米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻(はたん)を受け、行政院金融監督管理委員会(金管会)は15日、域内の金融機関および一般投資家が保有するリーマン関連の株式、金融商品などの合計は800億台湾元(約2,638億円)に上ると発表した。中央銀行は域内の資金流動性に問題はないとしているが、16日付経済日報は、今回の破綻が台湾に及ぼす影響は、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題による金融機関の累計損失250億元を上回り、深刻なものとなると指摘した。
証券会社の株価ボードは、またも値下がりを示す緑一色に。見たくもないのか、店頭に人影はまばらだ
(中央社=16日)
金管会によると、域内金融機関のリーマン・ブラザーズとの証券投資および金融取引額は、保険業で約200億元、銀行業で約100億元で、その他投資信託業および証券業の取引額は比較的小さなものとなっている。
企業別ではリーマンの発行する社債、デリバティブ金融商品、株式など合計で25億元を保有する新光金融控股が最大で、兆豊金融控股も20億元前後保有するとみられる。国泰金融控股は10億5,300万元、富邦金融控股は8億6,400万元で、影響は限定的と言えそうだ。
準備預金は4.5兆元
中銀幹部はリーマンショックを受けて、「中銀の外貨準備投資は、格付けが最高の国債や国債に準ずる債券に集中している。リーマンの債券は保有しておらず、今回の金融危機によるダメージはない」と強調した。その上で、「域内金融機関による中銀への準備預金総額は4兆5,000億元に上る。一方、金融機関によるリーマン関連の金融商品の保有額は400億元に過ぎず、域内の資金流動性には影響は出ない」と懸念払拭に努めた。
金管会によると、リーマンが申請した米連邦破産法による資産保全の適用範囲は、米国持ち株会社に限られ、子会社には及ばないという。台湾子会社の雷曼兄弟証券はシンガポール法人が親会社で、法人顧客を対象とした証券取引を主要業務としている。
なお、ある金融機関によると、台湾の一般投資家が購入したリーマン発行の連動債は、少なく見積もって20億元が「紙くず」となる見通しだ。
AIG経営難、南山人寿「問題なし」
また、経営危機に陥った米保険最大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が米連邦準備理事会(FRB)に400億米ドルの短期融資による支援を要請し、バンク・オブ・アメリカ(BOA)によるメリルリンチ買収が明らかになるなど、米金融市場で不安が拡大しており、台湾への影響波及が懸念されている。
AIGによる台湾への投資規模は大きく、銀行業のほか、保険加入者数392万人を抱える総資産額2位の生保、南山人寿保険に95%を出資するなど、ほとんどすべての金融分野で投資を行っている。
南山人寿は親会社の経営難について15日、「台湾における経営はすべて正常に行われており、保険加入者が不利益を被ることはない」と強調した。業界関係者は、「子会社の財務は親会社と独立しているが、できるだけ早く新たな経営者を探すのがベスト」と指摘している。
株価、4.9%急落
リーマンショックによる世界同時株安の影響で、16日の台湾株式市場も金融株が主導する形で全面安となり、取引開始直後にあっさり6,000ポイントを割った。加権指数の終値は、前日比295.86ポイント(4.89%)下落の5,756.59ポイントで引けた。