ニュース 公益 作成日:2024年1月17日_記事番号:T00113302
公営電力会社、台湾電力(台電、TPC)の代理董事長を務める経済部の曽文生・政務次長は16日の記者会見で、原子力発電所(原発)の運転期間延長や、龍門原発(いわゆる第4原発、新北市貢寮区。15年に建設中止)の建設再開について野党は賛成しており、次期立法院で報告する準備を行うと語った。民進党政権は2025年の脱原発政策を掲げているが、産業界は電力の安定供給のため原発稼働を求める声が根強い。2月1日に次期立法委員(国会議員)が就任する立法院(国会)で、民進党は少数与党で、エネルギー政策が新局面を迎える可能性がある。17日付中国時報が報じた。
13日の総統選挙は民進党の頼清徳・副総統が当選したが、立法委員選挙(定数113)では国民党(52議席)が民進党(51議席)を上回り、第1党となった。台湾民衆党(8議席)を合わせると過半数となる。
原発稼働を主張する国民党と台湾民衆党が、立法院でTPCに報告を求めると予想されている。
電力不足と値上げ懸念
経済団体はこれまで政府に対し、原発をエネルギー政策に組み込むよう求めてきた。サービス業の経済団体、中華民国全国商業総会(商総)の頼正鎰・主席は、選挙が終わり、産業界が最も心配しているのは電力料金の値上げと、電力の安定供給だと指摘した。第3原発(屏東県恒春鎮)の稼働停止後、電力料金を大幅に値上げしないのか、電力が不足しないのかなどについて、新政府に対し対策を求めると語った。
13日の総統選挙で落選した国民党の侯友宜・新北市長は、選挙公約で、第1原発(新北市石門区)と第2原発(新北市万里区)の再稼働、25年に運転期限を迎える第3原発の運転期間延長と15年7月に建設を中止した第4原発の建設再開を主張していた。
総統選挙で落選した野党第2党、台湾民衆党の柯文哲・前台北市長も、第1原発以外は、ほぼ同意見だった。
5月20日に就任する次期総統、民進党の頼氏は、現政権の25年脱原発政策の下、グリーンエネルギーの多様化を掲げながらも、有事の際の非常用電源としての原発使用や、将来、安全かつ高レベル放射性廃棄物(核のごみ)問題がない新型原子炉ができた場合の原発利用の可能性について発言していた。
第2・第3原発に可能性
曽・経済部政務次長は、TPCは立法院と政府の決定に従い、実行するのみと前置きしつつ、TPCは科学的根拠に基づいて原発について検討し、立法院での報告に備えると語った。
TPCの社内でも一部に、原発延長を望む声があるという。
TPCによると、第2原発と第3原発は今後も稼働できる可能性がある。第2原発は停止後間もないため、設備の信頼性が高く、地質条件も良い。第3原発は23年の発電電力量が154億キロワット時(kWh)で、過去最高だった。
18年に運転期限を迎えた第1原発は、既に変圧器や変電所などが解体済みだ。第4原発は建設許可を新たに申請する必要があり、いずれも困難との見立てだ。
法律面では、▽原発は40年以内に運転を終えること(「40年ルール」)、▽稼働を延長する場合は運転期限満了の5年前までに、期限更新の申請が必要──などと定めている現行の核子反応器設施管制法などを改正する必要がある。
民進党の責任逃れと批判
国民党の立法院党団(議員団)の曽銘宗・総召集人は16日、国民党の主張は一貫しているが、原発を認めない民進党の頼氏が、緊急電源としての使用を主張したり、選挙が終わるやいなや、TPCが方針を変更したのは、将来的な電力不足の事実があり、電力料金の大幅引き上げの可能性があるからだと指摘した。
台湾民衆党は、民進党は25年の脱原発政策を反故(ほご)にし、新立法院に責任を押し付けるのかと批判した。
民進党の洪申翰・立法委員は、今年は電力不足に陥らない見通しだが、たった1年の景気だけで原発稼働や停止を議論するのでなく、総合的に検討するべきだと述べた。
【セミナー情報です】
指示待ち社員を自立型社員に変える!日系企業の台湾人向け中堅社員研修。セルフコーチング、コミュニケーション、アイディア発想法、タイムマネジメントを学びます。2月2日開講。オンライン受講可能。
検索は「中堅社員、2月」。
【セミナー情報の詳細はこちら】
https://www.ys-consulting.com.tw/seminar/111123.html
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722