外交部は26日、中米のホンジュラスと断交したと発表した。ホンジュラスは台湾と断交し、中国と国交を樹立した。蔡英文政権が2016年5月に発足して以来、9カ国目の断交だ。台湾と外交関係がある国は、過去最も少ない13カ国となった。中国は蔡政権を国際社会で孤立させようと、ホンジュラスに対し台湾との断交を条件に、経済支援を申し入れたとの見方がある。蔡・総統は同日、断交は非常に遺憾だが、無意味な金銭外交で中国と競わないと表明した。27日付自由時報などが報じた。

蔡・総統は、台湾が脅威にひるむことはないと、世界に証明したと語った（総統府リリースより）

　外交部の発表に先駆け、ホンジュラスの外務省は同日ツイッターで、台湾との断交を発表し、「中華人民共和国が中国の唯一の合法政府で、台湾は中国の領土の不可分の一部だ」と表明した。

　蔡・総統は、中国があらゆる方法で、台湾の国際社会参加に圧力や脅威を与え続けているが、中華民国と中華人民共和国が互いに隷属しない事実は変わらないと強調した。

　蔡・総統は29日～4月7日に、中米の友好国、グアテマラとベリーズを訪問する。外遊の前後に、米国に立ち寄る予定だ。米国ではケビン・マッカーシー下院議長（共和党）と会談するとされ、中国の強い反発が予想されている。

　馬英九・前総統（国民党）は3月27日～4月7日に中国を訪問する。

「まるで金目当て」

　呉釗燮・外交部長は26日、ホンジュラスとの断交に伴い、経済支援などの協力プログラムを打ち切り、在ホンジュラス大使館を撤収すると表明した。

　ホンジュラスとの断交発表前のやり取りについて呉・外交部長は、ホンジュラスのレイナ外相から13日に7日付の書簡が届き、病院建設に9000万米ドル、ダム建設に3億5000万米ドルと、支援額の引き上げを求められたと説明した。

　呉・外交部長は、台湾は通常、病院を建設するなどの支援を行っており、現金を渡すとまるで賄賂のようだと指摘。ホンジュラスの書簡で支援要望額が大幅に引き上げられたことで、病院でなくお金が目当てと感じたと語った。

　ホンジュラスが昨年要望していた支援額は、病院建設に4500万米ドル、ダム建設に3億米ドル、ホンジュラスの国債購入に20億ドルだった。

　書簡が届いた翌日14日には、シオマラ・カストロ大統領が、中国との外交関係を樹立するよう、レイナ外相に指示したとツイッターに投稿した。

米国、各国に台湾往来呼び掛け

　米ホワイトハウスや国務省は、台湾との交流を継続、拡大すると表明すると同時に、あらゆる国に台湾との往来を呼び掛けると表明した。

　米国の対台湾窓口機関、米国在台協会（AIT）の関係者は、中国は外交的承認を条件に約束を交わし、守らないことがよくあると指摘した。

　日本台湾交流協会の泉裕泰・台北事務所代表は、台湾は日本と基本的な価値を共有する、かけがえのない重要なパートナーで、台湾の隣人として、日台の友好関係の深化に一層尽力すると、フェイスブック（FB）に投稿した。

　25日に訪台したチェコ下院のマルケタ・ペカロワ・アダモワ議長は、チェコも自由と民主主義を共有する台湾の真の友だとコメントした。

台湾在住のホンジュラス人は25日、これまでの台湾生活に謝意を示した（25日＝中央社）

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