光ディスク大手、錸徳科技(ライテック)は、台湾メーカーとして初めて非シリコン系CIGS(銅、インジウム、ガリウム、セレン)薄膜太陽電池に参入する。8月に太陽電池モジュールの受託生産で提携したオランダの太陽電池大手、ショウテン・ソーラー・システムズ(Scheuten)と14日に合弁企業の設立で契約、年内に新竹で工場を設立する計画だ。2010年には生産能力を120メガワット(MW)まで引き上げ、同分野で世界一を目指す。15日付工商時報などが報じた。
ライテックの発表によると、新会社の資本金は6億台湾元(約19億円)で、ショウテンとの折半出資だが、ライテックが業務を主導する。当初の生産能力は30MWで、来年上半期に出荷を開始し、来年中に生産能力を最大90MWまで拡大する計画だ。
葉垂景同社執行長(CEO)によると、両社の提携は当初、ライテック傘下のITO(酸化インジウムスズ)導電ガラスメーカー、安可光電にショウテンが5%を出資したことから始まった。8月には、安可光電が太陽電池用ガラス基板を製造、ライテックとショウテンが太陽電池モジュールの製造、販売を担当することで提携し、今月に出荷開始に至っている。
高い変換効率と低コストが魅力
現在、薄膜太陽電池は主に、▽CIGS▽a-Si(アモルファスシリコン)▽CdTe(カドミウム・テルル)──の3種類がある。ライテックがCIGSを選んだのは、▽太陽光を電気に変換できる割合を示す変換効率が高い▽コスト減が見込める──ためだ。
ライテックの生産するCIGS薄膜太陽電池は、工業技術研究院(工研院)による昨年の測定結果で、変換効率がa-Siの2倍以上に上る15.26%強という数値を出した。また、ショウテンとの提携で来年には1ワット当たりの製造コストを1米ドルまで引き下げられる見込みだ。
一方のa-Si薄膜太陽電池は、変換効率も高いといえず、中国メーカーが多く参入していることから2011年には1ワット当たりの製造コストが1米ドルまで下がるとみられる。CdTeは毒性のあるカドミウムを使用するため、必要とされる技術水準が高い上、一貫生産でないと輸出できないというデメリットがある。
葉執行長は、ライテックには独自の研究開発(R&D)力があり、さらにショウテンが10年以上の歳月をかけた太陽電池の技術を組み合わせることで、CIGSに参入するIBMや日本企業にも対抗できると語っている。