22県市政府の首長と議会議員などを選ぶ4年に1度の統一地方選挙は、投開票日の11月26日まであと100日となり、与野党の首長の公認候補がほぼ出そろった。18日付中国時報は、6直轄市のうち、与党民進党の大票田で現職市長を擁する高雄市と台南市、野党国民党の現職市長の市政の評判が高い新北市と台中市は、それぞれ現職が優勢で、台北市と桃園市が主戦場になると分析した。一方、ナンシー・ペロシ米下院議長の訪台を機に、中国が台湾周辺で大規模な軍事演習を実施するなど圧力を強めていることに対する有権者の反発で、民進党に有利との見方も出ている。

桃園・台北、三つどもえ

　民進党は17日の中央執行委員会（中執会）で、桃園市長選の公認候補として、同市を選挙基盤とする鄭運鵬・立法委員（49歳）を指名した。前新竹市長の林智堅氏（47歳）が、台湾大学国家発展研究所在籍時の2017年に発表した論文の盗用問題で、桃園市長選出馬を取りやめたことを受けた措置だ。民進党は、現職の鄭文燦・市長（55歳）の2期8年の在職期間の基盤を受け継ぐ人選上の失敗を、取り戻す必要がある。

　民進党主席の蔡英文・総統は、鄭運鵬・立法委員はこれまでずっと鄭文燦・市長の重要なパートナーで、市政を最もよく知っていると強調した。鄭文燦・市長は、鄭運鵬・立法委員に引き継ぐことができれば、自身も市民も安心できると語った上で、対立候補はネガティブキャンペーンに終始していると批判した。

蔡・総統（右）は、桃園市長選の公認候補を鄭運鵬・立法委員（中）に変更しても、チームの団結は変わらないと強調した。左が鄭文燦・市長（17日＝中央社）

　桃園市長選には、国民党の張善政・元行政院長（68歳）、柯文哲・台北市長率いる台湾民衆党（TPP）の頼香伶氏（54歳）も出馬を表明しており、三つどもえの戦いとなる。

　台北市長選の民進党公認候補は、前衛生福利部（衛福部）長で、新型コロナウイルス対策本部の前指揮官の陳時中氏（68歳）。国民党からは、蒋介石・元総統のひ孫の蒋万安・立法委員（43歳）が出馬する。現職の柯・市長の後継者と目される、黄珊珊・副市長（親民党、52歳）は無所属として出馬するため、28日に副市長を辞職するようだ。

　国民党は17日、現職の侯友宜・新北市長（65歳）と盧秀燕・台中市長（60歳）を公認候補に指名した。盧・台中市長は、侯・新北市長と今後も市政を主に手掛けるが、投開票日まで残り100日しかなく、各地の応援にも駆け付けると表明した。関係者によると、侯・新北市長は北部の▽台北市、▽桃園市、▽基隆市──、盧・台中市長は中部の▽彰化県、▽雲林県、▽南投県、▽苗栗県──の応援に回る。

国民党の朱立倫・主席（中）は、侯・新北市長（左）と盧・台中市長（右）が力強くけん引すると語った（17日＝中央社）

　民進党は、新北市長選の公認候補として林佳龍・前交通部長（58歳）、台中市長選は蔡其昌・立法院副院長（53歳）を擁立している。

　南部の高雄市は、民進党から現職、陳其邁・市長（57歳）、国民党からは柯志恩氏（60歳）が出馬する。台南市は民進党の現職、黄偉哲・市長（58歳）、国民党の謝龍介・市議（60歳）が出馬する。

　中央選挙委員会（中選会）は18日午前、統一地方選の実施を公告した。有権者は約1930万人で、初めて投票権を与えられるのは約76万人と予測した。8月29日〜9月2日に立候補を届け出る。11月26日の投開票で当選者が決まり、12月25日に就任する。

住民投票も同時実施

　11月26日は、統一地方選と同時に、住民投票も実施する。選挙権と被選挙権の年齢を18歳へと、現行のそれぞれ20歳、23歳から引き下げる憲法改正案の可否が議題として上がっており、過半数が賛成すれば改正される。

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