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第422回 公正取引委員会への事業結合申請/台湾


ニュース 法律 作成日:2022年4月18日_記事番号:T00102067

知っておこう台湾法

第422回 公正取引委員会への事業結合申請/台湾

 世界各国・地域の公正取引の規制は、ほとんど売上金額のみを事業結合申請の要件として設けています。台湾では、売上金額のほか、市場占有率も台湾での事業結合申請要件の一つとなっているため、他国・地域で事業結合申請不要と判断されても、台湾では必要と判断された前例は少なくないです。

シェア一定以上なら事前申請

 公正取引法第11条第1項では、事前に事業結合を申請しなければならない要件は次の通り規定されています。

1.結合により、事業者の域内の市場占有率が3分の1に達する場合

2.結合に参加する一つの事業者の域内の市場占有率が4分の1に達する場合

3.結合に参加する事業者の前会計年度の売上金額が公平交易委員会(公平会、公正取引委員会に相当)の公告金額を超える場合

 上記3について、現行の公告金額は次の通りです。

1.結合に参加する全ての事業者の、前会計年度の全世界の売上金額が合計400億台湾元(約1,700億円)を超え、かつ少なくとも2事業者の前会計年度の台湾域内売上金額がそれぞれ20億元を超えるとき

2.結合に参加する事業者が金融機関以外の場合、その前会計年度の域内売上金額が150億元を超え、かつそれと結合する事業者の前会計年度の域内売上金額が20億元を超えるとき

3.結合に参加する事業者が金融機関の場合、その前会計年度の域内売上金額が300億元を超え、かつそれと結合する事業者の前会計年度の域内売上金額が20億元を超えるとき

 市場占有率について、事業者が自ら算出した市場占有率が以上の要件を満たしても、公平交易委員会においては異なる製品分類をもって市場占有率が算出され、結局、以上の要件を満たさない可能性もあります。そのため、事業結合が発生する際、台湾での事前申請は一体必要か否かについて、現地の法律専門家に確認することをお勧めします。

 

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

鄭惟駿弁護士

鄭惟駿弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

陽明大学生命科学学部卒業後、台湾企業で特許技術者として特許出願業務に従事した後、行政院原子能委員会核能研究所での勤務を経験。弁護士資格取得後、台湾の法律事務所で研修弁護士として知的財産訴訟業務に携わる。一橋大学国際企業戦略研究科を修了後、2017年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

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