ニュース 政治 作成日:2022年12月28日_記事番号:T00106721
台湾有事蔡英文・総統は27日、国家安全会議(国安会、NSC)を招集し、2024年から18歳以上の男性に義務付ける兵役(義務役)期間を1年に、現行の4カ月の軍事訓練から延長することを決定した。中国の軍事的圧力が高まる中、蔡・総統は同日午後に総統府で記者会見を開催し、台湾は権威主義拡張の第一線に位置し、世界の民主主義陣営の防衛ラインの最前線を守っていると指摘。戦いに備えることで、戦いを回避できると語り、準備が万全であるほど対岸(中国)が入り込む確率も下がると訴えた。28日付聯合報などが報じた。
蔡・総統は、極めて困難な決定だが、国家の安全を守る総統としての責任を回避することはできないと語った(総統府リリースより)
蔡・総統は、4カ月の軍事訓練では即戦力にならず、目下の情勢に対応できないことから、2024年から、05年以降に生まれた男性に対し義務役を1年に延長すると説明した。
義務役の期間は1990年7月に2年となり、2000年以降、段階的に短縮され、08年に1年、13年以降は4カ月の軍事訓練となっていた。期間延長案は、29日に行政院会(閣議)で承認され、来年1月9日にも立法院で最終可決(三読)される見通しだ。
国防部の柏鴻輝・副部長によると、期間1年の義務役は、24年が9127人で、29年に5万3600人まで増える予定だ。
国安会の顧立雄・秘書長は、29年には予算を160億台湾元(約700億円)増やすと説明した。24年から、義務役の2等兵の月給は2万6307元へと、現行の6510元から引き上げられる。
蔡・総統は、志願兵を主力とする主戦部隊21万人、義務役を中心とする守備部隊など4ブロックを編成すると説明した。義務役の訓練は米国などを参考に、新型武器の操作や実戦を想定した訓練を増やす計画で、実弾射撃数を800発以上へと従来の262発から大幅に引き上げる。
「米国から圧力ない」
兵役の期間延長に関して、米国からの圧力はあったかとのメディアの質問に対し、蔡・総統は、米国からの圧力はないと明言でき、自身の主導で20年から軍事力の全面見直しを検討してきたと説明した。
米国のトランプ前政権で国防長官を務めたマーク・エスパー氏が今年7月に訪台し、台湾は国防予算を米国と同水準、域内総生産(GDP)の3.2%以上に増やすべきで、兵役期間は1年以上に延長するべきだと提言していた。
米国の対台湾窓口機関、米国在台協会(AIT)は27日、「台湾が兵役制度の改革を発表したことを歓迎する。台湾が自衛のコミットメントと抑止力を強化していくことの表れだ」とフェイスブック(FB)に投稿した。また「台湾関係法」と「一つの中国」政策に基づき、台湾が十分な自衛力を維持できるよう支援していくと改めて強調した。
中国共産党のメディア「中国台湾網」は、「蔡英文は民意を無下にし、米国に従い兵役を延長した。台湾の若者は怒っている」との記事を投稿するなど、認知戦を仕掛けている。
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