾全域での選挙が実施される場合、住民投票と選挙を同日に実施する」は、同意が395万1,882票、不同意が412万38票だった。

 県市別でみると、民進党の支持者が多い南部の高雄市と台南市で、4件いずれも、不同意票が約60万票、同意票が約40万票と、約20万票の大差を付けた。

 中国時報の分析によると、今回の住民投票は、総統選挙や地方統一選挙の同日実施ではなかったため、中間層が選挙に足を運ばず、投票率が低かった。与党民進党の動員力が、国民党を上回り、中間層の票を取り込めず、4件いずれも不成立となった。

 中選会は12月23日に投票結果を公告する。住民投票法によると、2年間は投票結果と異なる政策を実施できず、住民投票で同じ議題を提案できない。

米国、台湾と輸入協議継続へ

 蔡総統は18日夜、住民投票の結果は、台湾の人民が▽国際参加、▽エネルギー転換、電力の安定供給、経済成長のけん引、▽経済と環境保護の両立、▽公共政策の情報の透明性──を望んでいる明確なメッセージだと指摘。第3LNG受け入れ基地の建設予定地にある生物礁(藻礁)の保全や、食品安全管理で、手を抜くことはないと強調した。

 経済日報などがロイターの報道を基に報じたところによると、米国の対台湾窓口機関、米国在台協会(AIT)関係者は、影響のある米国産の食品や農産物について、台湾と建設的な議論を続けると説明した。

 国民党の朱立倫・主席は、住民投票の成立失敗は自身の努力が足りなかったと謝罪する一方、民進党の独裁には反対すると述べた。

産業界、電力不足に懸念

 第4原発の凍結解除が不成立となり、産業界からは電力不足を懸念する声が上がった。

 中華民国工商協進会(CNAIC)の林伯豊・理事長は、企業は電力不足を常に心配している状況で、グリーンエネルギーに置き換わり、電力供給が安定するまで、原子力発電も選択肢に残すべきと提言した。

 鴻海精密工業の創業者、郭台銘(テリー・ゴウ)氏は、「来年は必ず電力不足となる。企業も家庭も、心の準備をしなければならない」と語った。

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