ニュース 公益 作成日:2022年3月4日_記事番号:T00101320
3日午前9時7分、高雄市の興達火力発電所の開閉所で起きたトラブルにより、南部を中心に台湾全土549万世帯で停電が発生した。2017年以来、4度目の大規模停電だ。工場も一部生産が停止し、産業界の損害額は100億台湾元(約410億円)に上る恐れがある。台湾電力(台電、TPC)は、興達発電所の年次保守作業中、絶縁ガスがない状態で作業していた人為ミスが原因と初期判断を下しており、楊偉甫・董事長と鍾炳利・総経理は引責辞任を表明した。蔡英文・総統らも謝罪し、王美花・経済部長は処分を申し出た。4日付経済日報などが報じた。
王・経済部長(左2)は3日夜、TPCの楊・董事長(左1)らと記者会見を開き、停電の原因などについて説明した(3日=中央社)
TPCは、3日正午時点で7割、午後9時半に全面復旧したと発表したものの、夜間に停電が再発生し、高雄市や雲林県など1万7,000世帯は午後12時前後にやっと復旧した。
経済部工業局の統計によると、各地の工業区62カ所のうち48カ所で停電が発生し、科技産業園区では企業521社で停電が発生した。石化産業は被害額が20億元以上とみられている。
各地の信号機の灯火が消えたほか、395人がエレベーターに閉じ込められた。また、130万世帯が断水した。
王・経済部長は3日夜の記者会見で、TPCの従業員が興達発電所の保守作業で、標準作業手順(SOP)を守っておらず、台南市の龍崎超高圧変電所の保護装置が作動したと説明した。龍崎変電所は、北部に電力を供給する「大動脈」とされ、台南市以南の発電所が停止したことで、台湾全体の1日当たり電力需要の3分の1に相当する1,050万キロワット(kW)の電力が一時的に失われた。
興達発電所(3日=中央社)
また王・経済部長は、停電の賠償として、家庭向けは停電6時間未満なら電気料金を5%引き、停電6時間以上なら1割引きにすると説明した。企業向けは、個別に調査する。
興達発電所の停電、1年で3回目
3日の停電は、17年8月15日に発生した大規模停電の592万世帯に次ぐ、蔡政権発足以来で2番目の規模だった。21年5月には13日に415万世帯、17日に100万世帯で停電が発生し、いずれも興達発電所と直接的、間接的に関係があった。
総統府は3日午前10時すぎにプレスリリースを発表し、停電による不便を謝罪した上で、蔡・総統が行政院や関連部会(省庁)に対し、早期の電力復旧、事故原因解明を指示したと説明した。
行政院は3日午前11時すぎに記者会見で、突然の大規模停電を再度謝罪した。行政院の羅秉成・報道官は、南部から北部への電力供給の負担が大きいことが浮き彫りになったと指摘し、電力の安定供給のため、台湾中油(中油、CPC)の第3液化天然ガス(LNG)受け入れ基地(桃園市観塘工業区)を早急に完成させると説明した。
蘇貞昌・行政院長は、経済部に対し3日以内に事故調査報告書を提出するよう命じ、責任追及は調査報告後と説明した。
蔡・総統はきょう午前、興達発電所を視察し、停電による不便を謝罪し、TPCに設備の強化を指示したと語った。
産業界、原発を提言
中華民国全国商業総会(商総)の許舒博・理事長は、電力不足が原因の大規模停電ではないとはいえ、電力インフラの脆弱(ぜいじゃく)性が露呈したと指摘した。これまで停電のたびに、断水も発生しており、再生可能エネルギーの予備として、原子力発電を選択肢に加えるべきだと訴えた。
中華民国工商協進会(CNAIC)の林伯豊・理事長も、25年の脱原発目標はリスクが高いと指摘した。
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