ニュース 政治 作成日:2024年1月15日_記事番号:T00113250
知っておこう台湾法2023年11月28日、台湾高等法院(高等裁判所)台中分院が、株主総会決議の手続きの違法性が争われていた事案において、株主総会決議取り消しの判決を下しました(2023年度上字第275号民事判決、以下「本件事案」といいます)。
招集事由と主な内容
前提として、会社法第172条第4項により、株主総会の通知には、招集事由を明記しなければなりません。
そして、2018年7月6日の会社法改正以降、①取締役、監査役の選任または解任、②定款変更、③減資、④公開発行停止の申請、⑤取締役の競業許可、⑥剰余金の転換による増資、⑦準備金の転換による増資、⑧会社の解散、合併、分割、⑨会社法第185条第1項各号の事項(重要な財産の処分等)については、招集事由において列挙し、かつその主要な内容を説明しなければならず、臨時動議として提出することはできません(会社法第172条第5項)。
株主の権益を保障しているか
本件事案において、会社は、株主総会の招集通知に招集事由を記載したのみで、定款の条文の修正、董事の数の増減、資本の増減等の議案についてその内容を説明せず、また、ウェブサイトに招集事由の主要な内容を記載し、招集通知にそのウェブサイトを載せることもありませんでした。
このため、裁判所は、株主の権益が保障されていたとはいいがたく、取消訴訟を提起することには理由があると判断しました。
そして、この法令違反は、十分な情報がある状況下での議決権の行使、自ら出席できない株主が他者に委任するか否かの考慮に影響する等、株主の権益への影響が甚大で違反の瑕疵(かし)の程度が重大であるため、株主総会決議を取り消しました。
本件事案のように、手続き的な瑕疵により、株主総会決議が取り消されることもあるため、株主総会を実施する際は、会社法等に定められた関係する規定を遵守する必要があります。
なお、日本では株主総会決議取り消しの訴えの提訴期間は決議の日から3カ月ですが、台湾では「30日」しかないので(会社法第189条)、より迅速な対応が必要です。
*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。
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