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作成日:2008年9月12日_記事番号:T00010186
台湾映画界に新風、「海角七号」が大ヒット
この夏、低迷が続く台湾映画界に10年振りの大ヒット作が出現した。巨匠・侯孝賢監督をして「こんな台湾映画をずっと待っていた」と言わしめたのが、その作品「海角七号」(魏徳聖監督)だ。
作品は、60年前に日本人教師から台湾人女学生に宛てて書かれたラブレターを基軸に、台湾最南端のリゾート地、墾丁で繰り広げられるラブストーリー。笑いあり涙ありの2時間10分で、8月22日の公開上映以来、わずか3週間で5,400万台湾元(約1億)もの興行収入を記録する大ヒットになった。
今年の台北映画祭(7月)で最優秀作品賞を受賞したほか、日本でも上映され、アジア海洋映画祭イン幕張(9月5~7日)の長編コンペ部門では、グランプリを獲得している。
映画の効果で、舞台となった墾丁のホテル、夏都酒店では予約の電話が鳴り続け、撮影に使われた部屋を特に指定する客もいるほどだとか。脇役を演じた個性派俳優は人気急上昇で、テレビドラマやコマーシャルに引っ張りだこ。アワ酒や音楽CDなど周辺グッズも売り上げが急増している。
この作品で監督デビューを飾った魏監督は、これほどのヒットになるとは、全く予想外だったとか。製作費は5,000万元と、従来の台湾映画の2,000万元をはるかに超えるが、そのうち3,000万元は自らの借金だ。
映画では、自分になぞらえて平凡な人間が決して諦めずに夢を追い求める精神を伝えたかったという魏監督。霧社事件を題材にした映画「賽徳克巴莱(セーダッカバライ)」を撮るのが念願だが、こちらは制作費がなんと2億元とけた違い。夢は大きい。