高雄の都市交通システム(MRT)で、2路線目となる橘線が14日、開通した。橘線は高雄港に面した西子湾から、高雄県政府のある鳳山を経由して大寮まで東西14.4キロを14駅26分で結ぶ。3月に開通した南北の紅線と合わせて、広域で交通の利便性が大きく向上するため、高雄捷運公司ではMRTの利用者増に期待を寄せている。
無料試乗で、紅線開通時と同様に市民が殺到した。多くの人が観光地である西子湾を目指したという
(14日=中央社)
橘線は2001年にBOT(建設、運営、譲渡)方式で工事を開始し、建設総額は1,813億台湾元(約6,130億円)。西子湾の工事現場での大規模な陥没事故などにより、開通は紅線より半年遅れた。橘線の営業時間は午前6時から午後11時までで、ラッシュ時には5分に1本、通常は10分に1本が運転される。
開通を記念して今月21日までは運賃が無料となり、初日は午後1時から10時間で延べ20万人が利用した。22日から10月21日までは、料金は全線一律15元となる。
現在、紅線の1日当たりの利用者は延べ10万人だが、高雄では市民にバイク利用の習慣が根付いているため、大きくは伸びていないとされる。聯合報によると、今月初頭からコスト圧縮のため終電時間を午後11時半から11時に繰り上げることがいったんは決まったが、陳菊市長が撤回を指示した経緯もある。
15日付自由時報によると、これまで西子湾~大寮はバイクで45~60分かかっていたが、MRTの利用によって移動時間は約半分に縮まる。鳳山方面から高雄市中心部への通勤・通学客の利用や、西子湾・旗津への観光での利用に期待がかかる。 なお、紅線開通時に工事中だった美麗島駅は、14日から紅線と橘線の乗換駅として供用が始まった。同駅構内のステンドグラスの大型公共芸術「光之穹頂」は、ようやく多くの市民が楽しめるようになった。
公共芸術「光之穹頂」。芸術との組み合わせは高雄MRTの大きな特徴だ(14日=中央社)
沿線の不動産価格上昇も
不動産仲介業者によると、橘線の開通前からインターネットを通じた沿線の物件情報の閲覧が大幅に増えており、台北同様、MRTの駅周辺の物件の人気上昇に期待が持てるという。
閲覧件数が最も多いのは、紅線と橘線の乗換駅である美麗島で、次いで文化中心、信義国小、市議会となっている。いずれも市中心部のビジネス・商業エリアだ。高雄中心部への交通が大幅に便利になる鳳山、大寮でも今後、不動産需要の高まりが見込めるという。
高運捷運董事長、辞任
高雄捷運の董事長に就任したばかりの張家祝・中国鋼鉄董事長は14日、兼任では中国鋼鉄の業務に集中できないとして辞任する考えを表明した。後任の人事は陳市長の意見を尊重するとしている。
中鋼は高雄捷運の最大出資企業で、前任の林文淵董事長は両社の董事長を兼任していた。
橘線路線図(高雄捷運公司提供)