行政院金融監督管理委員会(金管会)は26日、預金保険機構に相当する中央存款保険公司(CDIC)に対し、財務状況が悪化した慶豊商業銀行(本店台北市)を公的管理下に置くよう指示した。CDICの委託を受け、当面は台湾銀行が営業を引き継ぐ。27日付経済日報が伝えた。
慶豊銀が公的管理下に入ったことで、行政院金融再建基金(RTC)による処理が進められた問題金融機関10行のうち、経営再建が進んだ3行を除く7行がすべて経営破綻(はたん)したことになる。慶豊銀の預金はRTCによって全額が保護される。
金管会によると、慶豊銀は昨年末に純資産がマイナスとなり、今年は毎月損失計上を続けていた。同行は金管会に対し、3回にわたり増資計画を提出したが、いずれも不調に終わっていた。
資金の不足額は約166億台湾元(約550億円)。内訳は純資産のマイナス分77億元、引当処理が完了していない不良債権51億元、金融債による借入額38億元。預金保護に向けたRTCの拠出額は100億元を超える見通しだ。ただ、RTCは資金が払底しているため、実質的にCDICが資金を拠出することになる。
経営を引き継いだ台湾銀が慶豊銀に100億元を預け入れたため、当面の預金払い戻しには問題がない見通しだ。
慶豊銀の公的管理移行をめぐっては、ベトナムにある支店2カ所の取り扱いが問題となった。ベトナム政府の規定で、銀行本体が公的管理下に置かれた場合、同国がベトナム支店の資産を凍結できるとの規定があるため、金管会はベトナム金融当局に資産凍結の免除を求めていた。最終的にベトナム側の理解が得られたため、同行資産全体が一括して公的管理下に置かれた。
慶豊銀はRTCによる預金の全額保護を受ける最後の金融機関となる。今後破綻する金融機関は、CDICによる預金保護を受けるが、上限が150万元に制限される。預金全額保護を掲げ、2001年に発足したRTCは慶豊銀の処理で事実上任務を終える。
慶豊銀は国泰信託投資を前身とし、1994年に商業銀行として発足。現在台湾全土に34店舗、ベトナムに2店舗を展開している。